アップサイクルの可能性とedge.の挑戦
廃材が指輪に生まれ変わる瞬間
廃棄物が新しい価値を持つ製品へと変わる瞬間。これがアップサイクルの魅力です。私たちが普段、廃棄することを当然と考えている物が、実はデザインの力によって生まれ変わり、価値ある製品として人々の手に戻ってくる。そのプロセスは、単なる再利用ではなく、新しい命を吹き込むような創造的な行為です。今回は、アップサイクルの意味、重要性などを、アップサイクルブランドedge.が提案する製品の事例をあげて紹介します。
アップサイクルとは?
アップサイクルとは、廃棄物にデザインの力を加えて、新たな製品として再生させるものです。たとえば今回取り上げた指輪も、その一例です。この指輪の主な素材は、アパレル製品を生産する際に発生・廃棄されていた「裁断くず」を使っています。また、生地を織る工場で出る「捨て耳」と呼ばれる廃材を装飾に使っています。 「捨て耳」は、これまで大量に廃棄されていたそうです。
廃材の魅力に気づく
私が、この素材に出会ったのは、山梨県の富士吉田市の織物工場でのこと。そこで捨てられる運命だった「捨て耳」に着目し、それを活かして新しい製品を作る可能性に気づきました。工場の人々も、何かに使えないかと思っていたそうです。「捨てるしかないと思っていたものが、製品になれば嬉しい」として協力してくださいました。そんな気づきから発想したedge.をきっかけに、アップサイクルのムーブメントを広げていきたいと思います。
デザインに込められた想い
edge.の指輪のデザインは、素材そのものが持つ個性を引き出すことから始まりました。麻の素材の色合いに合わせて、捨て耳の配色を決め、その組み合わせを考えながら製作されています。edge.は「サーキュラーファッション」を理念に掲げ、循環型社会の一翼を担うべく、廃材の特性を生かしたデザインを追求しています。円や丸のモチーフはその象徴的なデザインであり、アップサイクルの持つ無限の可能性を表現しています。
一つ一つの手作り作品
この指輪は、ただのアクセサリーではありません。edge.のアクセサリーデザイナーが一つ一つ心を込めて手作りしている作品です。それぞれの素材に対する深い理解と、そこから生まれるデザインへの愛情が込められています。さらに、デザイナーが自ら製作に関わることで、製品に対する責任感や、作り手の思いがより深く反映されています。
edge.が目指す未来
edge.は、ただ廃材を使うだけでなく、地域との連携や社会的な影響も意識しています。今回の指輪の装飾に使った「捨て耳」は、山梨県の富士吉田市の織物工場から提供されたものです。地域の技術を活かしながら、廃棄物に新たな価値を見出すことで、地域活性化にも貢献していきたいと思っています。edge.はこれからも新しい素材や技法を模索し、廃棄されてしまう運命の資材や物にデザインの力で新たな価値を提供していきたいと思います。アップサイクルは、単なる「モノづくり」ではありません。未来に向けた持続可能な社会を築くための一歩です。edge.の取り組みを通じて、廃棄物が持つ可能性や、デザインの力でどれだけ魅力的な製品が生まれるのか、多くの人々に知ってもらいたいと思っています。edge.は、環境への配慮とクリエイティブな発想を融合するブランドを目指しています。