上場まで毎年利用を公言、満額調達成功のGumroadが株式投資型クラウドファンディングに見る可能性ー持続可能な成長戦略
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今回は、株式投資型クラウドファンディング(以下、株式型CF)プラットフォームを活用した海外事例から、アメリカのスタートアップGumroad社のケースについて調べました。
※記事の中では、1米ドル=109円で換算しています。同社が株式型CFでの資金調達を完了した2021年4月時点のレートです。
株式型CFは、非上場のベンチャー企業がインターネットを通じ、複数の個人投資家から資金調達を行える仕組みです。
日本では最大1億円未満までの資金調達が可能な株式型CFですが、「出資した個人株主を自社のサポーターにして事業推進に活かせる」という、他の調達手段にはないメリットもあります。
そんな株式型CFならではのメリットを上手く活用し、可能であれば今後も毎年株式型CFを利用したいと公言しているのが、クリエイター向けにデジタルコンテンツ売買プラットフォームを提供するGumroadです。同社が2021年に実施した株式型CFは12時間という速さでラウンドを終了し、ユーザーである多くのクリエイターを投資家として迎えることに成功しました。
今回はGumroadのケースを通じて、株式型CFの魅力を探っていきます。
Gumroadとは
Gumroadは、2011年に創業されたサンフランシスコに拠点を置くスタートアップです。クリエイターが楽曲・動画などのデジタルコンテンツを自由に売買できるプラットフォームを提供しており、7.4万人以上のクリエイターが登録しています。「クリエイターエコノミー」という概念は、創設者のLavingia氏により生まれました。
創設者のLavingia氏は、「誰かのために週60時間も働くのはおかしい」と当時勤めていたPinterestを退職し、クリエイターが楽しんで働き、自立して生活できるだけの収益を得る「クリエイターによるクリエイターのためのプラットフォーム」を目指しました。
参考ウェブサイト:Gigazine
株式型CF利用の背景
Gumroadは創業以来、累計約8.7億円を超える資金をシードラウンドで既に調達しています。会社の次のステップとしてメンバーシップの運営を計画し、そのための資金調達に株式型CFを選択しました。当時は株式型CFの調達上限が最高約5.5億円(500万ドル)に緩和されてすぐのタイミングでした。
クリエイターが楽しんで働き、自立して生活できる程度に稼げる「クリエイターのためのプラットフォーム」を目指したGumroadにとって、巨額の投資を得てハイスピードで大きな成功を目指すスタートアップの手法よりも、クリエイターを投資家として巻き込みサポーターへと育てていくことが可能な株式型CFが自社の事業に合っていると判断したようです。
株式型CF利用の結果
募集開始から12時間でラウンドを終了し、約7,300名の投資家からほぼ上限いっぱいの約5.5億円の調達に成功しました。そのうち約2,300名がGumroadのユーザーであるクリエイターでした。
参考ウェブサイト:GumroadのRepublic募集ページ
投資家とユーザーの境界線を無くし将来的に支援してくれる熱狂的なサポーターをつくるー持続可能な成長戦略
創業者のLavingia氏は、主に2つのメリットから株式型CFに魅力を感じているようです。
①ユーザー(クリエイター)を投資家として巻き込み熱狂的なサポーターに育てることができる
Lavingia氏によると、事業を拡大するにあたってユーザーを投資家として参加させることに大きな価値があるとのことです。
Gumroadにとっては約2,300名のユーザー兼投資家が、今後の成長を後押しして第三者へ宣伝し、クリエイターエコノミーを広げてくれる、未来の熱狂的なサポーターです。そういった投資家(サポーター)のほとんどは、Gumroadへの投資自体に大きな利益を期待しているというよりは、投資家として参加できること、サポーターとして関わることに期待しているそうです。
②持続可能な成長スピードで会社を育てることができる
Gumroadと類似のサービスを提供する「Substack」は2017年に設立され、Andreessen Horowitzをリード投資家に構え、累計約90億円の資金をVCなどのプロ投資家から調達しており、急成長しています。一方Gumroadは、2011年に設立されて以降、緩やかな成長スピードでプロダクトとクリエイターエコノミーを育てています。
①にもあるように、株式型CFはユーザーを株主として巻き込むことが可能です。そういった(サービスの株主として関わりたいと思ってくれるような)ユーザーは、サポーターとして長きに渡って応援してくれる可能性が高いと捉えていることから、Gumroadの世界観を維持するための持続可能な成長が出来そうだと判断したようです。
株式型CFならではのメリットを活用し、ユーザーを熱狂的なサポーターへと育てていくために、Lavingia氏はこれからも可能であれば上場まで毎年株式型CFを利用したいと公言しています。
参考ウェブサイト:TechCrunch
資金を集めると同時に、『持続可能な成長スピード』で『会社を一緒に支えてくれるサポーターを集めることができる』ことが株式型CFの魅力です。
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スタートアップにとって資金集めは非常に重要です。どんなに良いサービスでも、資金が足りなければ事業を続けることができません。そのため、資金を集めること自体が目的化することもあります。
そんな時は、ぜひ株式型CFも検討に入れてみてください。
「ひとりひとりの想いをつなぎ、挑戦に力を」
起業家とそこに集まる投資家(サポーター)の想いを繋ぎ、イークラウドも一緒に挑戦します。
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