ダイズのチカラ
大豆や豆腐、納豆、豆乳などの大豆由来食品は、タンパク質だけでなくさまざまな栄養源です。大豆のイソフラボンは植物性エストロゲン(女性ホルモン)とも呼ばれています。エストロゲンは第二次性徴の発現や月経周期の調節などの重要な働きを担っています。
女性ホルモンとよく似た構造
エストロゲンが作用するためには受容体が重要です。放出されたホルモンや神経伝達物質などが受容体に結合することで、細胞の中に反応が起きます。あるいは本来結合するものの代わりに結合することで、起きるはずだった反応を起きなくする場合もあります。
エストロゲンが受容体に結合し作用すると、特定の遺伝子発現を活性します。そのためエストロゲンが欠乏すると、骨粗鬆症や月経の周期が不安定になるなどの症状が現れます。
日本人はよく食べる
イソフラボンは納豆やきな粉、豆腐、豆乳など、日本人が日常で食べているものに多く含まれます。イソフラボンはエストロゲンによく構造が似ているため、エストロゲンの代わりに受容体に結合するため、更年期や閉経後に足りなくなったエストロゲンの作用をイソフラボンで補充することもできます。
また、過剰なエストロゲンは乳がんになる原因のひとつと考えられていますが、イソフラボンは多すぎるときには減少させようと働くため、乳がんなどのホルモン依存型のがん予防にも効果があると期待されています。
そして、エストロゲンが表皮細胞の生成、成熟、剥離のいずれにおいても重要な役割を果たしていることも報告されています。この表皮ターンオーバーが促進されることに加えて、豊富な植物性タンパク質やホルモンバランスを安定させることはイソフラボンが美肌に貢献する理由になると考えられます。
参考文献
萩原康子, 西田昌司. "女性ホルモンが皮膚のターンオーバーに及ぼす影響の検討-表皮細胞の生成・成熟・剥離過程に及ぼすエストラジオールの効果." 神戸女学院大学論集 60.1 (2013): 33-50.
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html
https://www.med.oita-u.ac.jp/hospital/kakehasi/kakehasi30/page04.htm
小川 和宏「大豆イソフラボンの有効性と安全性を考える」
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