【落語遠征】立川志の輔独演会in盛岡
6/28(水)岩手県盛岡市のトーサイクラシックホール岩手に落語遠征に行って来た。
何も遠出しなくとも志の輔さんなら都心でいくらでも聞けるのに……
と思うのだが、地方公演の方が圧倒的にチケットを取りやすんだもの。
つい手を出してしまう。
前日はつなぎ温泉に一泊し、いざ盛岡市内の独演会場へ!
演目は以下の通り。
意外にも志の輔師匠は盛岡公演は初めてとのこと。
私も初めてだけど、何となく盛岡のお客様は感じが良い。
私の前列は老親をアテンドする娘さん。
老父に「スマホの電源を切るのよ」と言い、老母のスマホを切ってやっている。
後列では若いカップルがやはり「スマホを切らなきゃね」と言い合っている。
「でも必ず鳴るんだよな」と彼氏が言うのは、かなり落語慣れしているらしい。
そして彼氏が言うとおり、トリの「千両みかん」半ばでちらっと呼び出し音が鳴って消えた。
だが、地方の落語会でこの程度で済むのはかなり成績が良い。
私が住む千葉県では、いや都内の大きなホールでも、なかなか悲惨なことがある。
今でも忘れ難いのは都心も都心、大手町にあるホールでの柳家権太楼師匠の「文七元結」である。
最大の山場、身請けされた娘が戻って来る場面で着信音が鳴り響いた。
大ホールに響き渡る着信メロディーは、なかなか止まなかった。
続いて出た三三師匠が権太楼師匠の落胆ぶりを伝える程の悲劇だった。
翻ってトーサイクラシックホール盛岡の観客の民度の高いことと言ったら!
後になって気がついたのだが、この会場では「スマホの電源をお切りください」といったアナウンスはなかった。
なのにお客さんは席につくなり自主的に電源を切っていたのだ!
驚愕の事実である。
岩手県民の民度の高さぞ恐るべし!
いや、私は観客を観察するために遠征したのではない。
けれど、お客さんの笑いや拍手の反応も素晴らしかった。
その素晴らしさは演者にも伝わる。
志の輔さんが「盛岡のお客様はとても良いお客様」と言ったのは、あながちお世辞ではないと思う。
大袈裟に出過ぎることもなく、けれど適確なポイントで笑い、拍手がわくのだ。
観客にのせられて演者のテンションが上がっているのが目に見えるようだった。
会が終わって外に出ると、始まる頃にポツポツと降り始めた雨が、本降りになっていた。
傘をさしてホテルに向かいながら「岩手県民恐るべし!」と何度も思うのだった。
いや、もちろん落語も良かったですよ。
「千両みかん」のみかん問屋のお蔵から次々とみかん箱が運び出される場面など、目の前に映像が浮かぶようだった。
“志の輔らくご” は他のどの落語家のものとも違う。
わかりやすく目に見えるように工夫されている。
この噺はいつか映画にして欲しいと思ったものである。
他の演目、それこそ「文七元結」や「紺屋高尾」「薮入り」などと組み合わせて、ちょっとした時代劇に出来ると思うのだ。
もちろん“志の輔らくご”メインでね。
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