きさらぎ賞回顧

 7番人気が一着という決着となった今年のきさらぎ賞。しかし、決して偶然や単に松山騎手がうますぎたわけではありません。今回はきさらぎ賞を回顧していきたいと思います。

1章完全なるスローペースとなりました。

 まずは1Fごとのラップタイムから見ていきましょう。勝ち時計は1:48.3。ペースはS
1F目から12.8-11.8-12.1-12.8-12.5-12.2-11.4-11.2-11.5の決着でした。ポイントは完全によ前残りのスローペースになったところでしょう。最初の2F目と最後の3Fだけペースが上昇しました。そして前半がスローになったことから、前に居た馬も折り合いがつき、結果として上り一位で飛んできたアルジャンナも届かないと言う結果になりました。同じく6番手から差し脚を伸ばしたサトノゴールドも33.9の上りを使いながら6着に敗れています。このあたりからも前有利になったことがよくわかります。
 しかし、唯一逃げたギベルディは完全に止まって4着と悔しい結果となりました。前に行ったのに最後止まってしまったのはどうしてでしょうか。次章でなぜ止まったかを考えていきましょう。

2章 人気馬の敗因とは?全頭考察


 このレースでは1番人気のアルジャンナの3着を筆頭に人気上位3頭の馬券内が1頭に留まりました。前提として人気通りに収まったきさらぎ賞は15年以来ないのですが、敗因は過剰人気なのかそれとも展開で敗れたのか、全頭の評価とともにその敗因を探って行きましょう。

1着 コルデジア 松山弘平 7人 1:48.3
 うまく立ち回った感がものすごくあります。前走のシンザン記念の3着でもわかる通り、前半にペースを少し上げても十分粘ることができるのは実証済み。今回も得意の戦法で先行から前残りと言ううまい立ち回りを見せました。今回は上り3位というおまけがついてきたのは好材です。映像を見ると本当にかなり伸びています。騎手の好騎乗もついてすべてがはまった気がします。スタートしてからすぐ2が下がったため内でも芝の傷んでいないところを選んで進むことができました。そして4 が前への最内を通り出した3コーナー手前から4コーナーあたりでうまく外へ出し、直線では外から伸びるというコーナーワーク的にも完璧な騎乗でした。
 しかし今後頭数が増えた時には今日のような立ち回りができるかは疑問符。皐月賞は枠次第なところもまだ多く存在しています。このことからも今走は本当にうまく立ち回れたと言えるでしょう。

2着 ストーンリッジ シュタルケ 4人 1:48.3
 この馬も前前でよく立ち回った感がありますが、スタートから終始フラフラしており、幼さが今回の敗因と言えます。特に直線は一旦外に持ち出したところで1が見えてしまったのか、以降は内に刺さるように走ってしました。結果、かなり芝の傷んだところを走ってしまいまい、2馬身から3馬身(秒差にすると1秒程度)ロスしてしまったように見えます。
ただその中でシュタルケ騎手も前半うまく御したことが功を奏したのか、脚は溜まっていたようで上りは全体3位の34.1を叩き出しており、ロスなく直線走れば1着も十分にあったレースぶりでした。
 血統背景と今後の成長を考えれば将来的に重賞レベルになりそうな可能性を今回は見せてくれたような気がします。

3着 アルジャンナ 川田将雅 1人 1:48.4
 圧倒的一番人気に押された本馬でしたが、結果はコンマ0.1差の3着となりました。敗因は確実に直線の位置どりでしょう。外にヨレてロスしてしまったことがこの馬の敗因と言えます。
スタートから4コーナーまでは勝ち馬のすぐ後ろに着いていました。直線では追い出した直後に内が開きましたが、馬は外へ。結局外へ外へ走ってしまい3着となりました。
実際に5mは外へヨレていることを考えると、0.2秒はロスしています。つまり実際には1,2着レベルのパフォーマンスであったと言えます。
 ロスしても上り最速を叩き出すなどポテンシャルは確かですが、今回のような外枠ではどうも力を出せないようですね。内に馬が入れる展開となる時に軸にするようなイメージで良いでしょう。

4着 ギベルディ 武豊 3人 1:48.8
 この馬に関しては展開が向かずにそれを誤魔化せる強さはなかったということでしょう。前走は前半がかなり遅い時計で進んだので、脚を溜めることができたのだと思います。しかし、今回はかなり一人で飛ばしてしまい、前半が2Fで11秒台を叩き出すやや早めのペースになったと思われます。しかも道中はラチ沿いの荒れた部分を通った事もスピードで押し切るタイプの馬である本馬にとってもマイナスで、今の京都の馬場とマッチしなかったように見えました。
 直線はフラフラして7に被されて伸びられずの4着なのでやはり前半飛ばした分のツケが回ってきたような形です。
 力自体は上位だと思うので、春になれば十分におしきれそう。今後は新馬で勝った中山マイルのNZTからNHKマイルCに行ってもらいたいところです。

5着 トゥルーヴィル 北村友一 1:48.8
 今回は位置取りが後ろすぎた印象が拭えません。今回は直線の追い出しも遅く、どうしてあの位置取りになりながらあんなに遅く追い出したのかを聞いてみたいところです。と鞍上の疑問はこれくらいにしまして、この馬自身の敗因を探りたいのですが、実はこの馬の力は出し切れている感じはします。前走より芝が傷んでいるにもかかわらず上りも新馬戦の時と変わらないなど、やはり位置取りが勝負を決めてしまったようです。しかし、素質馬と言われていたサトノゴールドより遅く追い出して上り同タイムとギアチェンジの速さは見せつけました。血統的にも瞬発力からの末脚持続タイプに見えるので、これでこの馬が終わることはまずないと思います。次回はもう少し前目に付けられれば。この一言に尽きます。

6着 サトノゴールド 幸英明 1:48.8
 終始ロスさせられる競馬していましたね。これではいくら素質馬でも厳しかったなというイメージです。スタートしてから3の外々を追走しており直線では8のあおり食って外へ回せざるを得ない状態になってしまっています。ざっとスタートからゴールまで1秒は損して走っていますね。先ほどのトゥルーヴィルと矛盾した話になってしますが、サトノゴールドはここまでロスをして回ってもこの着差と言うことは実際は3着もしくは4着を狙えたような競馬はできています。
 ただし、粘る競馬で活躍の馬が広がるのはこの冬の主場と、夏のローカルだけなのでゴールドシップ産駒のクラシック活躍には疑問符が着く結果となったとも言えます。まあ、一頭で決めつけるのは時期尚早だとは思いますが。

7着 サイモンルモンド 和田竜二 1:49.5
 前の争いからは1秒3離されたゴールと言うことになりました。道中は最後方を追走し、直線いったんは近づきましたが、そこから離されてしまいました。芝替わりと言うのがきつい要因だったかもしれません。Pサンデーとブラッシンググルームの血統構成は芝でも走りそうですが、やはりダートの方が合っているのかもしれません。もしかすると夏には小倉の短距離で勝ち上がっているかもしれませんね。

8着 グランレイ 池添謙一 1:50.1
 今走はどうしたのかなと思うほどのレース運びでした。先行していた馬がいきなり追込で朝日杯3着に残ってしまったからなのか、道中はまったく折り合っていないような走りになってしまいました。未勝利戦を勝った時と同じようなペースで流れたものの、最後は内ラチに気を取られて失速。どうやら脚が残っていなかった様です。
 鞍上の池添騎手も「もう少し操縦性が良くなってほしい」と言っていた通り、さすがはルーラシップ産駒というべきか、馬の気質に少し難がありそうです。前走の朝日杯は追込ましたが、この馬は本質的には前に行くのが成功の秘訣のように思えます。馬の気分に合わせて乗って勝つのが似合いそうです。そういう面では横山典騎手がいいかも知れませんね。

3章 結局きさらぎ賞ってレベル高いレースだったの?


 さて、ここまで全頭の回顧をしてきましたが、はたして今年のきさらぎ賞はハイレベルだったのでしょうか?結論からいうとここ5年では2番目に強かったと結論付けてもいいでしょう。今年の理論上最速は2着のストーンリッジですが、この馬の理論上のロスを抜いたタイムは1:47.5と計算しています。このタイムで理論上走っているのはサトノダイヤモンドだけなので、この上位4頭はマイルからクラシック路線で活躍しそうと結論付けておきます。特に私が推したいのは2着のストーンリッジ。完成すれば重賞どころかG1も夢ではない様な走りを見せつけています。次走、馬場的に条件が合えば軸にしたいところですね。3着のアルジャンナも素質は十分です。このあたりが将来の重賞を盛り上げてくれるのではないでしょうか。

終わりに。


 今年は少頭数となりレベルが低いと思われがちなきさらぎ賞ですが、メンバー的には十分今後の飛躍も期待できそうなメンバーでした。巻き返しが必要な馬も何頭かいますが、それは自己条件で焦らず鍛えてもらうのがいいと思います。個人的には馬場指数で勝てたレースなので、今年はいい思い出ができたような感じです。
 今回はお試しで一つのレースを回顧してみました。次回もお楽しみにしていただければ幸いです。


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