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榎田ユウリの書斎便り
2021年6月22日 09:53
百年の紅茶 榎田ユウリ その朝、大きな壁に常時表示してあるデジタル数字が、音もなく変わった。99から100へ。 私は旦那様の寝室に佇んだまま、無機質に浮かび上がる数字を見つめる。完全遮光カーテンのおかげで、部屋はいまだ暗く、旦那様はベッドに横たわったままだ。その胸が静かに上下しているのをしばらく見つめてから、私は七歩進んで窓辺