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映画『Knock Down the House』から考える、女性リーダーの壁について

アラサー・アラフォー時期を心身健やかに生き生きと過ごしていきたい、という欲張り3人組が始めたポッドキャスト番組の6回目。今回は三女まりがピックした、こちらのテーマについて話しました。

1. ドキュメンタリー映画 「レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-」

話の最初のネタになったのは三女まりが最近見て感動したというこのドキュメンタリー映画について。英語のタイトルは「Knock Down the House」。Knowck Downとは英語で「打ち倒す」、the HouseはUnited States House of Representativesの略で、アメリカ合衆国議会の二院のうち下院にあたる議院を指します。この映画はNetflixで見ることができます↓

内容は2018年アメリカの中間選挙で、民主党から下院議員選に出馬した4人の女性新人候補者の戦いぶりを追ったもの。その4人の一人であったアレクサンドリア・オカシオ・コルテス(通称AOC [エーオーシーと発音])はその後当選し、29歳の史上最年少の女性下院議員として活躍中です。

「一般家庭に育った、労働者階級の、普通の女性」がものすごい権力を持つ現職議員に立ち向かっていく姿とそのドラマを描いたこのドキュメンタリーが公開されてからの数ヶ月、様々なメディアがこの映画についてコメントをするようになりました。

監督のコメントはこちら。

「2016年の大統領選後に、自分自身が希望を持てるストーリーを探したかったの。当時のわたしには8か月の赤ちゃんがいて、何か自分が信じられるものを描かなければいけないと思ったわ。だから、全く異なった個性と育った環境、そして社会的格差がありながら、それでも共通点を見いだせるような女性たちを探し出したかった。そんなときに、ごく普通の人たちをリクルートして、議員選に出馬させる企画を耳にしたの。そこで、企画の主催者に連絡を取ってみたら、出馬候補者を教えてくれた。中には、まだ出馬を決めていなかった人もいたわ。今作に出演しているアレクサンドリアも、まだ出馬を決めていなかったときから撮影しているの」

ニューヨークに住んでいる次女ともこからは「AOCがいかに注目されているか」の話が共有されました。(彼女のtwitterのフォロワー数は500万人以上)

2. 「女性リーダー」の前に存在する色々な壁

番組ではAOCがどう最初の「壁」を乗り換えたか(そして、これからも引き続き挑戦していく先にある「壁」)を描いた映画について話をした後に、日本の政治の世界ではどのくらいこういった「壁」が厚いのかというトピックにシフトしました。

日本の女性議員比率はもっと低いんですね。

アメリカで女性の選挙権が認められたのは1920年で、すでに100年が経とうとしてるのに、議員の8割は男性。日本はもっと低くて、2019年2月1日時点で、衆議院の女性議員比率は10.2%で、世界193カ国中164位 - 内閣府男女共同参画局「共同参画 2019年6月号」

女性候補者がそもそも少ないという現実がそもそも背景にあるのですが、なぜ候補という選択・行動をとる人が少ないのか、そういった人たちの行動を阻むのは何があるか。そんなことを話しました。

要因は複雑で、女性自身にあるものも、周囲にあるものも、両方ありそうです。例えば以下のような壁が、研究から挙げられています:

・子育てや家事などで時間が足りない(家庭内責任の壁)
・家族のサポートや周りの理解を得られないという壁
・女性がそもそもリーダーとして出ることが期待されていない・自分で期待していないというステレオタイプからくる壁
・自信不足という壁

最後の「自信不足という壁」理論の参考情報として、女性が男性と同等の学歴や職歴をつけてもなお女性の方が出馬したがらない傾向を明らかにしたジェニファー・ローレス教授の共著『候補者が必要:なぜ女性は出馬しないのか』(2005)についての紹介がありました。そこでは女性たちが出馬したがらない要因として女性が自信や野心を持ちにくいことが指摘されています。

3. 別に政界に限ったことじゃない

これらは政界に限ったことではなく、ビジネスの世界でも同じこと。次女ともこからは「女性」x「雑誌業界」x「アフリカ系アメリカ人という人種」という文脈での「壁」、その壁を乗り越えた女性リーダーのストーリーを紹介したポッドキャストのエピソードの紹介がありました。

Teen Vogueという雑誌の元編集長のElaine Welterothの話ですね。彼女が直面したような壁を体験する多くの人に勇気と希望を与える内容になっています。

When Elaine Welteroth was appointed editor in chief of Teen Vogue in 2015, she was the youngest and first black editor in the publication’s history. She set out to transform Teen Vogue into something more than just a fashion magazine

他にも「女性」x「宇宙業界」x「アフリカ系アメリカ人という人種」というカテゴリーだと実話を元に作られた映画「ドリーム」(原題:Hidden Figures)も私たちのお気に入り。

おすすめです。

今回は性別や人種というものに起因した「壁」の紹介でしたが、きっともっと色々なところにそれぞれの形を持った「壁」というものは存在しますよね。複雑な要因で築き上げられた「壁」がごっそり一朝一夕でなくなることはないものの、こうやって少しづつ「壁を前に押してみたよ」「壁を乗り越えてみたよ」エピソードが社会でどんどん広がっていくのは勇気付けられることだな、と感じます。

4. 「壁」を何人が乗り越えたかの数値重視のリスク

今回は女性リーダーの壁を出発点に色々と話しましたが、最後に長女さおりからは、壁はそもそも複雑な要素が絡み合ってできていることを考えると単純に様々なセクターの女性比率をあげる、増やすというのは一つのアウトカムにすぎなくて、単純に増えたからオールOKとはならないよね、ということ。

そして、「がんばってる女性に下駄を履かせる」のでもなく、男女ともにあたりまえに助けあえる社会環境になっていくのが理想だな、という意見が出ました。

上記の紹介記事のように、数を増やすとか数合わせする、ではなく、ちゃんと壁の要因になっている様々なことそれぞれにおいてちゃんと中身が変わったね、私たちを取り巻く環境がより良く・より過ごしやすくなってきたね、と言える社会にしていきたいな、と。またそのために自分自身が小さな一歩として何ができるかな、と考えていきたいな、と感じました。

5. Thank you

ここまでedamametalkを聴いて・読んでくださり、ありがとうございます。他エピソードのアーカイブなどはウェブサイトをご覧ください。

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それではまた次回!


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