ほかろん都知事選で混乱する
知的障害のある長女ほかろんは、きちんと選挙に行きます。
市議会議員とか、都議会議員などの選挙だと、知っている人が立候補していたりするので、張り切って投票しています。
ほかろんは顔が広いのです。
そしてたいていの選挙では、四人とか五人とかの中から一人の人の名前を書く場合が多いです。
しかし、今年の都知事選といえば。
やったらめったら候補者が多くて、選挙会場の記入台の前には、小さい字でぎっしりと、候補者の名前が2段になって書かれています。
私の姉も、記入台の前に書かれた候補者の名前の字が小さくて読めなかった。漢字を忘れたので、名前を確認したかったけど、あまりに名前が多いので、どこに誰の名前が書いてあるのかわからず、頭が真っ白になって、ひらがなで書こうかと思ったほどだ、と言ってました。
ほかろんは、今日は選挙に行くのだという日は、緊張してコチコチになります。
そして行く前に、自分が投票したい人の名前を、練習します。
しかし、覚えられないので、いつもは会場に行ってから、記入台の前に貼り出された、名簿を見ながら書いています。
さて今年の選挙の日。
投票をしてから、水泳カウンセリングに行くので、水着の入ったリュックを背負って、会場の中学校に行きました。
緊張した面持ちで、投票場へ。
そしていよいよ記入台へいったほかろん。
記入台の前に貼られた候補者名の表を見たとたん、
無言でしばしフリーズしてしまいました。
そして叫びました。
「わからない。わからない。」
そこで、選挙管理委員さんを呼んで、事情を話しました。
すると、委員さんは、写真入りの公報を出してきて、ほかろんに見せて、
「この中にいるかな?」と一枚一枚めくってくれました。
ほかろんは、
「おんなのひとです。」と言いながら、公報を見ています。
候補者が多すぎるので、公報を見るのも大変です。
しばらくして、ほかろんが言いました。
「さっきのひと。」
そこで、委員さんはさっきのページに戻り、ほかろんに公報を渡して、
「これを見ながら書いていいからね。」と言ってくれました。
おかげで、ほかろんは無事投票ができ、プールに向かうことができました。
選挙管理員のおじさん、親切にありがとう。
そして、しっかりと投票したほかろん。
えらかった。たくさんほめちゃいました。
そして、会場で、大騒ぎしたほかろんを見守って、待ってくださった、ご近所の皆様、ありがとうございました。
皆様に支えられて、暮らしています。