カズ加入で注目が集まる三重県のサッカー その地形と現実(さらにはベルディ)
かねてからの報道と「お約束」通り、1月11日11時11分に、三浦知良選手が、日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズに期限付き移籍すると発表されました。2022年は日本中のサッカーファンから三重県に、熱い視線が注がれそうです。
それにしても、なぜ鈴鹿ポイントゲッターズにはカズの獲得が必要だったのでしょうか。
美しい海の伊勢志摩、盆地の伊賀。山が地域を隔てる三重県。
三重県は、さまざまな顔を持っています。古くからのサッカーファンならば、四日市中央工業高校のある、四日市市を思い浮かべる人が多いかもしれません。四日市市は、高度成長期依頼、コンビナートを中心にした工業地域の街として知られてきました。
三重県といえば、お伊勢参りと伊勢志摩を思い浮かべる人も多いでしょう。曲線を描いた海岸線が幾重にも連なり息を呑む絶景は、世界に誇る美しさです。
「さぁ、きっともっと鈴鹿。海あり、山あり、匠の技あり」
カズが移籍する鈴鹿ポイントゲッターズのホームタウン・鈴鹿市は四日市市の隣。名古屋から伊勢へ行く途中にある街です。鈴鹿サーキットがあるため、国際的な観光都市としても知られます。海に山が迫る地形です。
ヴェルディ出身のカズとの対面が期待される鈴鹿市マスコットキャラクター・ベルディ
鈴鹿市マスコットキャラクターはベルディ。色は、残念ながら緑ではありません。「鹿と鈴」をモチーフに生まれた空色(スカイブルー)のマスコットです。
JFLのライバルは、四日市市の向こう側にある桑名市のヴィアティン三重。
鈴鹿ポイントゲッターズと同じディビジョンのJFLに、最大のライバルクラブが存在します。ヴィアティン三重です。ホームタウンは四日市市の向こう隣の桑名市。愛知県に隣接したエリアです。総合型スポイーツクラブとして活動し、女子サッカーチームも、なでしこリーグ2部に昇格しました。
Jリーグに向けて、鈴鹿ポイントゲッターズは話題作りで注目を集めてきたチーム
鈴鹿ポイントゲッターズが、これからJリーグ昇格を目指すならば、三重県全体のファンを抱え込みたいところです。ところが、三重県の中で、比較的人口密集地域となる愛知県との県境付近は、がっちりとヴィアティン三重が抑えています。
鈴鹿ポイントゲッターズは、これまで、女性監督の起用、奇抜なネーミングライツ等で、注目を集めてきたクラブです。鈴鹿市周辺の小さなエリアのホームタウンだけでは、Jリーグ昇格には力不足と考えられるからです。三重県全体から支持を得たい……そこで、カズの獲得です。
三重県の西部は山に囲まれた盆地
忘れてはならないのは、三重県西部が鈴鹿市のような臨海部とは全く異なる文化圏を持っているということです。同じ三重県でも、鈴鹿市、四日市市、桑名市と、あまり交流がありません。むしろ、道路で繋がっている滋賀県、京都府、大阪府、奈良県との関係が深い地域です。
なでしこリーグ1部の伊賀FCくノ一三重のホームタウン・伊賀市は、京都府、奈良県、滋賀県の3県と隣接しています。ここを鈴鹿市のクラブが営業的に攻略するのは、そう簡単ではありません。
伊賀市は険しい山に囲まれた盆地にあります。飲料メーカー・サンガリアの工場、多くの酒蔵がある、水資源に恵まれた地域です。
カズ効果で三重県全体を制圧!?それとも、群雄割拠の三重県が加速か!?
カズの加入により鈴鹿ポイントゲッターズの注目は飛躍的に向上しました。これが、どの程度、これまで交流が少なかった地域も含めた三重県全体へ影響を及ぼすのでしょうか。鈴鹿ポイントゲッターズは「鈴鹿市にあるチーム」から「三重県にあるチーム」に飛躍できるのでしょうか。
鈴鹿ポイントゲッターズ(JFL)、ヴィアティン三重(JFL)、伊賀FCくノ一三重(なでしこリーグ1部)、ヴィアティン三重レディース(なでしこリーグ2部)……群雄割拠の三重県サッカー地図が、どのような色に染まるのかに注目です。