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告知後の人生はどう変わる?がん患者が抱える本当の苦しみとは#2


第2部:がん検診と社会のサポート体制に求められる改善

がん検診の義務化と平等性:すべての人が受けるべき理由とは?

がん検診は、早期発見を促し、治療の選択肢を増やすために重要視されています。しかし、現実にはがん検診を受けるかどうかは個人の選択に任されており、検診の受診率には地域差や個人の価値観による違いが存在します。この記事では、がん検診の義務化がもたらす平等性の問題と、全国民が検診を受けるべき理由について考察します。

検診を義務化すれば平等になる?

がん検診の受診率は、さまざまな要因によって左右されます。医療へのアクセスが限られている地域、経済的な理由、多忙で自分のために時間が取れない人々にとって、検診を受ける機会が限られていることも少なくありません。このような不平等を解消するためには、全国民が一斉に検診を受けられる体制を整えることが必要です。

がん検診が義務化されれば、すべての人が平等にがんを早期に発見できるチャンスを持つことができます。特定の年齢層やリスク要因を持つ人々だけでなく、すべての国民が等しく検診を受けることは、公平性を保つために重要です。

個人の選択の自由と義務のバランス

一方で、検診の義務化は個人の選択の自由を侵害する可能性があります。「検診を受けるかどうかは個人の自由であるべき」という意見もありますが、がんが発見された場合の影響は個人だけでなく、社会全体にも波及します。医療費の増大や労働力の低下といった影響を考えると、全員が検診を受けることで、社会全体の負担を軽減することができるのです。

また、がんが進行する前に発見されれば、治療の成功率も高まり、社会的コストを抑えることができます。この点で、検診の義務化は、長期的に見て社会全体にとって有益な施策と言えるでしょう。

社会的サポートと告知のタイミング

がん検診を義務化することで、平等に早期発見のチャンスを与えることができますが、もう一つ重要なのは、がんの告知後にどれだけのサポートが提供されるかです。前回の記事でも触れたように、告知を受けた後の精神的な負担や生活の質への影響は大きく、告知そのものが患者にとって「天国と地獄」の分かれ道となることがあります。

がん検診の義務化に伴い、告知後の社会的なサポートも充実させる必要があります。カウンセリングや経済的な支援、仕事や家庭に対するサポート体制が整っていなければ、義務化された検診が新たな負担を生む可能性があります。したがって、検診義務化の前提として、告知後のケアや支援の体制強化が不可欠です。

全員が受けるべき理由とは?

がんは早期に発見されるほど、治療の選択肢が広がり、生存率も向上します。しかし、検診を自発的に受けるかどうかは、各個人の判断に任されています。この現状では、特定の人だけが検診を受け、早期に発見できるという不平等な状況が生まれがちです。

全国民が一斉に検診を受けることで、がんの早期発見率が向上し、社会全体としても医療コストや労働力損失の削減に繋がります。

がん患者がいま思っていること

平等に検診を受ける体制を整えることは重要だと思います。がんの早期発見と告知は、患者にとって精神的にも肉体的にも大きな負担となり、特に若年層にとっては、告知後のメンタルケアや社会的サポートが不足していると、将来に対する不安がより深刻になります。

告知後、診察で何度も「そのほか質問はありませんか?」と医師に問われる機会があります。患者が黙っているのは、何もないからではありません。がんである目の前の現実に、頭の中が真っ白になって、その場では何も考えられず、言葉が出てこないだけなのです。
医師が想像している以上のショックを患者は受けています。また、患者に与えられる情報が不十分であれば、精神的な負担が増え、結果的に不安が増大します。告知を受けた人が何を選ぶべきか、どのような治療法があるのかを判断するためには、もっと正確で具体的な多くの情報が必要です。

告知を受ける前に、患者に適切な選択肢を正しく理解できるように寄り添うサポートをすることで、告知後も患者自身が、生活の質を保ちつつ、より前向きな治療に取り組むことができるのではないかと思います。