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外的ショックには強いが内的ショックに弱い日本(人)

小峰隆夫氏の話を聞く機会があった。小峰隆夫氏はかつて経済企画庁で要職を歴任され、私が尊敬するエコノミストだ。ポストコロナを考える上で非常に得るところの多い話であった。

同氏は最近、以下著書で平成時代の日本経済を総括された。平成を総括されるとしたらバブル後の経済白書(93年と94年)をまとめられた同氏しかいないと思っていたが、流石、間違いなく名著である。

さて話題は多岐にわたり、さまざまなインプリケーションがあったが、特に「なるほど」と頷かされたのは以下のポイントだ。

日本(日本人)は外的ショックには強いが、内的ショックへの対応はあまりうまくない。即ち、自らを改革していく構造改革のような対応は不得手のようだ。昭和と平成の政策運営の比較で言えば、昭和経済では外的ショックの危機を予想外にうまく乗り切ってきた(戦後復興、ニクソンショック、石油危機など)。一方、平成経済では内的ショックにかかわる多くの課題にうまく対応することができず日本経済の長期停滞を招いた。
今回のコロナ危機は、フェーズ1(ロックダウン)、フェーズ2(経済再開)、フェーズ3(成長戦略・構造改革)の三段階に分かれる。
フェーズ1は「外的ショック」への対応であり、政府は所得保障とつなぎだけしかできないのだが、日本人は世界にもたぐいまれな団結と同調行動による「自粛」でうまく乗り切った。
フェーズ2では感染症の防止と経済活動の再開の両立を図り、両者のトレードオフを小さくする必要がある。まさに今起きている話である。但し、感染拡大が収束しておらず成長戦略は未だなのにGoToトラベルのような需要喚起策=成長戦略をとるなど混乱が見られ始めた。
問題はフェーズ3の成長戦略・構造改革だが、相手はまさに「内的ショック」である。第一/第二フェーズで大幅に悪化した国家財政への対応(本当であれば増税と財政緊縮が必要)を含め、難しいことになりそうだ。

小峰氏がコロナショックによるプラスの影響として挙げたのは、①働き方改革、②行政部門のデジタル化だ。特にコロナショックで「オンラインでも創生・伝達可能な領域(中間知)が拡大」したことでジョブ型への働き方改革の進展が期待できるとした。

一方、目指すべき課題解決の足を引っ張るマイナスの影響として挙げたのは、①デフレ脱却が振り出しに戻る、②ただでさえ悪化している国家財政が最悪になる、③低温経済の継続 の三つだ。

経済の大幅な落ち込みのあと、回復基調ながらコロナ前の水準をなかなか取り戻せないデフレ環境と低温経済が続く中、税収は伸びず、一方で高齢化社会のコスト増に対してバッサリ行くこともできず、既に世界一ヤバイ日本の国家財政は一層厳しい状況を迎えるだろう。

尚、小峰氏は日本経済全体の雇用の見通しについてはあまり心配されておらず、むしろ今、早まって、リストラし過ぎた企業はあとで人の手配に苦労すると言い切っておられた。確かにインバウンド需要がほぼ蒸発した観光産業や、生活様式の変化の煽りを受けて来客が激減した状況が恒常化しそうな外食産業の将来は暗いが、それ以外の産業は、いずれ戻ってくる需要(それもV字回復ではなくじわじわと戻る需要)に備えなければならないだろう。

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以下記事は医療専門家ではなくエコノミストの観点ではあるが、一般的に素人の方々が主張しているPCR検査信仰の誤りを小峰氏がわかりやすく説明しているので参考までにポストしておく。これが理解できない方は、統計学を再履修するか、それとも、PCR検査云々を議論する資格がないと心得るべきだ。(>テレ朝さんとTBSの報道制作の方々)

ちなみにテレ朝さんの過去の恥ずかしい報道姿勢ついては以下を参照ください。バラエティー番組は秀逸ですが報道の方は質が低いといわざるを得ませんね。

https://note.com/economist/n/n59970c92dc2c


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