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上場株式と非上場株式の性質の違いについて知ろう【Angel's School #03】

弊社は「理想の未来に挑戦できる社会へ」というビジョンのもと、今までプロ投資家や一部の資産家に限られていたエンジェル投資の世界を民主化すべくイークラウドというサービスを運営している会社です。

NISAやiDeCoはここ数年で皆様にとってだいぶ身近な存在になりましたが、エンジェル投資はまだまだ知られておらず、知る機会や学ぶ機会もなかなかないと思っています。

このnoteマガジンではエンジェル投資に役立つ、基本的な知識から具体的なTIPSまで解説していきたいと思います。

第2回ではエンジェル投資の魅力やリスクについて学んできました。

第3回では、エンジェル投資の対象である「非上場株式」と普段証券会社を通じて取引している「上場株式」にはどのような違いがあるのか、基本的な部分から解説してまいります。

上場株式の常識がまったくといっていいほど通用しないのが非上場株式の世界です。上場株投資の経験がある方も、その違いをしっかり把握してからエンジェル投資を楽しみましょう。

上場株式と非上場株式の概要

国内のほとんどの会社は非上場企業であり、証券取引所に上場している上場企業は全体の0.1%程度、わずか3,900社程となっています。

上場株式は証券取引所やPTSなどを通じて、投資家が自由に取引することができますが、株式を取引所に上場していない非上場株式はそれができません。

また非上場株式のことを「未上場株式」「未公開株式」などと呼ぶ場合もあります。

それでは、早速、上場株式と非上場株式の具体的な違いについて詳しく見ていきましょう。

ポイント1:投資対象の会社のフェーズの違い

上場するためには、一定の企業価値で上場を目指すための業績をあげるだけでなく、監査法人による監査・主幹事による引受審査・取引所による上場審査などのプロセスを経る必要があります。

年間十数万社の法人企業開業数があるのに対して、資金調達する企業が毎年約3,000社、上場するのは僅か100社ほどです。そもそも上場を目指していない企業も多いとはいえ、上場が狭き門であることが分かります。

非上場企業の中でも、サントリーやヤンマー、竹中工務店のような業績や業歴があって誰もが知るような企業もありますが、非上場企業の多くは中小企業であり、スタートアップはその中でも特に業歴が浅く実績も十分とはいえません。

このように、上場のための厳しい基準を潜り抜け、かつそのポジションを維持し続けている上場企業と比べると、非上場企業の多くは経営基盤が脆弱であり、事業成長・継続性などに懸念があるケースも多々あります。

特にエンジェル投資は、スタートアップの創業間もないタイミングでの投資のため、上場企業のような資本力や安定性を持つ企業に投資できることは稀といえるでしょう。

ポイント2:流動性・換金性の違い

非上場株式は上場株式のように市場で売り買いすることができないため、IPOやM&Aのようなイベントなどが発生しない限り株式の売却が難しく、流動性がないという特徴があります。

また、非上場企業の株式は「譲渡制限株式」と呼ばれる譲渡制限が付されていることが大半です。具体的には「当会社の株式を譲渡により取得するには,株主総会の承認を受けなければならない。」などといったものが挙げられます。

このようなことから、仮に買い手が現れたとしても当該非上場企業の承認が必要になり、実質的に流動性がありません。そのため、非上場株式は上場株式と違い、経営状況が悪くなってきたから売りに出すというようなことはできません。一度出資をしたら中長期で保有することを前提で投資をする必要があります。

ポイント3:投資資金が直接企業の役にたつ

新株発行による増資を除き、通常証券取引所を通して行う上場株式の売買においては、投資資金が直接企業に渡ることはありません。

一方、エンジェル投資は、基本的に非上場企業の新株発行による増資に応じるかたちになりますので、投資家が投資した資金は直接投資先へ渡ることになります。

資金調達を行う非上場企業側もどういった用途で調達した資金を使うのかを投資家に開示しているので、想定する資金使途を確認し、納得したうえで投資を行うと良いでしょう。

このように投資資金が投資先に渡り、直接投資先の事業の役に立つことができ、手触り感のある投資ができるということも、エンジェル投資の醍醐味の一つです。

エンジェル投資をしたあと、晴れて株主になった場合、株主総会等で投資先の事業進捗を聞きながら、投資した資金がどのように使われ役に立ったのかを確認することができます。

ポイント4:税金の取り扱い

上場株式の配当や売却益は、特定口座であれば確定申告の手間がなかったり、売却損も配当などと相殺してくれるなど管理が簡単ですが、非上場株式では扱いが大きく異なります。

非上場企業の中でも特にスタートアップにおいては、配当を出すことが一般的ではないため、株式売却における損益発生時に焦点を絞ってポイントを解説します。

※損益通算:譲渡損益をその年の他の株式の譲渡損益等と相殺すること
※繰越控除:相殺しきれない損失がある場合に、3年間株式の譲渡損益等との損益通算が可能

このように上場株式に比べると、確定申告の手間があるなどの違いがあります。

ポイント5:投資判断の情報

非上場株式ではチャートを駆使して需給や行動パターンから分析を行うテクニカル分析はもちろんですが、業績・財務状況や経済環境から分析を行うファンダメンタルズ分析も難しいといわれます。

レイターステージなど一定の事業規模になっている企業を除いては、実績が限定的であったり、継続的な赤字体質にあり利益ベースでの判断が難しかったり、非連続的な成長計画が前提になっていることなどが理由として挙げられます。

このように、エンジェル投資においては、非上場企業から提供される限定的な材料、特に定性的な情報を元に投資判断をしていく必要があります。

創業初期の企業においては、特に経営者への依存が大きいため、経営者の評価が重要です。これまでの経験や実績などのバックグランドから人となりまで、可能な限りチェックしていくことが必要になります。

また、その企業が取り組む商品やサービスの市場の動向や外部環境などからも、自分なりの仮説を立てながら、投資判断を行っていくと良いでしょう。

今回の振り返り

このように非上場株式は上場株式と同じ「株式」という有価証券でありながら、色々な面で異なる性質を持っています。

特に流動性がない点や、投資にあたって与えられる情報の違いなどについて抑えておきましょう。

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