公共善エコノミー = みんなが幸せになる経済 = 生きがいを育む経済
まず、私がなぜ「公共善エコノミー」という訳語を選んだのか、解説します。
ドイツ語のオリジナルタイトルは「Gemeinwohl-Ökonomie」、英語版では「Economy for the Common Good」と言う訳になっています。英語の「Common Good」は近年、日本語では一般的に「共通善」と訳されています。なので、なぜ「共通善エコノミー」でなく「公共善エコノミー」なの? という疑問を持つ人も多いと思います。実際に英日翻訳のプロから、そのような質問がありました。
ドイツ語の「Gemeinwohl」も「Common good」も、「public interest 公益」「public welfare 公共の福祉」というパブリック(=公共)のニュアンス含んでいる言葉です。だから私は、政治学や哲学・宗教学で使われている少し古い言葉「公共善」の方を選びました。ここでいう「公共」は、日本で歴史的に根付いている「公おおやけ (= お上・政府・官庁・国家)」 とは違います。英語の「パブリック」の訳語としての「公共」、すなわち、行政、市民、企業など、社会を形成するすべてのステークホルダーを含む概念です。「共通善」だと、なにか弱い、このパブリックの意味するところがしっかり表現されない、と思いました。だから「公共善」にしました。
原作者のクリスティアン・フェルバーも、「Kyotsu-zen」より「Kokyo-zen」の方が、言葉の響きもいい、と気に入ってくれました。彼は「zen」も、欧州で実践者が多い禅仏教を連想できていい、と言ってくれました。漢字は違いますが、禅と倫理的・ホリスティックな公共善エコノミーのコンセプトには、通じるものがあります。
やさしく表現すると「公共」は「みんな」、「善」は「幸せ」とも言い換えられます。「公共善エコノミー」は、「みんなが幸せになる経済」です。
私たち、スタートしたばかりの一般社団法人公共善エコノミーの理事メンバー7は、日本では固く受け止められがちな「公共善」という言葉を、日本人の心に響く、やわらかい、しかも核心をついた言葉で補うことができないか、と思案しました。そしてできたサブタイトルが「生きがいを育む経済」です。日本人の生き方の哲学「生きがい (Ikigai)」は近年、国際的に関心を集めていて、欧米の心理カウンセリングや組織マネージメントの世界で活用されています。「生きがい」は「幸せ」につながります。幸せになるための道(みち・どう)です。公共善エコノミーは、みんなが「生きがい」を見つけ、深め、広げられる、すなわち「生きがいを育む」ホリスティック(分野包摂的で全人間的)な経済のコンセプトです。
2024年12月と2025年2月に、公共善エコノミー(Gemeinwohl-Ökonomie / Economy for the Common Good)のソース(源)パーソンのクリスティアン・フェルバーが来日し、3つのイベントに登壇します。たくさんの方々に、「生きがいを育む経済」の深さと広さを体感してもらいたいです。
イベントの案内はこちら: