日本代表の逃げ切りパス回しの支持率74%。調査結果から判明した「西野采配は大博打ではなかった」。
日本代表の試合では初体験の事態だった(なでしこジャパンには類似の試合があり、当時も賛否の論争が起こった)。日本代表はポーランド代表に0ー1敗れた。しかし「負け抜け」というご存知の通りの結果。同時キックオフのセネガル代表対コロンビア代表でセネガル代表が敗れた。その結果、フェアプレイポイントの差で日本代表がノックアウトステージに進出した。いわゆる「逃げ恥試合」となった。
リードされた日本代表は消極的なパス回しで試合終了の笛を待つことを選んだ。ポーランド代表も負けたくないためお互いに攻めることなく、時間だけが経過した。
一方で、セネガル代表がコロンビア代表から得点を奪えば日本代表はグループリーグ敗退。サポーターは固唾を飲んでセネガル対コロンビアの試合がそのまま終了となることを願いアディショナルタイムを見守った。
日本代表が消極的なパス回しを始めた時間が早かったために、この闘い方について論争が起きている。支持するのか?支持しないのか?そして、この選択は西野監督にとって大博打だったのか?
試合開催日翌朝から17時までに実施したツイッターによるアンケート調査結果を紹介し、この采配をサポーター視点で振り返ってみる。
試合終了直後には「不満」「恥ずかしい」「がっかりした」「こんなの見たかったわけではない」という文字がネットに氾濫したが、トータルでは圧倒的に西野采配は支持されていることがわかる。また約10時間で11,250もの回答を得ており関心の高さがうかがえる。
西野采配に不満を持った人は何が不満だったのか?多くは「追加点をとらずに試合終了を待つことが裏目に出てグループステージで敗退してしまうのではないか?」という点にあった。だから日本代表には追加点が必要な場面だったはずだという考えだ。しかし、アンケート調査の結果は厳しい現実を示している。日本代表が得点できる可能性が高い思った人は、僅かに7%しかいなかったのだ。得点をできないのであれば攻める必要はないというのが、西野采配支持の理由となる。
また、このまま積極的な攻撃を続けると失点する可能性があると考える人が79%もいた。これはポーランド代表が日本代表の前線を自陣に引き出しバイタルエリアに縦パスを逆襲で入れ始めていたこと、そして日本代表選手が猛暑で体力的に消耗が激しそうに感じられたことに起因しているだろう。攻撃することで発生する失点リスクを多くの人が感じていた苦しい試合だった。失点すれば日本代表は得失点差でセネガル代表を下回り状況が一変する。グループステージ敗退の危機が待っていたのだ。
セネガル代表が得点して同点となる可能性が高いと感じた人は26%。やはりコロンビア代表が南米のチームであり前評判が高かったこともあり、同点になる可能性は「そこそこ」といったところだろうか。それだけに、ここに大きな感情の個人差が生じたといえる。
総合的に見てみると、セネガル代表がコロンビア代表から得点する可能性は「そこそこ」あるものの、日本代表が得点する可能性は極めて低く、逆に失点して順位を下げてしまうリスクがある、というのが多くの人の見立てであったことがわかる。サポーターはピッチ上の状況を見つめながらも、冷静にあらゆる可能性を頭の中で計算したり、隣の友人、仲間、家族と相談したことだろう。
では、実際の現場はどうだろう。日本代表のコーチングスタッフには、サポーターが知り得ない綿密なスカウティングによる戦力分析データがある。また、当日のセネガル代表、コロンビア代表の情報も入手している。その上での西野監督の決断となる。確率を計算し極めて冷静に決断したのではないだろうか。ここに「大博打」という表現がふさわしいかというと、やや違和感を感じる。
試合直後の話題は、深夜のテレビ視聴ということもあり西野采配への不満が多く賑わった。現地で応援したサポーターの声の中にも不満が多く含まれていた。だが、一夜明けてみると、それはいっときの感情であったのかもしれない。
「一夜明けたらあら不思議、結果オーライ」そんなネット上の書き込みも目にしている。
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