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今日も東京は晴れ。2 私ここにいます

2.位置情報

2030年5月11日午前9時半。朝食後、洗濯機を全自動90度高温除菌モードにセット、ルンバをスタートさせてから、多摩川サイクリングロードへ走りに出かけることにする。

土曜日の昼に定例となっている自転車仲間との集まりがある。Y's Road府中の先にあるオープンエアのバイクカフェをめざす。

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土曜日の昼の集まりは非常に楽しみなのだ。

コロナ後に困ったことといえば、リアル『交流の場』が皆無となってしまったことだった。三密で飲み会をするなんていうのは殆ど犯罪扱いの如きご時世である。『合コン』という言葉も死語になった。

友達の友達という感じで少しづつ増えて、今は全部で15人ぐらい。皆忙しいので、今日集まれるのはそのうち5人ぐらいだろうか。メンバーの半分以上が女性だ。本職はコンサルやウェブデザイナーや金融や役所などお堅い感じ。サイクリングをはじめて3~4年の人が多いのだが、皆、体を鍛え上げていて屈強で速い。今時の女子はストイックでまじめなので、平日も外出自粛期間中も室内のローラーでずっとトレーニングしているらしいのだ。ほかのサイクリングのグループも大体こんな感じらしい。自転車乗りの人口は今や女性のほうが多いぐらいだ。このメンバーでZoom飲み会もよくやっている。

サイクルコンピューターでプリセットしておいたコースに沿って、目黒通り~駒沢通りを経て、二子玉川のところで多摩川サイクリングロードに入り、府中方面へと川沿いを北上する。

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この10年でサイクリング環境は劇的に改善した。目黒通りも駒沢通りも自転車専用レーンがまるまる一車線分確保されていて走りやすい。また、多摩サイは歩行者道路とサイクリング道路が分離となったので安心だ。

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お互いの位置をGPSで把握できるようにしているので、休憩しながら進んでいくと三々五々合流してくる。走行ルートや立ち寄ったポイントは、サイコンからスマホ経由で国立感染症センターのデータベースに把握されていて、万一、感染者と接触した可能性がある場合も当局から直ちに連絡が来るので安心だ。

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個人情報の取り扱いが大きく変わったことについて言及するのを忘れていた。個人の位置情報は、常時、国が把握することとなった。コロナ制圧の最終段階で手間取ったとき、個人情報保護法を改正してスマホの位置情報とマイナンバーカードの完全リンクで国民全員の位置を特定して、感染者及びその濃厚接触者を完全追跡することになったのだ。

当時、野党の枝野某が最後まで国民のプライバシーを侵すものとして強硬に反対していたのだが、選挙の大きな争点の一つとなり、結果として、与党の圧勝に終わった。個人情報保護法を暫定的に一部制限する形で新しい位置特定の取り組みが始まると、感染ルートが即時100%判明するなど効果が劇的だった。そして、コロナの翌年末までに目標であった新規感染者14日間連続ゼロが達成されて『新型コロナ制圧宣言』にこぎつけた。世界初のこの快挙はさすがに、日本をディスることが習慣となっていた欧米を含め、世界中から絶賛された。

翌年には個人情報保護法が一部改正されるとともに『個人位置情報活用法』が国会で可決され、通信事業者及びITサービスプロバイダは個人の位置情報を国に提出することが義務付けられた。今では、感染症防止と犯罪捜査の目的に限り国が個人の位置情報を活用できることになった。この変化は、感染症防止に加えて、失業者の高止まりで治安が悪化傾向にある中、われわれの生活の大きな安心材料となっている。


Black Swanの独り言

お読みいただきありがとうございます。公共の利益のために位置情報を含め個人情報をどう扱うかは重たい問題だと思います。
次回はポストコロナ時代のスポーツと健康、次々回は繁華街だった街の運命と格差拡大についてです。皆さんと作っていく未来予想図ですので、アドバイスもコメントも歓迎します。

Black Swan拝


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