教室は社会の縮図!?〜会社活動①「設立編」〜
どうも。小学校教員のファニチャーです。
最近更新が止まっていました。
習慣化の見直しが必要ですね。
さて、クラスが始まると、様々な決め事があります。
当番活動(数年前から私は作らなくなりましたが…)
委員会活動(高学年のみ)
実行委員(一人一役?)
など。
今回は特に悩みの多い係活動(会社活動)について書いていこうと思います。
夏休み明けから、もしくは後期から、係活動をアップデートしたい方はぜひ最後までお読みください!
当番活動と係活動の違いについてはこちら。
なぜ、係活動を会社活動という名前にしているのでしょう?
単なる言葉遊びでしょうか?
いいえ、この『会社活動』という名前が大事なのです。
ある6年生の子はお家で会社活動の話になった時に、お母さんが間違えて係活動と言ってしまったようです。
そうすると、その子は、
『会社活動なんだから、係と一緒にしないで!』
と言ったそうです笑
このように、たかが名前ですが、されど名前。
プライドや思い入れを持って取り組む子が多数いるのです。
では、どのようなことをすると、このようにプライドや思い入れがある会社活動になるのか、見ていきたいと思います。
1.会社活動概要説明
まずは、会社活動について子どもたちに示さなければなりません。
私はこの時に、プリントを配りながら、以下のことを伝えます。
1.会社活動とは何か、なぜ会社活動をするのか。
2.社長、副社長、取締役、専務、部長などを
決めること。
3.株主総会があること。
4.監査や倒産があること。
5.会社同士でコラボ企画もありなこと。
6.人数が多すぎる場合は、
会社内で部署を分けてもいいこと。
このプリントは高学年版なので、低学年はもっと簡単にしたほうがいいですね。
こちらの記事を参考にしています。
それでは、はじめ方です!
2.会社活動を始める前に…
係活動も会社活動も、いきなりその日に
『決めるぞー』
とやっていませんか?
ここからもう、活発な会社になるかどうかの分かれ道は始まっています。
大切なのは、
会社を決める日の前日には、先のプリントを配りながら説明しておくこと
です!
子どもたちは、どんなことをやりたいか、誰と一緒にやるか、などを1日考えます。
お家の人に相談する子もいるでしょう。
1日空けることで、より自分ごとになり、面白い会社が生まれてくるのです。
その際伝えておくことは、こんな感じです。
1.会社活動はクラスみんなが楽しくなるための活動である。
2.協力することの大切さを学ぶ活動でもある。
3.なので、会社は2人以上で設立出来ること。
4.逆に人数が多すぎても、話し合いがうまくまとまらず、暇な人が出ること。
5.オススメは2から4人。多くても5人ぐらい。
6.それ以上になるなら、同じ会社の中で部署を分けるといい。
7.男女の人数や得意不得意も違う多様性のある会社が株主総会では強い。
8.そもそも、会社活動の目的はなんだっけ?
特に僕が大事だと思うことをピックアップして話していきます。
・会社活動スタート①『人数と多様性』
経験上、うまくいかなかった会社の特徴をお伝えしておくと、
人数が6人以上であること。
もしくは、
仲のいい子だけで集まること。
です。このどちらかの条件がある場合、こちらの手立てなく設立すると
ほぼ100%うまくいきません笑
みなさんも経験がありませんか?
稀に高学年で6人以上でも暇な人が出ず、うまくできる会社がありますが、それは確実に男女が混じり、タイプもバラバラです。
低学年であれば、4人以上は厳しいと思います。
なぜ人数が多いとうまくいかないのか。
それは、ずばり、遊んでしまうからです!
そんなことはわかっているよ!
なんて声が聞こえてきそうです笑
では、なぜ、彼ら彼女らは遊んでしまうのか。
それは、『やることがないから』なんですね。
大人の世界でもそうですが、人数が多いと
『誰かがやってくれるだろう』
と、手を抜くことや、仕事を積極的にしないことってありますよね。
また、当然ですが、話し合いはまとまりづらいですよね。
小学生ならなおさらです。
人数が多くても、リーダーが信頼されていて、上手に捌けるば、うまくいく可能性はあります。
しかし、仲良しメンバーだけの会社は、より関係ないことをしてしまうことが多いので、うまくいきません。
また、仲の良い友達同士は趣味が似ていたり、タイプが似ていたりします。
後ほど話しますが、株主総会でみんなに投票してもらうには、クラスの様々な層の子からの支持が必須です!
物静かな子だけでも面白くできないし、愉快な子だけでもうまく段取りが進まないし、手先な器用な子たちだけでも発表は難しいし、男子だけでも女子の支持は得られづらいし…
このように、多様なメンバーが揃った時、組織としてうまく回る会社が誕生します。
これは実際の会社やチームも同じかもしれませんね。
適切な人数と多様性が大事なんですね。
・会社活動スタート② 『副業&移籍』
また、この会社活動では、
副業OK・移籍OK
にしています。
基本的に係活動は前期に決めたら、その後、前期の間はずっと同じ係でメンバーも同じのことが多いのではないでしょうか?(3学期制でも学期中は一緒のことが多いですよね。)
しかし、そうすると、他の会社にも興味があった子は変更することができません。
また、関係が固定化すると、仲良くうまくできている会社はいいのですが、そうではない会社では、半年一緒は地獄です。
この関係の固定化については、こちらの記事を参考にしました。
プロジェクト活動にするのもいいなぁ。
良い会社活動は
対立や意見の食い違いが起きやすい
です。
なぜならそれだけ自分の意見を持ち、熱意があるということだからです。大人の世界でもそうですよね。
そして大事なことは、それを
対話によって折り合いをつける。
ということなんですね。
「折り合い」は特別活動のキーワードの一つでもありますね。
私が実践する『学び合い』でも重要な視点です。
『学び合い』についてはこちら。
「先生、この会社嫌なんです。」「辞めたいんですけど」
こんな相談が来たら、先生の腕の見せ所ですよ!笑
理由を聞いて、まずは改善できないかを探りましょう。
一時的な喧嘩であることも多いので、すぐに
「どこの会社に移動する?」
ではなく、話し合いの場を設けましょう。
そうすることで、会社のメンバーが動きやすい会社により近づくでしょう。
とはいえ、話し合ってもうまくいかないことはあるもんです。相性もありますし。
そんな時、
「他の会社に移ってもよい」「とりあえず副業で他の会社に行ってみる」
なんて選択ができると、自分の会社のいいところにも気づけるかもしれませんし、
やっぱり移動したほうがいいかも。とお試しもすることができます。
実際、副業で二つ以上の会社に入り、活発に活動できる子は時間の関係で、経験上あまりいないのですが、(この辺はまだ改良の余地がありますね)
この
選択できる自由・辞める自由がある
というのは、気持ち的にとても大事だったりします。
これからの社会にも必要なことですよね。
・会社活動スタート③『社長決め』
会社活動のリーダーは当然社長です。
(会長じゃないの?というツッコミは無しで笑)
別に名称はCEOでも会長でも、意図的にそうするならOKにしてますが、便宜上社長にしています。
みなさんは、係活動や班活動のリーダーはどう決めていますか?
そもそも決めていますか?
私は、班のリーダーはあまり必要感がないので作りません。
もちろん、子どもたちから欲しいという声があれば作ってもいいとは思っていますが。
しかし、会社活動については、様々な場面で必要になるので必ず作ってもらいます。
ここでこんな声が聞こえてきそうです。
「社長や副社長、平社員という役職を作ってしまうと、クラスの中で上下関係ができてしましませんか?」
(平社員や専務は作ってね、とは言わないんですけど、みんな面白がって勝手に作ります笑 子どもたちにとって、リアリティは大事なんですね。役職の勉強にもなり、保護者の方かも好評です笑)
結論から言います。
もしそれで上下関係ができるならば、
会社活動が原因ではなく、クラスの関係性や教員の価値観に原因がある。
と私は思います。
世の中には様々なタイプの人がいます。
人の前に出て、話したりまとめたりするのが得意な人。
前に出るのはそこまで得意じゃないけど、人をサポートするのが得意な人。
人と一緒に活動するのは苦手だけど、アイディアが豊富な人。
話すのは苦手だけど、手先が器用な人。
笑わせたり周りの人を明るくするユーモアあふれる人。
そこにいるだけで安心感を生み出す人。
「みんなリーダー」では、うまくチームは回らないんですね。
なので、リーダー以外をサイドワーカーなんて言ったりもしますが、
その重要性を語ることがとても大事です。
私は、この会社決めの際だけではなく、学校生活の様々な場面でこのような話をします。そうすることで、それがクラスの常識になっていきます。
社長は偉いわけではない。それぞれ得意不得意があり、それを生かしたり、補い合ったりして初めていいチームになる。
こんな雰囲気を作っていければ、何の問題もないです。
前置きが長くなりましたが、このような話をしてから社長決めをします。
そして決め方は、
推薦
です。
なぜ推薦か。これは
「社長選びに一人一人が責任を持つ」
「声の大きさに関係なく、一人一票ずつ誰かを推薦する権利がある」
ということを体感してほしいからなんですね。
立候補だと、「あなたがやりたいって言ったからじゃん」となり、周りの人は責任逃れをします笑
でも、推薦で話し合って決めたなら、それはみんなの責任を持って
「この人が社長なら会社活動が楽しくスムーズにできそう」
ということで決めたという責任が生まれます。
だから、社長が困っていたら助けるし、何か問題があっても社長だけのせいにはならないんですね。
推薦だと意外なメンバーが社長になったりします。あまり人前に立たない子でも、この社長になったのをきっかけに、本領を発揮できるようになった子もたくさんいます。それは、立候補制だと見えてこないものです。
逆にいつもリーダーに立候補する子が、選ばれなかったけれども、すごく上手にサイドワーカをしていたりもします。
立場は人を変えるんですね。
・会社活動スタート④『社長の役割』
さて、社長の主にすることは二つです。
1、活動の最中に突然先生から呼ばれ、会社の現状を伝える。
2、株主総会の際に、発表順番決めのじゃんけんをする。
正直、誰でもできそうな仕事ですよね。
1に関してがすごい大切で、社長は会社全体を見て、暇そうにしているメンバーがいないか、メンバー同士の対立はないか、次にやるべきことがあるか、この辺を視野を広く見て欲しいんですね。
大人の組織でもそうですが、リーダーが全て動いてしまう組織はうまく行きません。
よく学校現場でも、体育主任が運動会をマネジメントしていくのに、全て自分でやってしまって、何かを聞きたいときに聞けない、なんてことありませんか?
本来あるべきリーダーは、
どっしり構えてメンバーの様子を見守ること
なんですね。
校長先生がなんでもやっていて、話したくても、全然捕まらない学校は嫌ですよね笑
この辺のリーダー像を子どもたちにもアップデートしてもらいたいんです。
社長が一番一生懸命ではうまくいかない。
社長は常に全体を見て、暇な子がいたら一緒に対話して、新しい企画を考えたり、株主総会の準備をしたりするのが、スムーズな会社活動のコツだよ。なんて話をよくします。
はじめのうちは、社長を呼んでも、メンバーのことを答えられないんですが、何回か呼ぶうちに、ちゃんと会社全体を見ることができるようになります。
リーダーとしての成長ですね。
会社活動では、とにかくこの
繰り返す
ということが大事です。
3.終わりに
あれ、会社活動の全貌を書こうと思ったら、始め方だけで5000字近く行ってしまいました。
なので、会社活動の具体的な進め方や、活発にする方法、時間の捻出の仕方、株主総会のやり方などについては、別記事にしたいと思います。
会社活動こそ、
究極のキャリア教育
だと思っています。
1人でも多くの先生に伝わり、たくさんの子がイキイキと会社活動に取り組んでほしいと思っております。
そして、この会社活動の経験が、高学年の委員会活動やクラブ活動、中学校・高校の生徒会活動、大学のサークル活動につながっていくと思っています。
また、社長決めのところでも少し話しましたが、会社活動は
民主主義について学ぶ場
でもあると思っています。一人一人に決める権利がある。
社長決めも、株主総会も、どんな企画をするのかも。
この辺は次回詳しく話したいと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!☺️