チョコレートドーナツ
ドーナツを見ると悲しくなる。
チョコレートドーナツの映画を思い出すから。
マルコにお腹いっぱい食べさせてあげたかった。
私がマルコのおかあさんだったら。
マルコの喜ぶ顔見たかった。
マルコは、自分の帰るところを3日間も探して、橋の下で死んではいけなかった。
背が低くて、太ってて、知的障害のある子供は、死んで当然の子どもではない。
制度の隙間から、落ちこぼれる、罪のない子供。
その子供を愛情持って育てようとしたカップルが、ゲイであるからといって、排除されていいわけがない。
ゲイカップルから離されて、薬物中毒のネグレクトの母親に戻されて、3日間さまよって死んでしまった。
1979年、カリフォルニア。
女装して口パクで歌うルディは、素晴らしい歌唱力の持主で、いつかきっと本物の歌手になりたいと願っている。
ルディの隣に住むマルコは、母親から部屋を追い出され、お人形を抱えて町をさまよっている。
ルディのパートナーのポールと二人で、マルコを引き取り、支援学校へ通わせ、ご飯を食べさせて世話をするが、周囲は、ゲイの二人にマルコの養育を認めない。
ハッピイエンドのお話が大好きなマルコだったけど、マルコの最後は全然ハッピイではない。
ラストシーンで、ルディ役のアラン・カミングが歌うのは
「Any Day Now」
いつかきっと。いつか、何がどうなるのだろう。
チョコレートドーナツの真ん中は穴が開いている。
そこから何が見えるだろう。
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