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妄想沖縄旅行(三日目・午前)

 沖縄で迎える2回目の朝。今日も6時に自然と目が覚めた。ちょっとだけカーテンを開けて天気を確かめる。今日もまあまあの晴天。安心して朝のルーティン(テレビを消音で見る→洗顔&着替え→今日の予定を予習)を行う。

 家族を起こさないと朝食開始時間に間に合わない、というギリギリの時間までまったりする。今日から旅の後半。身体はいつもより疲れているはずだけど、旅行中はキューピーコーワゴールドもオロナミンCもいらない。「大好きな沖縄に今いること」だけで疲れが吹き飛ばされている。だったら沖縄に住んじゃえばいいのかな、なんて能天気な考えが浮かぶのも旅先ならでは。

 そろそろ起こすかとカーテンを開いて自然光を部屋に入れる。何も変化がない。うちの男たちは本当に眠りが深いらしい。 「おはよう!」と言いながら、テレビの音量を上げると、ようやくごにょごにょ動き出す。動物の生態を観察する気分。

 ホテルを一泊ずつ変えるメリットのひとつは、いろんな朝食のビュッフェを楽しむことができること。「こんなにたくさんの料理のなかから好きなものを選んでいいのね!」という喜びは子供のときと変わらない。アラフィフおばちゃんになってもそうなんだから、この先おばあちゃんになってもビュッフェの朝食にワクワクするのだろう。食いしん坊は幸せだ。

 家族で並んで料理を取っていたはずが、いつの間にかバラバラになって、席で再び集合する。山盛りのお皿の夫、適量の長男、少なめの次男。自分で選んだものだけが載っているトレイはそれぞれの性格をよく表していると思う。「それどこにあった?」「あっちのテーブル」「じゃあ後で取ってこよう」という会話にほのぼのする。どのテーブルの人たちも笑顔で幸せそう。朝ごはんが美味しかったら戦争なんて起こらないかもね。

 今日の午前中は予約しておいたホテルのビーチ発のボートシュノーケリング。沖縄本島のシュノーケリングといえば青の洞窟が定番だが、今回は本島の北のほうの海が見たくなって申し込んだ。

 ホテルのビーチに水着で集合。私たちの他に3グループが参加している。ライフジャケット、マスク、フィンを借りたら、ボートに乗って出発。シュノーケリングってこんなに楽だったっけと思ったのは、ウェットスーツに着替えなくてOKだったからだろう。

 船がぐんぐん沖に向かい、あっという間にシュノーケリングスポットに到着。マスクとフィンをセットしていざ海のなかへ。日差しがじりじり暑かったから海の冷たさがちょうどいい。

 恐る恐る下を見ると、別世界が広がる。少しだけ足を動かすと、フィンが進むのをアシストしてくれる。ライフジャケットを着ているので潜ることはできないけれど、プカプカ浮きながら自由に泳ぐ魚を見る。周りには人が何人もいるはずなのに、下を見ているせいで一人で静寂な海にいるような錯覚に陥る。少し心配になって顔を上げると、みんなが近くでシュノーケリングをしていてホッとする。

 魚は人間に愛嬌を振りまくこともなく、「ああ、来たの?」という感じでスルーする。人間は海では完全にアウエーだな、自然界ではちっぽけな存在だなと、シュノーケリングで実感する。

 あっという間に時間が過ぎ、船に戻る。ずっと海にいたので、なんとなく身体がだるい。髪の毛が海水できしきししている。心地よい疲労感。流れる景色を見ていたらあっという間に砂浜に到着した。

 借りていたものを返却してシュノーケリングは終了。レイトチェックアウトにしておいたので、部屋に戻ってシャワーを浴びて着替える。ホテル発のシュノーケリングは最初から最後まで快適だった。

 シャワーでさらさらになった髪の毛をタオルで乾かしながら荷物をまとめる。忘れ物がないかチェックして、部屋のドアを閉める。

 今日の午後の予定はまだ決めていない。車のなかで家族会議が始まった。

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