【考察】~良い推しの日~「爆上戦隊ブンブンジャー」FINAL LAPビジュアル【白】ver.について
良い推しの日ですね!エンタメに生かされている自覚がある私にとって、推しとはすごく簡単なメタファーを使えば沼。そしてそれは一つではない。全身を投して沼に浸かっているのではなく、複数ある沼に触手動物のように数多ある触手を複数浸からせている状態なのです。そしてそのうちの一つが、今回の爆上戦隊ブンブンジャーを含むニチアサ沼であるわけです。
いやあ~~2024年3月から始まったブンブンジャーも、怒涛の展開の3rd LAPが終わり(パンチラインを挙げるとするならば①玄蕃の素性が明かされて故郷の星と父の仇ディスレースへの復讐心に燃えてブンブンジャーという特等席を降りる決断をした玄蕃を、始末屋の先斗とビュンディーが仲間の元に戻そうとするところ、そして玄蕃が戻ってくるまでの数々の描写。②ディスレースによって復活させられたマッドレックス・フューリーの、サンシーターのことを思い、記憶が蘇ったことを隠しながらサンシーターやディスレースに接する、ハシリヤン他幹部と比べてサンシーターに対する思いやりが強く、敵として憎めない一面があるところといえるのですが)、遂にFINAL LAPとなってしまいまして。
一昨年の暴太郎戦隊ドンブラザーズの沼にハマって、去年の王様戦隊キングオージャーで一度ニチアサ沼から抜けた私がどうして今年になって爆上戦隊ブンブンジャーや仮面ライダーガヴ、わんだふるぷりきゅあ!含むニチアサ沼に再びハマることとなったのかについては、またの機会に話すこととして、表題の、玄蕃が戻ってきてディスレースを倒して3rd LAPが幕を閉じたことに伴って公式さんから発表があった2パターンのキービジュアルについて考察したいと思っているんですね。
そうなのです。公式さんからの供給が「公式見解」「正式な解釈」「正しい筋道」だとすると、それがまだ提供されていない状態のオタクの心情妄想というものは非常にあらゆる方向へまさに「交錯」するわけです。
公式さんからの供給として、次のLAPのキービジュアルが先に公開されるという流れは2nd LAPや3rd LAPから既にあって、それはこれからの展開の妄想を膨らませる視聴者に対する一種のティザーとして大変有効に働いていたんですね。
一つ例を挙げるならば3rd LAPのキービジュアル。お話の縦軸となるブンオレンジ/振騎玄蕃をセンターに置きながら、このLAPのハシリヤン側の幹部となるディスレース、玄蕃がブンブンジャーに戻るきっかけとなるバクアゲ32に登場するトッキュウジャーのトッキュウ1号、新たなる(最終形態?)ブンブンカー、チャンピオンキャリアー、そしてのちの玄蕃復帰回バクアゲ33の胸熱展開に大きく与したチャンピオンジャケット(公開当初は「変身スーツにジャケットを羽織るだけなんて安っぽい強化形態だ」という声が多かったけれどそれぞれの個性あるブンブンカーの持つ特性を肉弾戦においてカスタマイズできるという仕様はかなり考えられた発想だなと認識しています)を羽織ったブンレッド。3rd LAPを終えて改めて思うのは、当たり前のことのようですが、このティザーとして公開したキービジュアルの要素を忠実にすべて回収して終えたのだなということ。事前に視聴者に提示したある種の見え見えの"伏線"をすべて回収した上で、その上で、仲間に背中を叩かれて玄蕃がディスレースに仇を討つ激熱展開を仕込んでくるのが爆上戦隊ブンブンジャーの作品もとい脚本なのです。
さて、ここから話は本題に入るとして、繰り返すようですが、3月から放送されてきたブンブンジャーももうFINAL LAPに突入するわけです。それに合わせて公開されたキービジュアルが2種類あり、それぞれ【赤】ver.と【白】ver.と称されているのですが、この後者が大変に考察の余地がある問題なのです。
本作におけるキラーフレーズでもある「自分のハンドルは自分で握る」を信条とし、そしてそれを仲間であるブンブンジャーのメンバーにも、ハシリヤンのマッドレックス・フューリーにも説いて、最後にはそれを敵である彼の使用語彙にまで至らしめたあの不動の範道大也の、最終コーナーに差しかかったところでその心が折れるのを見たいという気持ち。スーパー戦隊のレッドなど心が一度くらい折れるシナリオがあってなんぼじゃないかという気持ち。まさにオタクの"願いは「交錯」する"わけです。
そして【白】ver.を取り上げると、まず一際強く目を引くのは頽れた範道大也。背景にはブンブンジャーロボチャンピオン。バクアゲ34にてブンブンとの過去の緊密な関係性が明らかになった本作の敵サイドハシリヤンの元締めたるラスボス、ワルイド・スビンドー。
そしてなにより印象的であるのが、全体として極端なまでに彩度を下げた色合いであること。スーパー戦隊というものは戦闘シーンはもちろんのこと、日常シーンの私服も個々のキャラクターの性格が分かりやすく伝わるような衣装をしていて、実にカラフルな外見をしています。そして「カラフル」ということばで想起されるのは、バクアゲ24にてアコキグルマーの能力によって夢のなかに囚われた大也が、忘れていた学童の先生との記憶。「自分と違う色を持った人が一緒だと世界はカラフルでもっともっと面白くなるよ」ということばを思い出した範道大也が、ブルー、ピンク、ブラック、オレンジ、そしてバイオレットとカラフルな仲間を持ってビッグバングランプリ優勝という夢を再確認したあの範道大也が、その「色」を失う筋書きが示唆されるキービジュアルに、オタクはこれからの展開に思いを馳せずにはいられないわけです。
大也がほかのブンブンジャーの仲間を失うのか?失うとしたらそれは大也を「少年」と呼び、またハシリヤンとの繋がりを持つISAと密接に接触している描写もある内藤さんによるものなのではないか。「自分のハンドルを自分で握っている」と思っている大也のハンドルは、実は内藤さんによって握られているものなのではないか。そういった解釈の余地を多分に残したキービジュアルであるわけです。
そして唯一彩度を保ち、一際目につくのがピンクのペンダント。これはブンブンジャーの夏映画「プロミス・ザ・サーキット」に登場したニコーラ姫のものという推測は間違いないでしょう。個人的な考えとして、映画とテレビシリーズは繋がっているようでパラレルなものであるべきで、特撮において既に上映されている映画の登場人物がテレビシリーズに登場するというのはいささか戴けないものではあるのですが、3rd LAPにおいて玄蕃の復帰にトッキュージャーコラボ回が大きく作用したように、ニコーラ姫の関与が物語のエンジンを駆動させることは明白であるようです。
一頻りこの【白】ver.のキービジュアルについて徒然なるままに書き下したのですが、ここで【赤】ver.のゴーカイジャーの関与の示唆について触れてしまうとあまりに紙幅を食うため今回はあくまで【白】ver.によって促されたオタクの妄想に留めて置くこととします。
いよいよFINAL LAP。ブンブンジャーが完結するまであと何回かと指折り数えていたら悲しくなってきたので、御破算。公式のうねる激流のようなシナリオに流されるのもよし。都度自分なりの考察を挟むもよし。完結までのカウントダウンは迫っているのに、回収しきれていない伏線が多すぎるのではないか。この作品は「原点回帰」が一つのテーマとしてあったのではないか。そんな「?」は脇に置いておくとして、エキデングルマーによって一週飛んだブンブンジャーの次の回を楽しみに待つことといたしましょう。