楽チンな仕事をし続ける方法
何とやる気のないタイトルだろうか。とはいえ、世の中の人々はなるべくを楽をして生きてゆきたいと願っているはずだ。
世のため人のため、ここは一つ真剣に考えてみよう。
「楽チン」を定義する
まずは目標を見定めなくてはいけない。世の中の人が思い浮かべる「楽チンな仕事」は大体こんな感じだろうか。
少しだけ補足すると、②の中には仕事の負荷が少ないことに加えて、「職場の人間関係に悩まない」という意味も含まれている。
実現の方法を考える
目標が定まったので次はどうやって実現するかだ。なお、意識の高い方法としては「得意分野のスキルを磨いて、汗をかかなくても付加価値の高い仕事をできるようになる」である。
しかし、そんな崇高な理想を持った人間はこのタイトルには惹かれないだろう。したがってもっと意識の低い方法を模索することにする。
そのためには楽チンな仕事が生まれるメカニズムについて掘り下げなくてはいけない。
楽チンな仕事が生まれる構造
ここからは楽チンの定義で書いた3つの要素ごとに掘り下げてゆこう。
まずは「①労働時間が短い」について。これが成り立つには2つの要素が必要だ。
「サービス時間が短くても顧客がついてこざるを得ない」ことと、「時間のかかる仕事を他の人間が引き受けてくれる」である。
そう考えると、独占事業であることと、仕事を引き受ける人間が多い大組織であることが条件となってきそうだ。
続いて「②頭、体、心の全てでしんどさを感じない」について、これは「組織内のシンドイ仕事を他の人間が引き受けてくれる」が必要である。これもやはり大組織のほうが当てはまる。また、仕事内容は自分が手を汚すよりも、それを支援する仕事の方が当てはまるだろう。
組織には役職でシンドイ仕事を引き受ける人間が定められている場合もあるが、厄介な仕事を個人的に引き受けてくれる「断れない人」がいると更に楽チンである。
自己肯定感が低くて頼まれるとついつい引き受けてしまう人間を探し出し、チヤホヤされる関係を速やかに構築しよう。
社外で探すならば、取引上逆らえない会社をギリギリと締め上げることで楽チンな構造ができる。
ちなみに、間違ってもストレス耐性の強さなど見せてはいけない。そんなことをしたら自身にストレスフルな仕事が寄ってきてしまう。なにごとも大袈裟に大変がることが重要である。
最後に「③満足できる水準の給料をもらえる」である。これは難しい。責任を負わない仕事は世の中にたくさんあるが、そういったものは給料が低い。
しかし、独占事業で高値を維持したり、サプライチェーンの別工程に負担を押し付けられれば実現できそうだ。
ここまでで楽チンな職場の条件が見えてきたのではないだろうか。すなわち以下の要素が揃った会社である。
チヤホヤされやすい環境というのは少々抽象的だが、要するに周りがシンドイことを肩代わりしてくれる状況のことである。
たとえばポテンシャルや若さにより接し方が優しくなることがあるだろう。オタサーの姫のように、セクシャルな魅力によって贔屓してくれる場合もある。
年長者なので、周りの人間がNoと言えず負担を受け入れることもあるだろう。少しでも楽をしたい就活生はこのような観点で企業を選ぶのが良いと思う。
楽チンな構造を維持する努力
楽チンな組織の探し方を示したが、問題はその継続年数である。
大組織にはたくさんの部署があるが、楽チンなのはそのうちのごく一部だ。あなたが仮にそのような部署に運良く配属された場合、そこから異動することになったら楽園が終わってしまう。
楽チン継続のためには、なんとかして長く居続ける努力をしなくてはいけない。余人をもって変え難いスキルを身につけると長くは居られるかもしれないが、換えがきかないので休めなくなる。
スキルを身につけずに長く居座ろうと思ったらズブズブの人間関係を構築するしかない。Yesマンをたくさん作ったり、弱みを握って「私が異動したらバラすぞ」と脅すなどが考えられる。
組織の外に目を移すと、独占構造をなるべく長く続けるための取り組みが必要だ。ここでもズブズブの関係が重要である。
政治家と関係を作り規制でガチガチに参入障壁を用意したり、取引先と人的・経済的な交流関係を作って離れられないようにしよう。搾取はされているが離脱まではいかない、いい湯加減を調整しておくのが肝心だ。
メディアには都合の悪い情報を報道させてはいけない。擁護記事を書いてくれる御用記者をたくさん育んでゆこう。組織の「楽チン持続年数」を測るため、癒着にどれだけコストをかけているかをよくよく把握しておくのが大事だ。
さて、あなたが生涯ずっと楽チンな仕事を続けたいのならば、このような殿様商売な組織を常に渡り歩かなければいけない。
周りから尊敬はされないし、有利な関係性維持のために努力が必要だが、定時上がりと満足のいく給料が待っている筈である。
まあ、私はこういう人生は選びたくないですけどね。