The Beatles の "Get Back"(94WPM)=英語教材のお話(その41)=

ビートルズの名曲「戻れよ、帰れよ」("Get Back")

 The Beatlesの "Love Me Do"(1962) と "Help"(1965)を紹介してきました。今日は名曲 "Get Back"(1969)。

少し解説を加えると

 「ジョジョは自分を孤独な男と考えていた」(Jo Jo was a man who thought he was a loner)。「けれどもそれが長く続くはずはないと知っていた」(But he knew it couldn't last)。「アリゾナ州のツーソン」(Tucson, Arizona)は、日本では知られておりませんが、アメリカ合州国では、よく知られた都市。「ジョジョはカリフォルニアの草(マリワナか草地)を求めてアリゾナのツーソンの家を出た」。
 「帰れ、帰れ、元いた所へ」(Get back to where you once belonged)。
 「かわいいロレッタ・マーティンは自分は女だと思っていた」(Sweet Lorretta Martin thought she was a woman)。「でも彼女は実は男だった」(But she was another man)。このあとがヤマト言葉で、わかりにくいのですが、「彼女の周囲の女の子たちは全員、当然の結末を彼女は受けるというが」(All the girls around her say she's got it coming)。「でも可能な間は彼女はそうして楽しんでいる」(But she gets it while she can)くらいの感じでしょうか。

ドキュメンタリー映画 "The Beatles Get Back The Rooftop Concert"

 "The Beatles Get Back The Rooftop Concert"は、1970年のビートルズ解散の前の年の1969年1月30日、ロンドンのアップル社の屋上でのパフォーマンスを中心に64分間にまとめたドキュメンタリー映画。ロンドン市内の屋上でのライブに対して当惑するロンドン市民の声も聞けて、音楽ドキュメンタリーであると同時に社会的ドキュメンタリーにもなっています。
 映画では、続けてではありませんが"Get Back"が2回(実際は3回)、"Don’t Let Me Down"も続けてではないが2回、" One After 909" "Dig a Pony" "I've Got a Feeling"の演奏を聞くことができます。

 パフォーマンスは、"Get Back" の演奏をはじめとして無駄な部分が削り落とされ、シンプルでパワフル。ビリー・プレストンのキーボードがさらに盛り立てる。演奏もさることながら、なんといってもヴォーカル。とりわけジョンとポールのヴォーカルハーモニーが素晴らしい。ビートルズが偉大なパフオーマーであることを追体験できます。
 Songfactsによれば、"Get Back"の初期のヴァージョンには "I dig no Pakistanis."(「パキスタン人は嫌いだ」)という一行が含まれていたという。1969年1月、イングランドでは熱い議論がありました。自分の国に返れ("get back")という移民問題です。だから"Get Back"という唄には、ポールが人種差別主義者ではないか、いや、むしろイギリスの移民排斥論者に対するからかいが込められているのだという議論がありました。これに対して、1986年9月のローリングストーン誌でポールは、「人種差別主義でないバンドがあるなら、それはビートルズだ。自分たちの好みの人たちは常に黒人だった」と発言しています。
 "Get Back"には、1966年にツアーを止めていたビートルズがスタジオレコーディングではなく観衆の前でのライブに、いわば原点回帰の意味も込められていました。
 "Get Back"は、ジョンに対して元に戻れとジョンとヨーコのことを触れているという説もあります。ジョン・レノンは、1980年の雑誌プレイボーイのインタビューで"get back to where you once belonged"(「元に戻れ」)には、オノ・ヨーコをよく思っていないポール・マッカートニーの気持ちが込められていると言っています。
 Jo-joは、ポールの当時の妻リンダの元夫だとか、ジョンだとか、いろいろと解釈されていますが、ポールによれば、Jo-Joは半分男性で半分女性の架空の人物だといいます。
 1969年1月30日、警察官がアンプのプラグを抜く前に"Get Back"は、3回のテイクを記録したと言われています。
 治安を乱しているという理由からライブを中止させようとする警官に対して、ポールは、おそらく面白がって、からかいの意味を込めて、アドリブで次のように歌っています。

"You been out too long, Loretta! You've been playing on the roofs again! That's no good! You know your mommy doesn't like that! Oh, she's getting angry... she'll have you arrested! Get back!" (「ロレッタ、こんなに外に長くいて。お前はまた屋根で遊んでいたのかい。だめじゃないか。お前の母さんが嫌がってるのを知っているんだろ。母さんは怒っているよ。母さんはお前を逮捕させるよ。戻りなさい」)

from The Beatles "Get Back" Take 3 Rooftop performance

 "Get Back"のテイクで、ジョン・レノンの"I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, and I hope we've passed the audition."(「グループと私たち自身を代表してお礼を言いたいと思います。そして、オーディションを合格したと思うんですけど」)というMCもこの屋上ライブコンサートから採られています。

"Get Back"は、94WPM

 大雑把なカウントですが、全部で156語。時間は、1分40秒。100秒なので、94WPM。
 センス・グループの切れ目は難しくないし、"Get back"の繰り返しなので第二段階(100WPM)といってもスピードは速くは感じないでしょう。

つまらないと思った人は別の教材を探しましょう

 たとえ有名でも、かったるい、つまらないと思えば、あなた向きではありません。そんな教材は捨てて、自分にあった教材を選びましょう。







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