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「降参です」を言う前に

5月のGW明けから今ひとつ頑張れない私でしたが、NHKの朝ドラの「虎に翼」の主人公寅子ことトラちゃんが頑張っている姿を見て、「私の代わりに頑張ってくれてありがとう!」と謎な感謝をしながら毎朝楽しみに見ています。
自分は前に進んでいる気はしないが、トラちゃんが進んでくれていることで癒されているというか…
今回は第41週の中で朝から本気で泣けてしまった場面の1つについて、なぜ激しく共感して涙してしまったのかを考察する、という話です。

「私なりに頑張りました。けれども、降参です。」
第41週目のトラちゃんは、苦節の末に晴れて弁護士になってからもがいていく話。夢半ばで諦めた学友たちの思いを背負わなくちゃ、未来への道を切り開かなくちゃ、自分しかやれる人がいないのだ、という切羽詰まった気持ちのもと道なき道を進もうとします。でも妊娠して体調もすぐれない上の激務で倒れてしまい、周りからは「今するべきは母としての役割」と言われ、同志の友とも喧嘩別れをし、弁護士事務所も辞めてしまいます。自宅に帰り、寅子の進む道に反対しながらも支えてきた母親に対して言うのが、このセリフです。

「降参です」は、自分だけでの頑張りではどうにもならなくなった時の気持ちだ、と思いました。
それは私個人としては子どもを育てる中で何度か思った感覚です。
どんなに段取りをしていても子どもと時間通りに家を出れなかったこと、夜仕事を終えて子どもを連れて帰ってきたとき、ついさっきまで持っていた鍵を子どもが失くして家に入れなかったこと、土砂降りの中子どもを乗せた自転車を倒してしまったこと(←幸い怪我はなかったですが)など。

改めて挙げてみると小さなことばかりなのですが、当時の私には、頑張ってるのになんてうまくいかないんだ!と思うことばかりで、じわじわ追い詰められる感覚でした。何かに向かって「降参です」と言いたいけど、降参したら、じゃあ誰が子どもたちのことをケアするのか、と思っていましたし、せっかく仕事を続ける機会を与えられているのに手放したくなかった。それは、今思えばですが、私が本当に欲しかったものかどうかと言うより、仕事も結婚も子どもも全て手に入れられた先にハッピーがあるよ、と言う幻想に自分がかりたてられていたのかなとも思うのですが。

その時の自分自身の苦しさを思い出しながら、時代的にもさらにアゲンストでチャレンジレベルも超ハイレベルなトラちゃんの場合、ますます周りの人からは虎子が何に悩み、何に苦しんでいるのかは周りには伝わらず、孤軍奮闘した結果「降参です」と言わざるを得なくなる、となる展開とトラちゃんに私は朝からとても切なくなったのでした。

しかし、本当は「降参」する前に、「めっちゃしんどいから手を貸して欲しい」ってことを先に言えればよかったんだけどな、とトラちゃんにも自分にも思います。真面目すぎるし頑固すぎるし背負いすぎてるし、トラちゃんと志をともにするヨネさんが言ったように「何でも一人で背負って悲劇のヒロインぶりやがって」となっちゃうんだよね、と。

デジタルデトックスジャパン代表の森下さんのVoicyで「相談する行為はコツだけで『仲間集め』に変わると言う話」を最近聞いて気づくことがありました。

困っていることを誰かに相談することは、誰かの時間を奪うことで申し訳ない、と言う気持ちになりがちですが、実は相手にとってもメリットがある、と言うのです。どうして自分がそれをしたいのか、のWHYをちゃんと伝えることができれば、同じことを目指す人の仲間集めになる、ともりしたさんは指摘しています。

トラちゃんの場合は、女性が弱者になっている世の中を変えていきたいと言う志を持つ人は周りにいるわけなのに、トラちゃんが意地になって一人で抱え込むことで対立さえしてしまうことになるわけです。私の気持ちなんて誰も分からない、と思えば思うほど、共通して持っている想いのことが見えなくなってしまう
私の場合だって、家族である夫や、ママ友や同僚たちに助けて欲しい、なぜならば子どもを育てながらも自分がやりたい仕事をすることが当たり前の社会になって欲しいじゃないですか、と言う想いを共有できるわけで、相談すれば仲間の絆がもっと強まる効果があったのに、と思います。

周りに迷惑かけずに一人で切り盛りしなくちゃいけない、とか一人でやり切れる方が良いことだ、と言う価値観に縛られちゃうんですよね。

一人で頑張り過ぎてしまう、は、私にとって心あたりが本当にたくさんあります。今でもつい自分が一人で頑張らなくちゃ、と思いがちな傾向があります。誰かに相談したり助けを求めたりするのは相手に迷惑をかけてしまうと思って躊躇すると言うこともありますが、もう一つ、弱い自分を見せることの怖さもあります。 でも、弱っていることを隠せていると思っているのは自分だけで、多くの場合周りからバレてたりするんですよね。
逆の立場だとよく分かります。ああ、この人テンパっているのに助けを求めてくれなくてますますテンパってるな、と思うこと、ありますよね。

ちょっとだけ勇気を出して、弱い自分もちゃんと認めて「降参」する前に相談したり助けを求められるように、少しずつても変わっていきたいと思いました。
「降参する」って切ないですし、「降参しました」っていう誰かを見るのも本当に辛いです。言ってくれれば微力ながら力を貸したのにってみんな思うんですよね。
目指せ、相談上手!




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