#24 「 ポンッ 」(ひーくんとなっちゃんのお話④)
これは、光(ひかる・ひーくん)と成美(なりみ・なっちゃん)のお話です。まだ、続くのか・・・とか言わないで。このお話が次に続くかこれでおしまいになるかは気分次第、です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
毎朝、ひーくんは「行ってきます」のキスをする。
ひーくんは変なとこで几帳面だから、ちゃんと順番が決まっていて、
くちびる→右のほほ→左のほほ→おでこ、そしてもう一度、くちびる、
の順番でキスをする。
わたしは、
くちびる突き出して、左向いて、右向いて、ちょっと俯いて、
また、くちびるを突き出す。
初めの頃は、順番間違えてゴッツンしたりもしたけど、今はカンペキ。
でも、ひーくんは朝が弱いから、
だいたい慌ただしくポンッポンッポンッポンッポンッと雑にする。
この辺も几帳面だといいのにね。
この前、「スタンプを押されてるみたいで、なんだかなぁ」って言ったら、
「スタンプ押すのは得意だから」と、意味不明に鼻の穴をふくらませた。
経理部のひーくんは、毎日沢山の伝票にハンコを押してるらしい。
「え?今どき、まだ紙なの?」っ言ったら、
なんだか不機嫌になっちゃったから、もう言わないようにしている。
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
ひーくんを見送ったあと、
わたしも仕事に行かなきゃって、着替えようとパジャマを脱いだら、
左の脇腹に赤く小さなスタンプが残ってた。
思い出したら幸せな気持ちになったから、
今晩は反対側にもスタンプを押してもらおう。
あ、だから朝起きれないのかも・・・。
< 了 >