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ふつうのアラフィフ主婦が夫婦別姓を考えてみた

 時代の流れに合わせて数年後には「選択的夫婦別姓制度」は導入されそうな気がする。日本では妻が夫の姓になることが圧倒的に多いので、この制度の導入は日本で問題になっている男女格差解消の一歩になるのではないかと思う。SDGsの5番目は「ジェンダー平等を実現しよう」なので、これをやらない手はないだろう。

 ちなみに私は夫の姓になって18年ぐらい経っているので、この問題についてはニュートラルな感じで見ている。私自身はたぶんこの制度が導入されても利用しないだろう。でも結婚すること、結婚して姓が変わることは、やはり人生のなかで大きな出来事だったので、この問題を考えてみることにした。

 まず、実際にこの制度が導入されたときのことを想像してみよう。

 導入直後には「元の姓を保ちたいために事実婚状態だった夫婦が婚姻届を出す」ということが考えられる。実際は何人ぐらいいるのだろう。でも何人いようが事務フローが確立していればこれは問題なさそう。

 でもやむなくどちらかの姓で婚姻届を出していた夫婦が制度が出来たから別姓にしたい、という場合はどうするのだろう。「名字変更届」みたいのを出せば受け付けてくれるのだろうか。まさか一度形式的に離婚しなきゃいけない、なんてことはないよね。そしてその変更はいつでもできるものなのか、期限を決めるのか、ここはクリアにしておかなければならない。

 導入数年後のことも考えてみる。夫婦別姓で婚姻届を出したけれど、その後子供が生まれて、家族全員同じ名字にしたい、という状況になった場合、それは可能なのだろうか。

 う~ん、この制度を導入するなら、決めておかなければいけないことがいろいろあるなあ。

 次に、制度が導入された場合の夫婦パターンを考えてみた。たぶんどの夫婦もこの4つのどれかに入るだろう。

1 結婚している夫婦(夫婦同姓)

2 結婚している夫婦(夫婦別姓)

3 結婚している夫婦(夫婦同姓、ただし職場ではどちらかが旧姓使用)

4 事実婚の夫婦(婚姻届を出していない)

 要は2が増えただけなのだが、名字が違う夫婦がいた場合、今まではそのケースは100%事実婚だったのに、制度導入後は名前を見ただけでは籍を入れているか入れていないかが判断できなくなってしまう。「選択的夫婦別姓」を選んだ人は何かあるたびに「自分たちは事実婚ではなく、入籍した夫婦であること」を証明しなければならないかもしれない。

 勤務先ではこの制度導入の影響はあまりなさそう。戸籍上名字が変わっても旧姓のまま仕事を続ける人(3)と結婚後も姓が変わらない人(2)が混在していてもさほど問題はない。

 それからやはり一番考えなければならないのは生まれてくる子供の名字。「選択的夫婦別姓」の議論に子供の名字については何か話が出ているのだろうか。

 名字に対して強い思いがある人がこの制度を利用すると思うので、一人目の子は夫の名字、二人目の子は妻の名字、三人目は・・・というふうに兄弟姉妹で違う名字になることも考えられる。親と子の名字が違うのは本人たちは問題なくても周囲はちょっと大変そう。

 極端な例えをしてみると、小学校の同じクラスに「子供が鈴木で母親が佐藤という家庭」と「子供が佐藤で母親が鈴木という家庭」がいたらややこしいこと極まりない。担任の先生は子と親の名字リストを作らなければいけないかもしれない。

 また、さきほどと同様に親子関係についても「名字が同じ=親子」と無条件に判断できていたものが、「名字が違っているけれど血のつながった親子である」という証明が必要なことが出てきそうな気がする。

 もしかしたら「選択的夫婦別姓」は制度を導入することそのものよりも、実社会でスムーズに運用させるほうが難しそうな感じがしてきた。念願だった夫婦別姓を手に入れた人が実生活で不自由な思いをしては意味がない。

 SDGsの期限は2030年。「選択的夫婦別姓」はたくさんの議論や準備が必要な制度だと思うので、先延ばしせずにスタートしたほうがよさそうだ。

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