仕事で車内
田舎道を直走る。撮影のためだ。お前はディレクターなのかよ,くらいダメ出しが多く,初っ端から大げんかしながら走っていく。
仕事なのに,ちょいちょい私が好きそうなスポットに寄る。
「この林道を行けば滝が見えるよ」
「ほら、曼珠沙華にコスモスだ」
「稲の刈り取りが終わって綺麗だろ?」
ねえ、仕事だよ?ドライブじゃないよ?
助手席から膝に手を添えると
「気が散るからやめてくれよ!息子が勃つから!」
本当に勃つからダメなのだ…
「アイスが食べたいな,暑いよ」と言えば相変わらずつっけんどんに
「JAをこえたらこんな田舎に店なんかないよ」
といったのに撮影地で最後の録画が終わったらどこかへ消えた。
手にはストロベリーアイス。何も言わなくても私の好物。
「どこで手に入れたの?」
「自販機だよ」
男子高校生かよ…つっけんどんにいばりながら、全部私の好きな道。全部私の好きなテーマで撮影。
最後は17アイスなんて、ピュアすぎるでしょ…
帰社してひとり、悶絶した。
本当に好き。めちゃめちゃ口悪いし面倒な男だけど、やっぱり彼が好き。たのしい。
そう感じた。