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平熱先生、190ページと192ページ。

「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?

特別支援学校の教師、平熱先生の本を読むと、心が軽くなります。
なぜかっていうと、知的障害のある人を、普通の社会の視点からではなく、障害のある人の立ち位置から、見つめているからです。

どうしても、世の中は自分の属している世界から、物事を見つめてしまいます。
だから、インクルージョン教育などという言葉を聞くと、自分は普通と思っている人は「障害のある人を普通の社会に受け入れる」という風に考えがちです。

私はこの考え方にいつも「はて」と思っていました。
長女ほかろんは、普通学級、支援学級、特別支援学校すべてを体験してきました。
そして、ほかろんの3人の妹たちは、普通学級の出身です。
母親として、いろいろな学校を見てきたのですが、一番、楽しかったのは、特別支援学校でした。

特別支援学級は、普通校の中に、「併設」されているため、普通学級のお邪魔にならないように体も心も小さくして過ごしていました。
そして、ほかろんの場合、担任から学校に来ないで、精神病院に入ってくださいとまで言われ、車で送り返されてきました。

ありえない話ですが、事実です。
私は、すぐに教育委員会に行って、そのような学校は、こちらからお断りしました。
そして、晴れて特別支援学校中等部に通うことになりました。

特別支援学校に転入したほかろんは、偏食だったのに、ご飯を食べるようになり、母は生き返りました。

そしてつくづく思ったのです。
特別支援学校は、「ひとりひとり」を見る。
普通の学校は、規則や、指導要領に子どもを合わせる。
特別支援学校に、みんな合わせたら、子どもたちは、生き返るのではないだろうかと。

つまりは、障害者の側に立って、世界を見ていけば、子どもも親も、楽に生きることができるのではないだろうか。
まあ、「障害者の人たちの靴」を履いてみるってことですね。

特別支援学校で起きる素敵な出来事を、平熱先生は書き綴っています。
平熱先生の視線は、子どもだけでなく親にも向けられています。
それが、この本の190ページと192ページです。

サラッとだけど、ここは本当に重要なことが書かれています。

支援が必要なのは障害のある子どもだけでじゃない。
その子を育てる障害のない大人にだって、おなじかそれ以上の支援が必要だ。
あの子を支えるお母さんやお父さんに、倒れない支えがたくさんありますように。(190ページ)

障害のある子どもを育る上で大きな負担となるのは「経済的な側面」なんだよ。
各所からの頻繁な呼び出し、送迎や通所による仕事の制限、医療費や利用料、支援のためのグッズや日用品にも出費がかさむ。
もっともっと、時間的にも金銭的にも助けがほしい。(192ページ)

そして、このことは、学校を卒業した後に、もっともっと必要になります。
ようするに、死ぬまで必要なんです。
とくに、障害者の親は離婚率が高いので、シングルマザーに。
そして高齢者化となった今、高齢障害者とその親に。


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