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コオロギを給餌したサステナブル卵とは?
こんにちは!インターン生の未来です。
皆さんは、「サステナブルな卵」というとどんなイメージをしますか? 実はエコロギーでは、「サステナブル卵プロジェクト」と称し、開発に挑戦しています。
今回はエコロギーの元インターン・亀井が手がけた「サステナブル卵プロジェクト」に直接関わってくださったロオジエ田村さんと、佐賀県で養鶏場を営む松本さんお二人をお招きし、このプロジェクトへの想いや日頃のお取り組みについてお話を伺いました!
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「サステナブル卵プロジェクト」とは、
養鶏にとって良質なアミノ酸を豊富に含む新タンパク質素材であるコオロギ粉末を活用したサステナブルな養鶏飼料、養鶏卵の開発を目指すプロジェクトです。
今回このエコロギーが開発したコオロギ粉末を混ぜ込んだ飼料を使って、佐賀県の養鶏場で育てた養鶏の卵が東京銀座にあるミシュラン三つ星獲得のフレンチレストランL’OSIER(ロオジエ)のメニューの一品に使用されています。
ーーまずは簡単に松本さん、田村さん、亀井から自己紹介よろしくお願いします!
松本さん:
佐賀県で養鶏場を営んでいます。「循環」をテーマに鶏を平飼いにして、使用している餌も国産や地元の物にこだわっています!
田村さん:
銀座のフレンチレストラン「L’OSIER」で広報とSDGsの担当をしています。
亀井:
鳥取環境大学4年(当時)の亀井杏奈です。
このプロジェクトに、開始当初より関わらせていただいております!
では早速インタビューに移ります!
ー松本さん、養鶏場をはじめたきっかけとそのこだわりはなんですか?
松本さん:
オランダへ1年留学している間にオランダでは「社会のため」の消費感覚が当たり前な一方、日本では「おいしい・安全」が中心だと気づいたんです。オランダの方々の考え方が素敵だなと衝撃を受け日本に帰ってサステナブルな活動をしたいと思いました。
そのなかでも、高齢の祖母と一緒にできることをがいいと考え、「循環型」をテーマに養鶏場を営もうと決めました!
こだわりは「優しいこと」をテーマに鶏の健康や育つ環境を考えていることです。鶏にもストレスなく育ってもらえるように平飼いにして、エサは地元のもの、添加物の無いものを与えています!
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ーー「鶏や環境に優しい」という考えはエコロギーの「地球と生命を健やかに」というパーパスに共通するものがありますね!
次に田村さんにロオジエがどのようなレストランなのかお聞きしました!
田村さん:
日本発の本格的フレンチレストランとして1973年に銀座に創業しました。実は今年、創業50周年を迎えるのです!
エグゼクティブシェフのオリヴィエ・シェニョンは「これからは美味しいだけでなく、人の健康にインパクトがある料理」を提供すべきだと思っています。料理を楽しみながら、健康にもなれる料理を提供すること、それを可能にするのがシェニョンシェフが提唱している『マイクロバイオーム・ガストロノミー』です。ロオジエでは有機無農薬の野菜や一本釣りされた魚を使用するなど、環境への配慮をしています。そのためにシェニョンシェフと日本全国の生産地を巡って、同じ思いを持った生産者さん達から食材を提供していただいています。
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ーー50周年おめでとうございます!✨
現状美味しいことは当たり前で、体に良いものや有機食材を提供するということで松本さんの考えと同様にエコロギーと共通性があるなと感じました。自分たちから「サステナブル」を強調するのではなく、美味しいと感じた先に実は「美味しい」以上の物語が存在する流れが素敵です。
では本題に入りましょう!
ー亀井さん、なぜエコロギーがコオロギを養鶏飼料として活用するプロジェクトを進めているのでしょうか?
亀井:
エコロギーでは自然由来の新タンパク素材であるコオロギ粉末を食品だけでなくペットフードや動物飼料など幅広く用途開発を進めているんです!
※コオロギ粉末
エコロギーの開発するコオロギ粉末は、良質なアミノ酸を豊富に含む自然由来の新タンパク質素材です。またタンパク質だけでなく、鉄分や亜鉛などミネラルを豊富に含有しており、少量添加の場合でも免疫力向上などの効果が期待できます。
エコロギーではこのコオロギを自然由来の高栄養な機能性原料として、食品からペットフード、養鶏飼料と幅広い用途開発を目指しています。
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亀井:
私もパンやクッキーへの加工以外に、コオロギ粉末で社会貢献がしたい!という考えから、積極的に参画しました。しかしまだコオロギ飼料という未知の世界であるため、プロジェクトがスタートしてから約7か月間養鶏場が見つかりませんでした。そんなとき、SNSにて松本さんの養鶏場の特集を発見!ぜひここにお願いしたい!という熱い思いでメールさせていただき本格始動に至りました!
ーー7か月間断られ続けてもプロジェクトを進めたいという強い意志が素晴らしいと思いました!
ここでお二人になぜ賛同していただけたのかお聞きしました。
松本さん:
想いをもってやられていると感じ取れました。色々な方と協力できるということで興味をもって協力させていただきました!
田村さん:
ちょうどコオロギ食の話も耳にしていました。亀井さんからお話を伺い、エコロギーさんのサステナブルな活動に共感しました。一緒に取り組んだ方が相乗効果がありそうだと思いました!
ーーありがとうございます!
ーコオロギ飼料に変えてみるのは挑戦的な取り組みだったと思いますが、実際に行ってみていかがでしたか?
松本さん:
新しいことに挑戦することを常に楽しんでいます!今回のコオロギ飼料はまだメジャーでなかったゆえにやってみようと思いました。通常、エサを変更することは難しいのですが、自分たちでエサを配合し給餌してきたのでその変化は大変ではありませんでした。混ぜる工程が1つ増えるだけで、時間はプラス5分くらいです。
タンパク質源として農園では大豆を使っていたのですが、コオロギ粉末を使うことで高タンパクで栄養豊富な飼料として使用できることはいいなと感じています!
●サステナブル卵プロジェクトの現在●
現在このプロジェクトで生産された卵は、実際にロオジエのランチメニューの中で1つの食材として使われております。
料理名
L’OEUF DE SAGA ET L’ASPERGE BLANCHE DE LA LOIRE VOILE « ÉPINARD/SHISO »,
FONDUE D’OIGNONS CARAMÉLISÉS AU VIEUX XÉRÈS, JAMBON DE KINTOA SAUCE VIOLINE
ほうれん草と紫蘇のブルーテを纏った佐賀県産半熟卵 ロワール産ホワイトアスパラガス
キャラメリゼした玉葱のフォンデュ ジャンボン・キントア
ソースヴィオリーヌ
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またコオロギ粉末をエサに配合することでフードロス問題解決へ貢献できると考えております。
エコロギーはコオロギの生産段階において、カンボジアの食品工場などから発生するフードロスを餌として利用しています。そのため、本プロジェクトでコオロギを養鶏飼料の一部として利用することで、年間約873.6kgのフードロスの有効活用を実現し、SDGs12「つくる責任、つかう責任」の貢献に繋がります。
エコロギーのフードロスの取り組みについて詳しく知りたい方はこちらのプレスリリースをチェックしてください!
ーーでは最後にプロジェクトの今後についてお二人に伺いました!
ー今後どのような挑戦をしていきたいですか?
松本さん:
これまで外部の方とプロジェクトを進めることがなかったので、これを機に新しいこと、社会にとって良いことをもっとしていきたいです!
亀井さんが農園を知ってくれたきっかけでもあるSNSにも少しずつ力をいれたいです。
田村さん:
このサステナブルな卵プロジェクトをこれからもエコロギーさんと松本さんと続けていきたいです。
亀井:
松本さん、田村さんありがとうございました!
お二方と取り組みを進める中で私も学ぶところが多く、エコロギーとしてぜひこの活動を今後も続けていきたいと思いました。貴重な機会をありがとうございました。これからもよろしくお願いします!
●終わり●
エコロギーはコオロギの生産段階において、その雑食性を活かし食品工場から廃棄されるフードロスを餌として利用しています。フードロス問題の解決に貢献する他にも、コオロギ食の利点として養殖時の環境への低負荷が挙げられます。従来の畜産に比べて水分量や温室効果ガスの排出量を低く抑えられる地球に優しいタンパク質です。
また、タンパク質だけではなく鉄分や亜鉛などミネラルが豊富なため、養鶏の免疫・肉質向上の効果が期待出来ます。
エコロギーでは今後もこのコオロギを活用したサステナブルな飼料の研究開発を重ねて、持続可能な食文化の構築を目指します。
●編集後記●
今年は鳥インフルエンザが流行したり、円安による海外輸入の飼料が高騰したり、養鶏場を営んでいる方々にとっても、普段スーパーで卵を購入する消費者にとっても養鶏卵の値上がりは非常に痛手だったと思います。安定しづらい分野において今回新しいタンパク質源となるコオロギ粉末を飼料に混ぜ込むことは、心配な部分が非常に多かったと思いますが、松本さんは「新しい事に挑戦したい!」と前例がほぼないこのプロジェクトに参加していただきました。新飼料を給餌した養鶏は鳥インフルエンザ流行時であっても死亡率0を記録しました。
またロオジエ田村さんは、「美味しい」の向こう側に実はサステナブルな背景がある食材や生産者の方々とつながりたいという強いこだわりを教えてくださり、本プロジェクトへの共感を示してくださいました。
3月から大きく話題になったコオロギ食。鶏の健康や栄養面を支える縁の下の力持ちとして「コオロギ飼料」にも大きく期待しています。