さよなら 時間泥棒さん
日曜日、長女ほかろんの水泳カウンセリングの帰りのできごと。
井の頭線のホームで吉祥寺行きの電車を待っていると、なんと、やってきたのは、みんな大好き、レインボー電車でした。
車体が、しずしずとホームに入ってくると、子どもたちは大喜び。
「レインボーだあ。」
そして巻き起こる拍手。
ほかろんはひときわ大きな声で、
「おしゃれでんしゃだあ。やったあ。」と叫びました。
今時、電車がホームに入って来るだけで拍手が起きるって、いったいここはどこなんだ。
いつの時代なんだ。
はい、令和の東京です。
ほかろんは、発達障害などの子どもや大人のための、水泳カウンセリングの先生と、ひと月に2回、泳いでいます。
のんびり、ゆったりと。
そして、その行き帰りには、京王井の頭線に乗ります。
井の頭線には、不定期に、レインボーラッピングのカラフルな車体の電車が走ります。
それは、いつ、どこで乗れるかわからないのです。
だから乗れるとラッキー。
そしてほかろんはレインボー電車をオシャレ電車と呼んでいます。
オシャレ電車には、吉祥寺方面の一番端っこに、ハートのつり革が付いています。
それにつかまればさらにラッキー。
そして終点吉祥寺では、電車から馬が降りてくるという、びっくり広告があります。
「わああ、電車からうまがおりてくるう。」
今日も幸せなほかろんです。
そういえば今週は、生活介護の参観週間です。
あれ、先月も私参観しましたよ。
そうか、先月行けなかった人が今月行くのね。
先月の参観は相変わらず、楽しいものでした。
私が見たのは、午後1時からの「自治会」の時間でした。
スタッフがホワイトボードに「自治会」と書いて、会長のちゅうた君が前に出て、司会をします。
ちゅうた君は、普段はいたずらっ子なのに、神妙な顔で、小さい声で、
「自治会を始めます。」と言いました。
すると、
「まだ来ていない人がいるから待っててあげようよ。」という声が上がりました。
そしてみんなでひたすら待っていました。
長女ほかろんは、ゆうちゃんと手遊びなどしています。
ゆうちゃんとは親子ほど年が離れています。
ほかろん51歳。ゆうちゃん20代。
ほかろんは、ゆうちゃんをすごくかわいがっています。
そして、10分。
まだ全員揃いません。
「もう少し待ってあげようよ。」の声が出ます。
そしてみんなのんびり待っています。
そうこうしていると喉が渇いたらしいほかろんが、麦茶を汲みに行きました。
すると、二つのカップに麦茶を注ぎ、一つを、端っこで参観している私のところに持ってきてくれました。
もう一つは自分の分です。
「のみな。」
「ありがとう。」気が利くなあ。えらいなあ。
そうしていたら、洗面台で、ずーっと給食後の歯磨きをしていたマイ君に、
「そんなに磨いたら歯が無くなっちゃうよ。」という声がかかり、マイ君は歯磨きを終えました。
ここで20分、自治会は始まるのでしょうか。
時間の流れが緩やかすぎて、あまりにも心地よすぎて、私はうとうとしそうになりました。
ここには、時間泥棒はいなのね。
「モモ」は、たくさんいるけどね。
もっともっと、参観していたかったけど、私は「成年後見制度」の勉強会に出るので、退出しました。
成年後見制度の勉強会で、現実にひき戻され、
「ああ、これからどうやって生きていこう。」なんて、75歳にしてまた考えるのでした。
人生は最後まで、迷い続けるものなのでしょう。