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経営の透明化 不安の先にある計り知れないメリット

こんにちは。エディマート代表の鬼頭です。
2003年に創業した当社は、編集プロダクションとしてハードワークを物ともせず歩みを進めてきました。
法人でありながら、実質は社長と社員は「師弟」のような関係。私は物腰こそやわらかいと思いますが、簡単に言えばワンマン企業だったと思います。

そんな当社も時代の波には逆らえません
ワークライフバランスやITの浸透、そして新型コロナは、経営者である私と社員の価値観を大きく変え、これまでの「当たり前」が通用しなくなりました

当たり前を変えるために必要だったのが「経営の透明化」です。
取り組んで2年が経ちましたが、今では会社のほぼすべての情報が透明化されました。
今回は、当社が透明化を進めた背景や、現在感じているメリットについてまとめてみます。


1.なぜ企業は透明化をためらうのか

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社員のことを思わない経営者なんていませんよね。
もし経営者が透明化をためらっているとしたら、
その理由のひとつは、社員に余計な負荷をかけたくないと考えているからではないでしょうか。

会社をとりまく数字や法律はとてもややこしく、
実務とともにそこに心を寄せるのは大きな負荷になります。
小難しいことは置いておき、社員には実務に集中してほしい。
そんな考えがあるかもしれません。

もうひとつ考えられるのは、
経営の粗をつつかれたくないから
周りの企業に比べてできていないことや劣っていることが、
透明化によって露わになります。
もしかすると求心力が落ち、経営が立ち行かなくなるのではないかと。

経営者の「思いやり」と「恐れ」が透明化を躊躇させるのだと思います。
私自身もそうでした。


2.経営の透明化を進めたきっかけ

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2003年に創業してから約15年にわたり、透明化とは程遠いワンマン企業だった当社が、なぜ変わろうと思ったのか。

正直に言いますと、「透明化、待ったなし」だったからです。

社員の定着率が高まり、勤続年数が伸びていくと、それまで「はいわかりました」とうなずいていた人も、いろいろなことに疑問を持つようになります。
また、IT化が進みSNSが活用される近年は、他社の経営の好事例などが黙っていてもキャッチできますよね。そうなると、「他社はこうだが、当社は違う」と感じることでしょう。

それらが重なり、社員のフラストレーションが頂点に達したのが2019年でした。
このままでは社員を同じ方向にまとめるのは難しい、どうにかしなければ!
そんな矢先、グループウェアを提供するサイボウズの存在を知り、マネージャーとともに2日間にわたる「チームワーク経営塾」に参加することにしました。

経営塾が掲げる目的は、「経営情報を見える化し全社員と正確な情報を共有することで、社員に責任感を与え、オーナー意識に基づいた自立した行動を促す」こと。
ブラックボックスだらけの当社にできるだろうか──参加前から不安しかありませんでした。

経営塾ではさまざまなワークがありました。
なかでも忘れられないのが、経営者とマネージャーが分かれ、それぞれ本当の思いをぶつけるワークです。
マネージャーから挙がった「会社のお金は鬼頭さんの財布状態」「やさしいけど本心がわからない」などの言葉。
社員の意見を吸い上げながら会社を改善し、利益がでたら社員に還元する。そんなスタンスで経営を続けてきましたが、透明化を怠ったことで、疑いしか生まれないようになっていると痛感しました。

当時のショックは今でも鮮明に覚えているのでもう一度書きますが、経営者のみなさん、社員を思ってのブラックボックスは疑心暗鬼しか生みませんよ!

3.透明化のためにやるべきこと

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経営塾から戻り、さっそく会社の透明化に取り組みました。
ここに取り組みを細かく挙げていくと、本一冊分ぐらいになるため要点だけまとめてみます。

まずポイントとして挙げられるのが、「情報の共有」です。
それまで当社は、社員間の伝達は口頭かメールでした。でもそれは共有ではなく一方通行。もっと言えば、当事者同士しか知り得ない「クローズされた情報」になってしまうんですよね。

プライバシーに関すること以外は共有する姿勢も大切。
隠しておいたほうがいいことって何でしょうか。
冷静に考えると、ほとんどの情報は公開できるものだと思います。
たとえば会社の経費の内容が公開できない、したくないとしたら、
経費処理において何らか不正や忖度があるのではないでしょうか。

取引先と会食やゴルフに行ったことが社員に知られてしまう……。
知られていいんです。そこに明確な理由があれば
経費がグロスで計上されているより、社員としてはよっぽど安心でしょう。

もうひとつのポイントが、「説明責任と質問責任」を果たすこと。
当社では情報共有のためグループウェアkintoneとTeamsを導入し、あらゆるやりとりを集約。そして、発信者はきちんと説明をし、受信者は疑問点があればかならず質問をすることをルール化しました。
誰もが情報にアプローチできるようになったからといって、垂れ流すだけでは形だけの共有になりかねません。説明責任と質問責任を果たすことで、「自分の知らないところで何か進んでいる」ということがなくなりました。

4.経営の透明化のメリット

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試行錯誤を経て、当社ではあらゆる情報の透明化が進みました。
下記に社内で公開している情報の例を挙げます。

<エディマートが全社員に共有している情報の例>
◯予算計画と実績
年間の売上、仕入、粗利、経費、純利益の計画数値と実績数値
◯経費明細
月ごとに会社で使った経費の名目と金額
◯キャリアフロー
昇進のステップアップと全社員の現在位置
◯社員間コミュニケーション
案件ごと、部署ごとのやりとり、疑問や質問
◯タスク
全社員の抱えているタスクの進行状況
◯日報
全社員の1日の振り返り、そこで得られた学びや反省

経営の透明化を進めたことで、社内の疑心暗鬼は無くなりました

「不当な評価を受けていないだろうか」
「経営者は会社のお金を自由に使っていないか」
「自分のやる仕事はつまらないものばかり」

共有した情報に答えがあれば、そんな疑問や不安は生まれません。
思い返せば、ブラックボックスがあった頃は、
社員間や、経営者と社員との間で、コミュニケーションの齟齬による
トラブルがありましたが、最近はほぼ皆無です。
精神衛生上とても健やかに業務に集中できています

また、透明化により各自が発言に責任を持つようになりました。
隠しごとがあると言葉に説得力が出ませんし、
ロジックが破綻することも少なくありません。
正直に話し合える下地ができたことで、意思決定がよりスムーズになりました。

そして何より、会社が一枚岩になったと感じます。
良いニュースも悪いニュースも共有していますから、当然のことですよね。
新型コロナウイルスにより当社も少なからず影響を受けていますが、
全員が同じ方向を向いていることで、厳しいなかでも舵を取れています。


5.まとめ

「当社は風通しの良い会社です」。

限られた人数のなか、経営者と社員が近い中小企業であれば、自社の雰囲気をそうアピールすることも少なくないでしょう。
でも、風通しの良さと、経営の透明化はまったく別の話です。
社員の定着率を高め、社会貢献を果たしながら利益を生んで、企業を長く存続させるためには、風通しの良さで逃げることなく、経営の透明化をしっかり行うことが欠かせません

今回は自戒の念を込めてまとめてみましたが、
当社もまだ100%透明化には至っていませんので、引き続き改善を進めていきます。


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