ウッドショック⑤ 差別化はデザイン性
色々な情報が錯綜するなか、一体、いつになったら正常化するのだろうか。
この「正常化」という言葉にも意味合いがある。つまり正常化=「ノーマル」だった頃に戻るかどうかという事だろう・
しかしながら、2006年頃にも同様に似た市場への木材供給不足があった。当時は供給側に問題があったが、今回は需要側に問題がある。しかも感染症という世界がパンデミックに陥っている状態だということ。そして、社会・経済共に新たなバージョンアップというか、見直しというか、今後の働き方含め暮らし方まで一辺させる状態になるということ。
つまり「ニューノーマル」という新しい価値観というか、経済産業構造が変革するという事なのである。
では、ウッドショックがもたらす新たなノーマル化というのはどういう事が考えられるか。。。
①材料(資材)はあるのに、価格が高騰化する。
→世界の需要バランスに変動が起こった為に、国力の力関係で輸入量の制限が出る。
→便乗値上げもあるだろう。
→コロナ禍の働き方は世界中で起こることから、供給側の働き方も変わって来る。
②国産材への切替
→今まで外材に頼っていたモノを、180度転換するような急激なシフトは出来ない。
→同様に価格は高騰する。
→戦後からの材木では間伐材が多数な為に特有の仕様内容での設計が必要。
→輸送方法や乾燥技術、プレカットに至るまでオペレーションを整理する必要がある。
③国産材への切替
→政府が介入しないと、川上側との諸問題等が解決しないケースが多くあるだろう。
→つまり政治上においての仕組み化が求められる。
これらの事以外にも様々な問題や課題等はあると思われるが、一朝一夕で解決できるものではない。つまり、価格の高騰は数年に渡って、、、、、いや、価格の高騰が「ニューノーマル」になると思われるので、これらを見据えた工法や仕様内容等を考察する必要がある。
しかも、タイミング的には今しか出来ないだろう。
それと今後の予測では、
現地の北米や欧州などでは、コロナが終息?では無いでしょうが、日本と比べてワクチン接種率が高く、現場復帰している作業員?(働いている従業員)が多く、通常の80%近くまで稼働しているとの声が上がっています。
徐々に回復傾向にあるとの事ですが、価格の高騰だけは避けられないと思って下さいね。これが今後の「ノーマル」になって行くという事を理解しておいた方が賢明です。
国内プレカット事業最大のP社では、現地法人を構えている事から直接の現地で買い付け等を行っているものの、資材は安定して供給できる事と新規業者(新たな工務店さんなど)も徐々に受け入れる体制に戻りつつあると言われています。
しかし、何度も言うようですが「価格の高騰」だけは避けられないという事です。
話題は少し飛びますが、現在、静岡県の熱海市で土石流の大きな事故が発生しています。今も懸命な人命救助作業が行われていると思いますが、行方不明者の安否が心配ですね。
我々住宅従事者にとっては、今回の原因や建物構造等などに興味があるわけですが、やはり鉄鋼造(S造)やコンクリート造(RC造)などの家屋は、被害が最小限であることはテレビなどを通じて消費者にも理解できる事ですね。
旭化成さんのヘーベルハウスも数年前の豪雨災害等で需要が一気に高まったと言われていますし、一条工務店さんあたりも災害専用の対策できる工法を開発しています。日本は地震国でもあり、住宅の耐震性は避けられないと思いますが、今後は毎年来る豪雨や台風(ゲリラ豪雨含む)もしかり、温熱環境の義務化等含め、耐久性などが求められる時代(つまり、これらもニューノーマル)になる時代を迎えるのです。
つまり、新築住宅は最低でも長期優良認定住宅仕様は当たり前で、且つDX時代に則った暮らし方、過ごし方等の間取り設計や機能を持つ住宅になるという事です。
リフォーム/リノベーションも同様で、私は昨年より行政の「部分断熱改修」や「リフォームのZEH化」などの政策にも関わっているので、性能は当たり前になることは必至という事で政策は進んでいます。しかも提案する事業者と提案しない事業者では、どちらが選ばれるかは明白ですね。こんにちのデジタル時代においては、企業よりもお客様の方が先に情報を取得できる時代です。災害対策や光熱費の見える化などを踏まえた機能性、DX時代へのテレワーク環境等の充実、そして「建て替え」需要にも、大きな訴求力を示す工法や仕様内容を早急に整備した方が良いでしょう。
そうなる事はどの企業も目指して来ると思われ、技術的にも難しいことではありません。また、メーカーもこれらに見合う商品開発等もどんどん供給して来るでしょうね。
では、どうやって競合に差別化を図れるよう強みを活かす事ができるのか、住宅性能自体は購買の優先順位としては低いのです。そこそこで十分と考える人が圧倒的です。購買動機の高い優先順位、それは「デザイン」です。性能がぴか一であってもダサい家は嫌なのです。生活行動が屋内需要含め生活需要が中心(コア)になるので、間取りの機能性を十分に活かす為にも、そして暮らし方、過ごし方のど真ん中に位置するのが、優先的に需要を訴求できるのが「デザイン」だという事です。
いつの時代も「デザイン」は普遍の法則であり、デザイン性(ブランド)を高める事が、選ばれる前提条件になるということ、そして持続可能な顧客の関係性を優位に維持する意味合いでも、デザイン性を好む顧客属性の高いお客様をしっかりと掴みましょう。
20210705