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恐怖はウイルスより早く感染する
「コンテイジョン」 スティーヴン・ソダーバーグ監督 2011年
とても、2011年に制作されたとは思えないほど、あまりにリアルなパンデミックを描いた映画。
予言の映画とまでいわれる「コンテイジョン」
ソダーバーグ監督らしい鋭い切り口で迫る。
香港からの出張から戻ったベスは、咳が出て体調を崩し、発熱して死んでしまう。
ベスの息子も同様の症状で死んでしまい、ベスの夫ミッチは「何が起きているのだろうか」と疑問を抱き、娘と探り始める。
ベスの死後、次々と同様の症状の患者が急増する。
処方薬もなく、ウイルステロだといううわさも出る。
陰謀論者は、レンギョウのホメオパシーが効くと広めたため、レンギョウは売り切れ、取り合いさえ起こる。
社会不安が世界を揺るがし、町の店舗は買い出しの人びとであふれ、店内は空になる。
ああ、これは、この数年間の世界の様子だ。
私たちはこのような状況を生きてきた。
細菌学者たちは試行錯誤し、なんとか、ワクチンが出来上がる。
病気の感染よりも早いスピードで、社会に恐怖が蔓延する。
未知のもの、今まで知らなかった病気、今まで無かった新種のウイルス。
人は知らないもの。わからないもの。今までになかったもの。
というようなものに恐怖を持つ。
病気はもちろん恐い。
でももっと恐いのは、社会恐怖。社会の風潮。世間の目。
映画のラストで、ウイルスの発生源が映像で流れる。
ベスが取締役を務める企業のブルトーザーが、木々をなぎ倒し、そこからこうもりが飛び立ち、豚小屋にバナナを落とす。
そのバナナを食べた豚を、香港のコックが素手でさばく。
手を洗わないまま、コックはベスと握手をした。
香港からアメリカへ帰ったベスは咳が出て、発熱し、死亡した。
パンデミック映画は今までもたくさん作られてきた。
アウトブレイク。
新感染シリーズ。
しかし、これほどまで現実そのままの映画もなかった。
もうすぐ、コロナの対策が変わってくる。
町は元に戻るのだろうか。
人びとは、慣れっこになるのだろうか。
高齢者と持病のある障害者の二人暮らしの我が家。
今まで、奇跡的にコロナに感染はしていないが、今後どうなっていくのだろう。
私にできること。
社会不安に振り回されないこと。
自分自身で考えること。
世間の目を気にしないこと。
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