Elvis Presley の "Blue Suede Shoes"(160WPM)=英語教材のお話(その66)=
1950年代の"Blue Suede Shoes"
"Blue Suede Shoes"は、カール・パーキンスによって書かれ、翌年1956年にサン・レコードからリリースされました。同年、エルビスがこれをカバーし、エルビスバージョンも大成功を収めました。
テーマは、自分自身のスタイルや個性へのこだわりと、それを守る姿勢です。「俺の青色のスウェード靴を踏むな」と繰り返し訴えることで、自分のアイデンティティと生き様を表現しています。
これらの曲の成功により、ブルー・スエード・シューズ自体も1950年代のアメリカでファッションアイテムとして注目を集めました。当然、スエード素材のブルーのものが人気でした。
この靴が象徴するものは、スウェードは手入れが難しいため、汚れやすい靴を守ることにより自尊心やプライドを守る意味合いとなっているわけです。
とりあえず"Blue Suede Shoes" をざっと訳してみた
ひとつは、金のため
次には、ショーのため
それで準備完了、で、さぁ、行こう
だけど俺のブルーのスウェードの靴だけは踏むなよ
他のことは何をしてもいいけど、この靴だけは手を出すなよ
俺を殴り倒しても、顔を踏みつけても
どこででも名前を汚して構わない
好きなこと何でもしてもいいけど、だけど
なぁ、この靴には手を出すなよ
俺のブルーのスウェードの靴を踏むなよ
他のことは何をしてもいいけど、この靴だけはやめてくれ
俺の家を燃やしても、俺の車を盗んでもいい
古い果実瓶に入れてある俺の酒を飲んでもいい
好きなこと何でもしてもいいけど、だけどな、この靴には手を出すなよ
少しだけ解説を加えると
"one for something, two for something" は、「ひとつには〜、ふたつには〜」と子どもの数え歌や遊び歌の雰囲気を借りた表現になっています。
"cat" は、ジャズ用語で、ジャズマンを指すことがあります。ここでは、盛り上げるために、仲間や聴衆に対する一般的な呼びかけとして使われています。
"But don't you step on my blue suede shoes"は、否定の命令文ですが、youを入れることによって、お前に言ってるんだと強調して、強い意志を表しています。
"lay off" は、「解雇する」という意味を知っている高校生も多いと思いますが、「控える」「放って置く」という意味でもよく使います。
"lay off of something" の of は「分離」の of で、「距離感」を出します。"lay off of something"は口語的表現になります。"stay off of something"も同様です。これらの句動詞が強音とは言えない早口なので、この箇所が"Blue Suede Shoes"では一番難しい箇所になります。
"slander" は、「誹謗中傷する」という意味。
間奏中にエルビスの言っている"walk the dog"は、文字通りの「犬を散歩させろ」ではなく、音楽的なノリを高めるためのフレーズとして使われ、観客に動き回ったり、リズムに乗って踊ったり、楽しんだりしようという掛け声になっています。"Rock it"の言わんとするところは、わかりますね。
"Blue Suede Shoes"は160WPM
235語で1分28秒。160WPMで、第三段階のスピードですが、意味の区切り(センス・グループ)からすると、第三段階のスピードにもかかわらず、それほど早いとは感じないかもしれません。それでも第三段階のスピードは早いですが。
つまらないと思った人は別の教材を探しましょう
第三段階のスピードの"Blue Suede Shoes"は、スピードに慣れるという点では良いかもしれません。とりわけ母音を入れずに子音の連続させた音、blueのbl-の発音練習にはうってつけの楽曲です。でも、50年代のファッション・アイテムなんて、いかに何でも古すぎるという高校生には、あなた向きとは言えません。そんな教材は捨てて、自分にあった教材を選びましょう。