ふじのくに地球環境史ミュージアムへ行ってみた
【ライター:大楽眞衣子】
年度末の3月は、たびたび子どもたちの下校が早くなる。
「先生たちが成績表をつけるため」らしい。
フリーランスならではだが、私は平日の早下校デーの午後は、仕事を入れない(ようにしている)。子どもを連れ、週末は混雑して行く気がしない場所へ行く。どこもかしこも空いているからだ。
これまで行った場所は動物園、観光船、観覧車、美術館、海・・・と様々だ。その都度、脳内ガイドブックが全力で検索モードに入り(だいたい当日考えるのだが)プランを立てる。つくづく静岡県は子育て環境に恵まれているなと思う。
今回は、小学生の息子2人を連れて「ふじのくに地球環境史ミュージアム」へ行くことにした。
JR静岡駅から直通バスで約30分、海が見渡せる丘の上にミュージアムはあった。建物は旧静岡南高校をリノベーションしたもの。華美ではないサスティナブル感満載で、ある意味今どきである。言い方を変えれば学校ならではの地味さがある。
清潔感のある入り口を入ると斬新な大画面がお目見えする。
まずはそこで「地球環境史とは何か」を学ぶ。
館内はほぼ貸し切り状態だった。しーんとしていた。
さすが平日だ。
各教室ごとにテーマが異なり、幅広い地球環境史を追いかける内容となっている。ありがたいことに、あらゆる場所にスタッフがいて、丁寧に展示内容を説明してくれた。
一つひとつの説明は省くが、私たち親子の心に残ったことを二つ書く。
一つは縄文の暮らしが自然と調和していた、ということ。農耕が始まった弥生時代から自然と人間のバランスが崩れていった。このバランスをシーソーのように表現してあるので、弥生から現代に向けて崩れていくバランスの様子が一目瞭然なのだ。そういえばいつか本で「ホモサピエンスは狩猟採集民族として進化した」と読んだ。だから私たちが日々腰痛を抱えるのは、当たり前だそうだ。
私たちは田植えに適した体には進化していないし、ましてやパソコンを打つ姿勢のために進化したわけではない。
高い木の実を採るように、道具を作れるように進化してきた、と。
そんな話をしながら館内を巡った。
いろんな木の実。植物系の展示も充実していた
二つ目は骨の進化がおもしろい、ということ。魚類から人間まで骨が展示されている教室があり、人間は他の哺乳類とどう違うか、魚類と両生類はどう違うか、家畜と野生動物はどう違うか。骨からたくさんのことが見えてきた。ここでも担当の先生が詳しく解説してくれた。ほかに来館者はいなかった。なんと贅沢な時間だろう。
ホネ人間が授業を受けているシュールな展示。人間の骨だけレプリカだそうだ
一通り見終わると、最後は駿河湾から南アルプスが望める「図鑑カフェ」へ。その名の通り、図鑑がずらりと並び、コーヒーやジュースを飲みながらくつろぐことができる。ここでの客はうちを含め3組。
子どもたちが図鑑に夢中になっているあいだ、私はカフェでアイスクリームがのったアイスコーヒーを注文した。
海を眺めながらの至福の一杯だった。
帰りに立ち寄った静岡の海岸
今月に入り、早下校は3回目。
静岡市立美術館の古代エジプト展にも行ったし、
焼津市ディスカバリーパークにあるプラネタリウムにも行った。
わくわくの種まきは、大人の仕事だ。
種をまく大人も一緒にわくわくすることが大事だ。
私のゆるくテキトーな子育ての中で、唯一?意識していることかもしれない。
20-03-10記