男性育休を語ろう・考えよう
アラサー・アラフォー時期を心身健やかに生き生きと過ごしていきたい、という欲張り3人組が始めたポッドキャスト番組の12回目。
「世界トップ」の男性育休制度を持ちながら、その取得率は「世界ワースト」...。日本社会で男性育休が広がらないハードル、海外との比較、はたまた、第1子目の父親の育児参加度がその後の出生率に与える影響など、今回は長女さおりがピックした、こちらのテーマについて話しました。
1. 最近よく日本で話題になった男性育休
今回の男性育休というテーマですが、2019年に私たちの周りでニュースになることが多かったような気がしています。
まずは収録時点で記憶に新しかったのは「小泉進次郎大臣の育休取得宣言(このあと育休は見送りかというニュースも出ましたが・・)」そして「化学メーカー大手のカネカの男性社員の方が受けた育休直後の転勤命令→事件」の話、ほかにも「三菱UFJモルガン・スタンレー証券の男性社員の方が復帰したら仕事が干された状態だった事件」の話。
これらは日本の話ですが、アメリカでも2019年の5月に規律で約束されていた16週の育休が取れなかったという男性社員が(与えられたのは2週間だった)勤務先の証券会社を相手取って訴訟を起こし、勝ったということが話題になったことがあったという話がありました。
2. 吉澤智哉さん、というエンジニア男性の方の連載
短略的に「海外=進んでいる、日本=遅れている」という二項対立構造にはしたくないし、それは違うだろうな、という前置きを踏まえ、一つの参考として先進的な事例を、と紹介されたのはスウェーデンで生活をされている日本人エンジニア吉澤さんの発信内容。
90パーセント以上の男性が育休取得する国で、実際に4ヶ月の育休を取得し、戻ってきたら「育休前より一ランク出世」だったという話。
あまりにも自分たちの周囲で感じている事例から飛び抜けたケースなので「ほー」と三人でしみじみとなった後、次女ともこからは「そこまで先進的であるわけじゃないけれど」という流れでニューヨークでよく見る「パパによる子育て」のシーンの紹介もありました。どういう日常を日々目にするかって「パパ」と育児のイメージを私たちの頭の中にすりこます上で無視できない気もします。
3. 「イクメン白書」データより
海外と日本の比較から、日本国内での比較へということで、その後は三女まりによる「イクメン白書」(積水ハウスが最近出したもの)の内容の紹介がありました。
「イクメン白書」=47都道府県の20代~50代のパパ・ママ9400人が調査内容。発行元の積水ハウスは男性の「イクメン力」を決める4つの指標を以下のように独自に設定し、これら4指標5項目をそれぞれを数値化して47都道府県別にランキング化した。その4つの指標とは①配偶者の評価(2項目)、②家事・育児時間(配偶者評価)、③育休取得経験、④家事・育児参加による幸福感。
そのランキングの1位は「島根県」で2位「沖縄県」、3位「鳥取県」!
日本国内でも県別に見ると、他の先進諸国の父親と並ぶくらい家事育児をしている父親がいることが明らかになっています。ちなみに東京は38位。。日本国内でも色々なばらつきがあるのが興味深いと感じさせられる内容でした。
4. 育休取得率の話
ちなみに白書によると、実際に「1日以上の育休を取得した男性」はどれくらいいるかというと、日本全体の約1割(9.6%)。
1日って・・・というのは置いておいて、やはり取得比率は低いんじゃないかなーと・・。なんで日本で男性が育児休暇を取らないのだろう。前述の白書での該当する回答をみてみると:
育休を取らない理由のトップ3は:
NO.1 職場で育児休業が整備されていないから
NO.2 職場が育児休業制度を取得 しにくい雰囲気だから
NO.3 職場で周囲に迷惑をかけてしまうと思ったから」
- 「イクメン白書」より
整備されていない。でも、同様にユニセフなどによると日本は「制度が整っている度合い」と「実際に取得される比率」が先進国の間でもっとも低いと指摘もされているとか・・。
(日本の男性の)4人のうち3人が自分の会社の育休制度について「知らない」というデータも前述の白書にはあったらしく、育休をとっている男性が少ない背景には知らない、知っているけれど何らかの理由で取らない・取れない、など色々あるのだな、と思わされる内容でした。
5. 長女さおりの旦那さまの場合
ちなみにエダマメ三人娘の中で唯一の「男性の育休」体験をしている長女さおりからは旦那さまの時のケースの共有が。今の職場に旦那さまが転職して2年後に、ほぼ社内一号案件として3ヶ月の育休をとったという実体験。ご本人は「デメリットなんて一つもなかったよ、いいことしかなかったよ、純粋に楽しかった」という感想であったもよう。その人の性格や会社内での実績や関係性の築き方、会社の文化や経営陣の趣向など色々な要素があるのかと思いますが、そういうサッパリ前向きな体験談、いいですよね。
そこでは、3ヶ月(さおりが産休)+3ヶ月(旦那様が育休)という組み合わせで産後直後の子育て期を一緒に乗り越えていったという事例を受けて、いかに子育てを一緒にする大人ができる限り平等に休みをとるオプションがどれだけあるか、ということについてディスカッションしました。
実際に次女ともこが働いている組織では、実子・養子ともにprimary caregiverという立場にいる社員は12週、100%の給料支払いの休みが取れる一方で、non-primary caregiver(男女のカップルの場合はこれが男性になる)は最大4週ということでちょっとギャップがあるのが現実です。
カリフォルでは「パパ・ママ問わず、社員が親になった際に有償の有休の最大6週間、無償の有休の最大12週間を与えなければいけない」という法律の対象企業を2018年に「従業員五十人以上の企業」から「従業員二十人以上の企業」に広げたり。
最近は色々な会社が優秀な人材をひきつけるために様々な産休・育休パッケージも提供しているようです(余談:以下の記事の中で、ゲイツ財団では1年の有償産休・育休制度がもともとあったのだけれど、それを結局は6ヶ月に短縮して代わりに2万ドルの子育て支援金との組み合わせに変更した、という興味深い話も紹介されていました)。
6. 育休体験者の男性側からの発信もどんどん増えている
上の記事のような大手のみならず、スタートアップといった、より小さな・ゆとりがそこまでないような組織の文脈でも少しづつこういう施策を意識しているところが増えている、という話もききます。テニス選手のセリーナ・ウィリアムズの旦那さん(ベンチャーキャピタリスト)は奥様想い・子煩悩で有名ですが、彼が4ヶ月育休をとった後に書いた記事も参考までに。
"I encourage all of our new dads to take their full leave, because it de-stigmatizes pregnancy-in-the-workforce for our female colleagues” - Alexis Ohanian Sr.
日本語でも発信している人、少しづつ増えてきている気がしますよね。こんな本とか。ツイッターでもよく育休をとっている最中の男性の方の発信などがあったりします。
7. 第一子目の育児体験がその後にあたえる影響
最後に、興味深い研究結果の紹介が三女まりから。シカゴ大学の山口一男先生による研究内容。当初は二人の子どもを産むことを希望する母親がその希望を実現しないのは、一子目のときの夫が育児への非協力というネガティブな育児体験が主な原因となっているという・・。
第1子目の時の父親の育児参加度が、母親の1子目の育児体験をポジティブなものにし、それが第2子目の出産率を上げることに繋がるというこの研究結果。ちなみに第1子の出産には、 継続就労の可能性が影響を与え、第3子の出産には、教育費の見通しが影響を与えるそう。
この話題はなんか以前の私たちのエピソードにも少し関わる部分があるな、と感じます。
8. Thank you
今回のエピソードでは三人からどんどん「周りで見聞きしたこういうケース」というものがたくさんでてきたのですが、結局何かしらすこーしづつ変わってきてる部分がありそう・・でも色々なテーマに密接に関わっている問題だからきっと社会全体の変化としてはゆっくりなんだろうな・・、という気持ちにさせられたテーマでした。
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ここまで聞いてくださって・読んでくださってありがとうございます!ご興味があれば過去のエピソードもぜひぜひ聴いてください。また私たちの発信内容に興味を持ちそうなご友人がいれば、ぜひリンクをシェアしていただけると嬉しいです。
それではまた次回!