メリー・クリスマスよりハッピー・ホリデイズ!=英語にまつわるお話(その5)=
冬休みの時期はメリー・クリスマスよりハッピー・ホリデイズ!
冬休みの季節到来ですね。
言うまでもなく、Merry Christmas! という挨拶は、相手がキリスト教徒であるときに適切な挨拶ということになります。
世界の三大宗教は、キリスト教と、仏教、回教なんてことを、その昔、社会科で習いましたが、宗教的差異を無視して、メリークリスマスなんて挨拶するのは、能天気と言われても仕方がありません。だから Merry ChristmasよりもHappy Holidays というほうが、PC上、良いに決まっています。
PC(政治的正しさ)を考えないといけません
PCとは、言うまでもなく、「政治的に正しい」、(politically correct)、または「政治的正しさ」(political correctness)のことで、社会の中で主流でない社会的弱者も含めて、いろいろな立場の人たちを無意識に攻撃したり困惑させないようにするための配慮のことをいいます。
キリスト教でない人たちは世の中にたくさんいるのですから、Merry Christmas!という挨拶を不特定多数の人にするということは、PC上問題があるということになります。
たとえば、ユダヤ教なら、ハヌカのお祭りをおこなうことになりますから、Happy Hanukkah! となります。アフリカ系米国人にとっては、クワンザの祭りということになるのでしょう。
したがって、Merry Christmasよりも、Happy Holidays という挨拶の方が、安全であり、用途範囲が広く、PC上も良いということになるわけです。こうした動きは90年代から始まりました。最近少しより戻しもあるようですが。
商業的クリスマスだけで良いのでしょうか
さて、日本人は、キリスト教徒でもないのに、ケーキを買って、メリークリスマスなんて挨拶を言う安易さが気になります。
キリスト教徒にしたって、商業的なクリスマスではなく、クリスマスは、"Christmas is about giving." であり、"Christmas isn't about presents." の心でしょう。
いろいろな立場の人が存在することを認めるのが異文化理解や多文化共生、そして国際理解だとすれば、日本人はこの辺から第一歩を学ばないといけないようです。
ということで、そろそろメリークリスマスをやめて、ハッピーホリデイズにしたいところですが、私たちが「よい休日を!」(Happy Holidays!) と互いに言い合えるようにするためには、まず休日と呼べるものが私たちに与えられないといけませんね。