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ようやく分かった、懐かしの歌
少し前のレッスンで、ある受講生さんとフランス語の歌の話題になりました。その方が「ストラスブールでおばさんが口ずさんでいた歌が好きなんです」と話してくださいました。フランス映画の主題歌だそうですが、タイトルや歌手名は分からないとのこと。私はその歌のことが気になり「その歌のタイトルを見つけたら、ぜひ教えてくださいね!」とその方にお願いしました。
そして数日後。彼女がようやく見つけてくださったその歌は、なんと私自身が長い間タイトルを探していた曲だったのです!
その歌とは、Elsa という歌手の "T’en va pas."「行かないで」。
皆さんもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?
調べてみると、この歌は1986年に上演された "La femme de ma vie" という映画の主題歌で、なんと映画にはジェーン・バーキンが出演していました。
映画 "La femme de ma vie"「最愛の女性(私の人生の女性)」
映画の内容を簡単にまとめると、有名なバイオリニストの Simon (シモン)は、音楽家で妻の Laura(ローラ) が設立したオーケストラで主要なバイオリニストとして活躍をしていましたが、ある時から彼はアルコール依存症になってしまいます。ローラは彼をなんとか立ち直らせようとしますが、うまくはいきません。振戦せん妄の発作を起こしたのをきっかけに、シモンは元アルコール中毒のピエールと出会い、依存症から立ち直ることにに成功します。ところが、シモンをアルコール依存症から救おうとしてきたローラは、赤の他人がそれを成功したことを受け入れがたく、Pierre(ピエール)に嫉妬するようになります。ローラとシモンの関係は大きく変化し、ローラは無意識のうちにシモンを再びアルコール中毒に陥れようとする、というお話です。
私はこの映画を見たことも、歌手のエルザも知らなかったので、「いったいいつどこで、この歌を聞いたんだろう??」と思って探したら、昔日本の CM で使われていた曲でした!(下の画像をクリックすると動画が見られます)
1998年の EDWIN のジーンズの宣伝、懐かし~い!
当時の私はフランス語の歌とは全く知らずに「この子ステキだな~、歌もいいな~」と思っていたのですが、実はフランス語の歌だったんですね。
それから数年後にたまたま大学でフランス語を勉強し始めたのも、なんかの縁だったのかな...?知らず知らずのうちにフランスに魅了されいたようです。
(ちなみに "ELSA" という名前の SOMETHING のジーンズは、今でも販売されているようです)
では歌詞をご紹介しましょう。タイトルの "T’en va pas." 「行かないで」は、正しくは否定の Ne が前について
Ne t’en va pas. (aller の tu に対する命令形は va となり、現在形と違って最後に s がつかないので注意)
となります。s’en aller は「立ち去る」という意味の動詞で、これはその否定命令形です(会話ではよく ne が省略されます)。
【T’en va pas】Elsa
T’en va pas
Si tu l’aimes, t’en va pas
Papa si tu l’aimes dis-lui
Qu’elle est la femme de ta vie, vie, vie
Papa ne t’en va pas
On peut pas vivre sans toi
T’en va pas au bout de la nuit
Nuit tu me fais peur
Nuit tu n’en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
On n’ira plus au ciné tous les trois
Nuit tu me fais peur
Nuit tu n’en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi.
Papa si tu pensais un peu à moi.
行かないで
彼女(母親)のことが好きなら、行かないで
パパ、もしママのことが好きなら、そう言って
ママが最愛の人だって
パパ行かないで
パパがいなきゃ私達は生きていけない
夜の果てまで行かないで
夜よ、あなたは私を怖がらせる
夜よ、あなたには終わりがない
泥棒のように
彼は私を置いて行ってしまった
もう3人で映画にいくことはない
夜よ、あなたは私を怖がらせる
夜よ、あなたには終わりがない
泥棒のように
彼は私を置いて行ってしまった
もう少し私のことを考えてくれたらよかったのに
アルコール依存症の父親が母親と分かれたことを悲しんでいる娘(映画ではELSAが演じた) の気持ちを歌った歌です。
長年気になっていた歌がようやく分かって、スッキリ~!そしてあの頃のことを色々と思い出して、懐かしい気持ちになりました。
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