見出し画像

告知後の人生はどう変わる?がん患者が抱える本当の苦しみとは#1


第1部:がん告知の現実

がん告知の結果論 -「早期発見で良かった」とは本当に言えるのか?

がんの告知を受けた瞬間、その人の人生は一瞬にして変わります。「早期発見で良かった」という言葉はよく耳にしますが、それは本当にすべての人にとって正解なのでしょうか?この記事では、がん告知の現実と、告知を受けた後の生活や精神的負担について深く掘り下げていきます。

「早期発見で良かった」は誰にとっての結果論か?

がん検診の普及により、多くの人が早期段階でがんを発見されています。これは、治療の選択肢が増え、死亡率を下げるという点で確かに意義があります。しかし、早期発見がすべての患者にとって喜ばしいことかというと、必ずしもそうではありません。

告知を受けた多くの人が経験するのは、がんそのものよりも「がんであること」の恐怖や将来への不安です。特に若年層では、がんの進行が遅い場合や、自覚症状がないまま告知を受けることで、メンタルに大きなダメージを負うことがあります。「がん患者」というラベルを貼られることで、生活の質が低下する人も少なくありません。

がんという「確定」を受け入れる難しさ

告知の際、医師は「〇〇の可能性がある」と慎重に言葉を選びます。しかし、患者にとっては可能性の話ではなく、その瞬間から人生の大きな変化が始まります。告知を受けた人にとって、それは天国と地獄、0と100の違いです。がんという「確定」が告知された瞬間から、精神的な負担がのしかかり、治療だけでなく日常生活や未来への不安が重くのしかかります。

告知を受けてからの治療過程は、痛みや副作用だけでなく、日々の生活においても大きな影響を与えます。再発や転移の恐れ、社会的サポートの不足、経済的な負担、将来への不安。これらが一度に押し寄せるため、告知前の生活と比較して、生活の質が大きく低下することもあります。

「知らないほうが幸せ」なのか?

「知らなければ幸せだったのに」という気持ちは、多くのがん患者が抱くものです。特に進行が遅く、命に直接関わらない段階のがんであれば、告知を受けなければ恐怖や不安に直面せず、普通の生活を続けられたかもしれません。しかし、検診で発見されるがんが、いつ進行するかは誰にもわかりません。そのため、早期発見は「治療のチャンスを逃さないために必要なもの」として推奨されていますが、これは確かに結果論でもあります。

全てを知った上で行動することが大事だとされていますが、実際のところ「知ってしまったこと」によって生じる精神的な負担は軽視されがちです。社会的なサポートが十分でない現実も、患者にさらなる負担を強いる要因のひとつです。

結局、自己責任になってしまう現状

検診で引っかかり、がんと告知されたとしても、最終的にそれに向き合うのは自分自身です。社会的なサポートはある程度はあるものの、申請の手続きや治療スケジュールの調整など、ほとんどは自分で解決しなければなりません。周囲からアドバイスや支援は受けられても、告知を受けた時点で、患者は基本的に一人です。

この現状を改善するためには、がん告知やその後のサポートに対する新しいアプローチが必要です。単に「早期発見だから良かったね」という言葉では片付けられない複雑な現実があります。

がんの告知は、早期発見によって治療の選択肢が広がるという利点がある一方で、精神的な負担や生活の質への影響も無視できません。結果論として「早期発見で良かった」と言えるかどうかは、その人の状況や精神的な状態次第で異なります。私たちはこの現実をもっと理解し、サポートの体制を整える必要があります。(つづく)