pp(ピアニシモ)という煌めく世界へ。
今年のライブ初めは、ビルボードライブ横浜での
「pp(ピアニシモ)Vol.14」。
ユニコーンのABEDONさんのソロライブで、簡単に説明すると、
「ユニコーンのABEDON」しか知らない人がこれを見たら間違いなく、
「あのABEDON? どういうこと?」
と首を傾げるかと思いますが、彼の人にはこういった一面もあるわけで。
それはさておき、私が行ったのは初日の1月16日。
昨年末にリリースしたアルバム『LOOPER LOOPER』に収録された曲から始まり、ピアノの調べにモジュラーシンセが重なり華やかな音で彩られ。
ステージに設置されたミラーボールのブランコは、ABEDONさんの手によって数多の光を放ち、会場に音と光の海が現れる。
音と光を自在に操るABEDONさんは、自らが創り出した世界の中央で、さらに新たな世界を紡ぐ。
同時に無数に存在する世界を、揺蕩うように旅する気分。
ソロデビュー曲の『欲望』は、聖歌が如きアレンジに乗せて、曲名とは裏腹に厳かで、美しい響きを持って胸を打つ。
この曲は私の号泣スイッチなので、イントロを聴いただけで涙があふれる。この日も涙がこぼれていると分かっていても、それを拭うことさえ忘れて聴き入っていた。
趣向を変えてギターを手にし、『MODOKA☆C』を柔らかい声で歌い上げたあと、ユニコーンの『Feel So Moon』をセルフカバー。キラキラで満たされるビルボード。
『SO SO GOOD』では歌詞をちょっぴり間違うハプニングもありつつ、いつもとは違う雰囲気のppはなんだか新鮮。
本編ラストは再びユニコーンの『アルカセ』のセルフカバー。華やかなオーケストラアレンジと生ピアノ、それに華を添えるフラワー音楽団(往年のフラワーロックをご想像ください)を従え、伸びやかな艷やかな歌声が私たちを優しく包む。
『アルカセ』を歌うのは民生さんだけど、いつかABEDONさんがこの曲を歌うのを聴きたい、そんなささやかな夢が叶った。
アンコールはこれまたユニコーンの『100年ぶる〜す』。ボーカルを務めるのはABEDONさんのキュートな相棒、どんちゃん。
ABEDONさんの肩にちょこんと乗り、愛らしく吠えたりぱたぱた動きながら歌う姿はとってもラブリー(種明かし:ABEDONさんがボイスチェンジャーを使用)。
音と光と、そして会場に咲き誇る無数の笑顔の花。
この上ない多幸感に包まれて、1時間弱のライブは幕を閉じました。
なおppは通常、1stと2ndの2回公演となっており、1stの座席はステージへと行き来するABEDONさんを、間近で見られる距離でした。
至近距離で見たABEDONさん、あゝカッコいい。
ppを構成するのはピアノとシンセサイザー。あとはABEDONさんの頭の中にある設計図。なのに毎回、内容は全て異なる。
ppは毎回、ABEDONさんのその時の心の在り方や興味を抱いたもの、それらが音と絡み合っていくつもの世界になる。前回と同じものなどひとつもない。
だから毎回、新鮮な驚きと喜び、感動がそこにある。
初めの1音が鳴った瞬間、心はあっという間に引き込まれて、深く捉えられ離れることなど叶わない。離れようとは思わないけれど。
貴方の大切で心強い相棒たちを操って、矢継ぎ早に生み出される世界。その場限りの、二度と会えない一期一会の美しく荘厳な、同時にどこか切ない、貴方の世界。
その世界を体験したくて、貴方の心の内を覗き見したくて、貴方と感情を共有したくて。
なにより、大好きな貴方と貴方の音に会いたくて。
私はこれからも、ppに足を運ぶのだろう。