ニホンゴキライ。ニホンモキライ!
この記事は1013文字です。
急性一過性精神病性障害
急性一過性精神病性障害という病気を聞いたことがありますか?
その人のストレス耐性にもよりますが
極度のストレスにさらされた結果、
幻覚・妄想など、統合失調症に似た症状がでます。
精神疾患の既往がない人でもかかることがあり、
環境調整と薬物治療で早期に回復もします。
日本は敵
ある外国人(英語は話せるが母国語は異なる)が、
この病気を診断され、精神科病棟に入院しました。
精神科では、渡航中の外国人患者さんの多くが
この病気で入院していました。
留学中のパートナーを追って日本に来たのですが、
慣れない環境や日本語でストレスフルに。
パートナーが留学生活を謳歌していたことも、
孤独感を増幅させたようです。
母国語で何かを訴えながら泣いていました。
ストレスの矛先が日本に向いており
英語には反応しますが、日本語は完全に無視。
「ニホンゴキライ、ニホンモキライ!」と
言っていたそうで、処置や介助は拒否。
私たちは患者さんを
刺激しないよう日本語での声かけは避け、
カタコトの英語と翻訳機の母国語、
「こんにちは」「ありがとう」
くらいは母国語で話しました。
スタッフによっては、
便処置の「浣腸」*をイラストで説明していました。
*便処置について
抗精神病薬は、腸の動きを抑える副作用があり、便秘の症状が出ます。
下剤を飲んでも効果がなければ浣腸や摘便(便を掻き出す処置)をします。
自身の排便について無頓着、固執する、妄想のある人もいるので、排便管理は重要です。
患者さんは症状の落ち着きとともに
日本語を話してくれるようになりました。
簡単な日常会話は問題なくできるレベル。
パートナーのそばにいたい一心で
勉強をとても頑張ったのでしょう。
その後は経過良好、退院。
現象の裏側に目を向ける
本人にとってのストレスが日本なので、
最初は日本人の看護は苦痛だったでしょう。
相手にとって敵ではないことを伝えるのが大事だと
学びましたが、
「日本が敵」という妄想に支配されているので、
症状が落ち着くまでは
日本語で話しかけない(敵ではないことを行動で示す)
という手段をとりました。
「ニホンゴキライ、ニホンモキライ!」は現象。
その原因に歩みよる姿勢は大事だなと思いました。
お読みくださりありがとうございました。
参考
■ 統合失調症ナビ
■ ハートクリニック こころのはなし
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