東京ラブストーリー
柴門ふみの人気マンガを原作として、織田裕二と鈴木保奈美の共演で1991年に放送されたフジテレビのドラマだ。小田和正が歌うテーマソングと共に一世を風靡した。自分の青春を重ね合わせて懐かしく思い出されるバブル世代の方々も少なくないだろう。
当時、私は日本にいなかったのでドラマそのものに親近感があるわけではないが、ある時、小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』を人がカラオケで歌うのを聞いて、素敵な旋律だと思い、それからレパートリーの一曲となった。
あの日あの時あの場所でキミに会えなかったら
僕らはいつまでも 見知らぬ二人のまま
(作詞・作曲 小田和正)
但し、ドラマ自体を見ていないので、熱唱しながらも、皆さんのように当時の東京の若者たちの恋愛模様や、自分の青春を振り返ることはない。むしろ、このサビの部分をうたいながらいつも全く別のことを考えていた。
皆さんは『双規』(そうき)という言葉をご存じだろうか。中国語でシュワングイと発音する。意味は、「二つの決まったこと(時と場所)」、ある日ある場所で、中国の公安の方の尋問を受けることだ。党がすべてに超越する中国では、捜査令状などの法律上の手続きを踏むこと無しに、双規、すなわち、中国共産党中央規律検査委員会による予告なしの強制捜査、逮捕、無期限拘束、自白強要、拷問、処罰が可能である。
中国国内でなにか党の不利益につながるような疑いをもたれた場合、突然「失踪」し、本来であれば「見知らぬ二人」であったはずのあなたと公安の方は「あの日あの時あの場所」でお会いして、じっくりとお話をすることになる。
2015年の銅鑼湾書店事件は、自治を認められているはずの香港で中国公権力による双規のような事案が起きたために大騒ぎとなったのだった。
中国国内ではこれまでも結構起こり得る話であったのだが、「香港国家安全維持法」が適用された香港でも今後日常の風景となるだろう。外国人であっても対象とされることには要注意だ。