旦那さんと近くなる距離、の気もするが?
親が二人まとめて倒れた後の会社に戻った時、旦那さんの存在感は圧倒的なものでした。もとより家庭内別居を続けてきたのは、彼が良い父親・良い社員だったからです。休みも重なり、少しずつ距離はお互いに縮まるように思えるのですが、自分は離婚宣言を娘の前でされた身です。未来も老後も、私の親の仕事だけで手一杯の旦那さんには、無理なわけですよね。
それは一代で財を築いた自分の両親の厳しさや才能を見ていれば理解できます。私だって跡取りなんか無理だという気持ち、専門外の仕事で天才と言われる親の跡を継ぐ気持ち、本当にプレッシャーしかない。
だからこそ自分を理解して欲しかったりストレスでいっぱいになるわけですが、旦那さんは私が別の仕事をしている長い間、その孤独を一人噛みしめ、向かい合い、鬱になったのも私の理解が足りなかったというのが理由の一つだったと言われたら、なるほどそうだな、と思うばかりです。
嫁の会社の仕事、さっさと辞めるほど無責任でもなく、父や母に意見を言ったりへつらうフリができるほど強くも要領も良くない人です。
だから旦那さんは大きく腕を広げて迎え入れてくれるわけでもなく、基本は一人で強くなれ、という立ち位置です。助けてくれることもあるわけですが、根本的に背負うものが役員となる自分は違うわけで両親の看護の疲れや、仕事のストレスはどんどん溜まるばかりです。
その中で仕事ではお互いに歩み寄りながらも、仕事に邁進するほど自分の家庭の安定感を求めるのは、旦那さんが長い鬱の間もこの頃も今も変わりありません。
仕事では天才の親の跡を継がなければならない。失敗したとしても、自分には守ってくれる未来も老後の伴侶もない。いつか離婚して出ていく、女性として私を見られないという男性がいるばかり。愛し合って入るけれど、生き方へのベクトルの違いはどんどん明確になるばかりです。
もちろん、どんなに仕事で心を通わせても未来に対する歩み寄りは愚か、セックスレスなのはいうまでもありません。実に十年です。
(続く)