私たちはふつうに死ぬことはできる
重度障害者の娘の母である児玉真美さんの著書、
「私たちはふつうに老いることができない」は、今現在、障害のある子を抱えて高齢化した母親の厳しい現状を書いた本である。
母親と言えど、歳をとるし、病気にもなる。
要介護状態にもなる。
それでも、子どもが障害者であれば、どのように支えて生活するか。
親の死後はどのようにしていったらいいのかと、悩みは尽きない。
障害者の親には、老後の楽しみとか、豊かな老後なんてことは無関係。
普通に老いることはできないのだ。
ましてや、私のように一人親で、常に非正規で働かざるを得なかった母親には、それに輪をかけて、「貧困」が追い打ちをかける。
日向ぼっこして編み物する、とか、毎日お散歩したり、花を育てるとかそんな楽しそうな暮らしは望むことさえできない。
いつも、心には、障害のある子の存在が雲のように覆いかぶさり、明日さえどうなるかわからない。
頼りになるものがない暮らし。
自分だけが最後の砦。
病気にはなるまい。免疫力をつけよう。
筋力だけは落とさぬように。
市営プールに通う日々。
ふつうに老いることができないことを嘆いていたが、その先を考えていたら、「なんだそういうことか」とわかって安心した。
私たちはふつうに老いることはできないが、
私たちはふつうに死ぬことはできるのだ。
なあんだ、最終地点は、みんな一緒なんだ。
死んでしまったら、残された人々にすべてお任せするだけ。
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