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エジプトへ行ったらすぐ帰りたくなった話

これまで30カ国以上訪問しましたが、中には「んー、自分には合わないな」と感じた場所もあります。そんな中でも印象に残っているエジプト(ギザ)への旅行についてまとめました。エジプトは、ビートたけし氏がテレビ番組で「ピラミッドは一度は見た方がいい」と言っていたので、「ならば見に行かねば」と、3泊4日の弾丸で訪問しました。確かにギザの3大ピラミッドやツタンカーメンのマスクは衝撃的で、実際に行って見る価値はありました。ただ、それをも上回るマイナス体験もあったので、今回はそれを中心に紹介したいと思います。

【旅の基本データ】

出発日:2019年1月9日
日程:3泊4日(機中2泊、ホテル1泊)
旅程:成田⇔カイロ(ドバイ乗り継ぎ)
手配方法:個人手配旅行(エクスペディア)
費用:1人13万円(総額・概算)


旅の概要

しんどかった話の前に、全体像とよかった話を。

旅程は成田を夜出発して4日目の17時頃帰国するプランで、現地は丸2日というスケジュール。「ギザのピラミッドとツタンカーメンを見る」ことが目的だったので、2日で十分という計画。2日目の昼前にカイロ空港に到着してからギザのピラミッド近くのホテル「マリオット・メナ・ハウス・カイロ」に向かい、荷物を置いてから徒歩でピラミッド見学へ。ピラミッドを見た印象は「山」。たしかに自分で見ないとこの迫力は分からない。クフ王のピラミッドの内部見学もした。1月だったので20℃ちょっとくらいの気候だったが、内部はかなりの湿気だった。階段も急斜面なので、足腰が弱い人にはしんどそう。50代までに行くことをお勧めしたい。

メインエントランスは南側(下側)にあり、そちらから入るとスフィンクスがすぐ目の前に現れる。私はホテルに近い東側(上側)の入口から入ったので、スフィンクスは背中側からアプローチした。先にピラミッドを見てしまったので、スフィンクスは初めて見たときの衝撃はあまりなかった。

3日目(現地2日目)は、エジプト考古学博物館と旧カイロ市外を訪問した。エジプト考古学博物館(移転前のもの)ではツタンカーメンの黄金のマスクにご対面。大きさとそのゴールド感に驚いた。もう少しくすんでいると勝手に想像していたが、作り立てのようにピカピカに輝いていた。その後、タクシーでオールドカイロへ向かい、タクシーを待たせて30分だけ早足で見学し、そのまま空港へ向かった。実は、飛行機は19時発の便だったが、空港には13時には到着していた。博物館を出た時点で「早く帰りたい」と思ってしまったのだ。

「世界3大うざい国」などの評判もあるようですが、私が感じたエジプトが肌に合わなかった理由をまとめたいと思います。

▲ピラミッドはやはり大迫力。「人が作った山」という印象
▲クフ王のピラミッドの内部階段、というか梯子? とても蒸し暑い
▲マリオット・メナ・ハウス・カイロからの景色。ピラミッドの入口まで徒歩10分くらいの近さ

1.車の運転が荒いなんてもんじゃない

空港からは電車がないのでタクシーで向かおうと思ったが、タクシー乗り場はすぐには見つからない。空港を出るとタクシーの客引きでごったがえしている。首から身分証をぶらさげた職員らしき人もいるが、本物かどうかは怪しい。自力でタクシーを捕まえるのも難しそうだったので断念して職員らしき人と交渉すると、白タクが登場。観光地ではよくあるが、運転の荒いドライバーだった。

それ以上に衝撃だったのは、運転が荒いのは彼だけではなかったこと。大げさに言って、ほぼ全員運転が荒い。空港からカイロ市内を抜けてギザへ向かう道路は5車線くらいあるのだが、車線はあってないようなもの。平気で車線と車線の間から前の車を抜きにかかる。それがすべての車線で繰り広げられていて、生きた心地がしない。そんな様子なので、滞在した2日間だけで2件交通事故を目撃した。まあ、そうなるわな。エジプトはツアーで行って、安全なバスで移動する方がオススメです。

2.ピラミッドエリアがうざい

これが一番しんどかったポイントで、ピラミッドエリアがハンパなくうざい。のんびりピラミッドを眺めることはほぼ不可能だ。なぜか分からないが、エリア内に観光客以外の人間がたくさんいて、皆、首から身分証のようなものをぶら下げ、棒を持ち、笛を鳴らす。(以降、「偽スタッフ」と呼ぶ)。最初に出会ったのは入口を入ってすぐのところ。目の前に立ちはだかって「チケットを見せろ」と言い、見せると「こっちへ来い」と言ってチケットを持ったまま他の場所へ連れて行こうとする。明らかにおかしいと思ったので、すぐにチケットを奪い返してその場を離れた。放っておいたら「チケットを返してほしかったら金を払え」とか「これを買え(ラクダに乗れ)」とか言われてただろう。しかし、その後すぐ、別の偽スタッフに笛を鳴らして呼び止められた。何を言ってるか分からないが「そっちじゃない。こっちに来い」と言っている様子。最初は従いかけたが「そんなこと言われる必要ない」と考え直して無視した。案の状、無視しても問題なかったが、次から次へと同じパターンの攻撃が続く。「頼むから関係ない人は入れないでくれ」と感じた。

入口から離れるにつれ徐々に偽スタッフは少なくなるが、要所要所で現れる。ドラクエのモンスターのようだ。そろそろピラミッドをバックに写真を撮ろうと思っていたところ、またひとりの偽スタッフが現れた。「写真を撮ってやるからスマホを貸しなさい」と。警戒心マックスだったので、「金はない」と言うも、「金なんかとらないよ。いい場所あるから教えてやる。ほら、カモン!」としつこい。怪しいとは思いつつ、はっきり「金はない」と言ったからまあ大丈夫だろう(&最悪チップくらいで手を打てばいいか)と気を許したが、甘かった。確かにいい撮影スポットに連れていかれ、何枚も写真を撮ってくれたが、終わった後にスマホを返してくれない。「返せ」と言っても、親指と人差し指と中指をこすり合わせる(お金)ポーズと不気味な笑顔を繰り返す。腹が立ったがまわりに観光客がいなかったこともあり、どうやら劣勢だ。最悪10ドル(当時は1100円くらい)くらいは心づもりしていたので、「10ドルでいいだろう!」と言ったところ、「30ドルよこせ」と言ってスマホを離さない。もともと現金が20ドルしかなかったこともあり、最終的には「これで十分だ」と20ドル渡してようやくスマホを奪い返した。警戒していたのにだまされたので、かなり気分が悪い。

このほか、ラクダの誘いや土産の売り込みも当然ながらすごい。施設の敷地内は安全、という考えが全く通用しない国なので注意しましょう。

▲観光客と同じくらい偽スタッフがいる

3.コトあるごとにお金を要求される

ホテル内は問題なかったが、ホテル外はどこも油断できない。すぐにチップ?を要求される。最初はピラミッドエリアの荷物検査。入場の際はなかったのだが、再入場の手荷物X線検査の際に、なぜかチップを要求された。3本の指をこすり合わせるジェスチャー。全員ではなく相手を選んでやっているようだ。いちゃもんつけられたら嫌なのでしぶしぶ1ドル程度を渡した。次は、エジプト博物館の荷物預かり所。預けるときに「無料」と言っていたのに、受け取りに行くと例の「こすり指」をしてくる。「タダだと言ったじゃないか」と言ってもニヤニヤして鍵を指でくるくる回すだけ。なんか腹立つ。しかも「2ドル」と指定してくる。納得できないが、だんだん諦めの境地になってくる。この国は事前に確認しても無駄なようだ。「もうこの国やだ」と思い、時間はたっぷりあったのに切り上げて空港に向かった。出発の7時間前の到着だ。「やっと出られるぞ」と思っていたところ、最後の洗礼を浴びる。なんと空港の手荷物検査でも「こすり指」をされた。まさか空港職員まで?と驚いたが、もう「エジプトには匙を投げている」状態だったので、手元にあった1ドルを無言で手渡した。それこそイチャモンつけられたら叶わないというのもある。なんでこんなことがまかり通るのだ、と思ったが、「早く抜け出したい」という思いの方が強かった。ところが、さらに現実は想像を超えてくる。なんと「この人にも払え」ともう一人の検査員を指さしてきたのだ。この瞬間、嫌いを通り越して「無」になってしまった。実際、手持ちのキャッシュがなかったこともあり「もうない!」と無視して突破した。それこそイチャモンのリスクはあったのだが、何も言われなかった。

▲エジプト考古学博物館。ミイラだらけ

最後に。感想は個人の主観です。

色々エジプト旅行の悪い思い出を書きましたが、あくまで個人の感想です。もちろんエジプトにもいい人はいるはずで、安全運転の人もいるでしょう。そもそもの価値観の違いもあると思います。ピラミッドをはじめとする遺跡はやはりすばらしく、訪れる価値はあると思います。ピラミッドは死ぬ前に一度は見た方がよいと私も思います。ただ、電車で移動が難しい国ということもあり、できればガイドつきのツアーで行くがよいでしょう。ルクソール遺跡や王家の谷はまだ行ってないですが、次はそうしようと思います。これからエジプトへ行かれる方の少しでも参考になれば幸いです。


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