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〇延期につぐ延期で行われた「ソウル・サーチン・ラウンジ」で近田春夫さん吠える ~「吼えろ! ハルヲフォン」(文字起こし)~ パート1(全4パート)

〇延期につぐ延期で行われた「ソウル・サーチン・ラウンジ」で近田春夫さん吠える ~「吼えろ! ハルヲフォン」(文字起こし)~ パート1(全4パート) 

【Haruofone Fighting on Soul Searchin Lounge (Part 1 of 4 Parts)】

(本文は値段がついていますが、最後まで無料で読めます。読後サポートしてもよいと思われた場合、購読などでサポートしていただければ幸いです。この本文は約8000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、16分から8分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと27分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴くと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇延期につぐ延期で行われた「ソウル・サーチン・ラウンジ」で近田春夫さん吠える ~「吼えろ! ハルヲフォン」(文字起こし)~ パート1 

【Haruofone Fighting on Soul Searchin Lounge (Part 1 of 4 Parts)】

延期。

おととし(2019年)9月に行われたジェームス藤木さんの自伝本の出版パーティーで近田さんと久しぶりに会い、立ち話をしていたら、えらくハコ・バンド、ディスコやディスコ・ミュージックのことで盛り上がったので、だったらぜひ「ソウル・サーチン・ラウンジ」に来ていただいてたくさんそんなお話してください、とお願いし、2020年3月に「ラウンジ」日程が決まった。ところが、それが予想外のコロナ禍で何度も延期になり、今回は近田さんの「もうやっちゃおうよ」の一言で5度目の延期でようやく開催が決定した。1年越しの開催となった「ラウンジ」だが、その間に近田さんは自伝『調子悪くてあたりまえ』を上梓。その話などもできることになった。毎回、ゲストの話はおもしろいが、今回は特におもしろいので、ほぼ全面(約9割ぐらい)を文字起こししてみた。本ブログで4回にわたってご紹介しようと思う。

■ジェームス藤木さん自伝発売記念ライヴの模様

ジェームス藤木さん、自伝発売記念ライヴ盛大に開催される
2019年09月03日(火)


https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12518294698.html

今回は、さまざまな規制の中で開催時間も通常の2時間前倒しという『ソウル・サーチン・ラウンジ』始まって以来初の17時半開始、20時には完全撤収ということで、休憩なしの19時半まで2時間一本勝負になった。


1. BPMシンジケート、2021年9月11日新木場アゲハで開催


まだ緊急事態宣言は出る前ではあったが、この4月21日開催について「もうさあ、世の中の風潮とは相反するかもれしないけれど、これからはもう強気で行こうと」と宣言。さらに来る2021年9月11日(土)には大イヴェントを新木場アゲハで行うことになった。

まずはその宣伝から。

「911BPMシンジケート」

近田。「9月11日、9・11に新木場のアゲハで夜の11時から朝6時まで、大ダンス・パーティーやります。タイトルは、BPMシンジケート。DJで一番大事なのはテンポ。でも、(音楽)ジャンルによってテンポが違う。違うんだけど、みんなBPMで結ばれてる結社みたいな感じでね、テクノ、トランス、ハウス、ヒップホップ、レゲエ…(などをかける部屋を集めます)。ただソウル、ディスコは今回ははいらないんです。アゲハの会場をいろいろ仕分けしちゃったら、ソウル、ディスコがはいらなくなっちゃって。でもね、今回、BPMシンジケートは第1回目なんで、これから定期的にやろうと思ってるんで、次回にはそっち関係いれようと。やっぱり、こういう音楽ってさ、遊び人の音楽じゃない。だから遊び人が仕切っていかないと日本は地味になるから、夜中みんなマスクしてね。地味~な感じで朝まで楽しもう。(笑) 英語で仮面舞踏会ってなんていうか知ってる? 『マスクド・パーティー』っていうの。だから今回はドレスコード、マスク! いいっしょ?(笑) ちゃんとしゃれの効いたダンス・パーティーをやろうと思ってるんで、ぜひ。(2021年)9月11日土曜です」

出演者などは次の通り。

小泉今日子、石野卓球、藤原ヒロシ、高木完、ツヨシスズキ、ユー・ザ・ロック、ブライアン・バートン・ルイス、アンダーカヴァーのジョニオもDJで。ほか、シークレット・ゲストなど。

「4つの会場、ヒップホップ、トランス、などちっちゃなフジロックです。(笑) チケットが5月になったら発売です。BPMシンジケートで検索してください」

BPMシンジケート:オフィシャル


http://www.ageha.com/schedule/event/?id=339146

https://www.bpmsyndicate.com/


近田春夫 & ageHa present "B.P.M. Syndicate" 開催発表!!


https://www.youtube.com/watch?v=7BJQ1_-C6sw

吉岡。「BPMという言葉が初めてレコード盤に載ったのが、1976年に出たゲイリー・トムズ・エンパイアーの『7654321ブロウ・ユア・ホイッスル』という曲だったんです。その盤面にBPM115だか125って出てて超びっくりしたんです。(正しくは、BPM116) それまではDJがBPMを合わせてつなげることがアメリカではやりだしていて、BPMを知ることは大事だってことが知られるようになってはきたんですが、日本ではまだそれほどではなくて、アメリカではレコードの盤面にそれが印刷されるまできたか、って驚いたんです。僕なんかも当時は各曲のBPMを1分間全部計ってたんですよ。だから、それが書かれてたから、これは助かるって。それで、今回イヴェントのタイトルがBPMシンジケートということで、そのBPMという言葉が出てきたんで、その話を思い出しました」

BGM
Gary Toms Empire - Best Of - 7-6-5-4-3-2-1 Blow Your Whistle


https://www.youtube.com/watch?v=dPLw6G2jjaE

近田。「俺もさ、自分でヒップホップのレーベル作ったとき、それをBPMっていう名前にしたんだよ。でね、このBPMレーベルの12インチには、その曲のBPMだけじゃなくて『ディレイ・チャート』っていうのをつけたんだよ。例えば(BPM)120 の曲の一拍のディレイは何秒とか、そのチャートを載せたんです。そうすると、仕事のときそれがあると便利なんですよ」

「BPMっていうのは、ビーツ・パー・ミニット、一分間のビート数の略で、一分間で何回バスドラがドンドンとリズムを打つかの数字。ヒップホップだと100とか、ファンク・ソウル系で110から120、ポップなディスコだと130とか、ハウスとか130超えるとか」

「トランスだともっと早かったり。120だと一小節2秒っていうこの計算が楽なんですよ。138だと8小節で13秒ちょいかな。俺、CMの仕事よくしてて、CMって13.5秒なんですよ。13.5秒にいれるには、(8小節で)137か138のBPMの曲で(まとめる)。だから、BPMってけっこう重要でしたね」

吉岡 「ゲイリー・トムズの盤面にBPMが表記されたんですが、まだまだ日本のディスコではBPMという概念がそれほど浸透してなくて、一般的にBPMって言いだすの、たぶん、1980年代か90年代に入ってからじゃないかなあ」

近田 「911のイヴェントは、遊びに来てくれるアーティストはこれからもでると思うけど、メイン・フロアでの出演アーティストはだいたいこんな感じかなあ」


2.『調子悪くてあたりまえ』上梓~ボツ・テイクはほぼなし


『調子悪くてあたりまえ』

そして、もうひとつ、重要なのが、近田さんが2021年1月末に上梓した自伝『調子悪くてあたりまえ』。同名の曲がある。

調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝 単行本 – 2021/1/28
近田 春夫 (著), 下井草 秀(編)


https://amzn.to/3pFBDYm

調子悪くてあたりまえ! ビブラストーン


https://www.youtube.com/watch?v=vYmM3dVc52w

吉岡 「この自伝は、いつ頃から準備してどれくらいかかったのでしょうか」

近田 「2018年頃からだと思う。ちょうどその頃ビクターから超久々にCD『超冗談だから』(2018年10月発売)を出すことになったんですけど、その前、10年とまではいかないですけど、(俺は)数年ガンになっちゃって、活動してこなかったんです。それで久々にCDを出すにあたって、何かないとみんななかなか振り向かないし、何か話題になることだったらなんでもしたほうがいいですよ、ってことで、CDの販促物のひとつとして軽い自伝本でも出しましょう、じゃあ、ベストアルバムも作りましょう、ってことになったんです。売るための方策のひとつとしてね、もっとお手軽な自伝を作るつもりだったんですよ。

近田春夫「超冗談だから」MV(short ver.)


https://www.youtube.com/watch?v=r1cMyneq5Hs

そうやって始めたんだけども、この編集者、下井草君が熱心に聞いてくれるんで、俺もついついいろんなこと思い出しちゃうんで。最初は、俺が音楽家になってからの話をまとめるはずだったんだけど、下井草君が『近田さんって小さいころどんな感じだったんですかね』って聞くんで普通に話してたら、これで300ページ分くらいになっちゃって。(笑) それで最初の計画よりぜんぜん時間かかっちゃってね。結果的には音楽家になった後より、音楽家になる前の話のほうがおもしろいって言う人が多くて、(笑)複雑な気持ちですよね(笑)」

吉岡 「たしかに、慶応の幼稚舎(一般的には小学校)、普通部(中学)、高校の話とか、みんなご存じないですもんねえ。僕も初めて知ることがたくさんありました」

近田 「普通、そんなころのこと話さないからねえ(笑)」

吉岡 「ですよねえ。となると、このご本は完成形ですが、ここに載らなかった『ボツ・テイク』はあるんですか?」

近田 「いや、ボツっていうところはないと思うんですよ。ほぼ出し切った感じですかね。ただ後になってみると、自分で読んでみて、ここ言い忘れてたな、とかはあるよね」

吉岡 「するとこのヴォリューム2とか、エクステンデッド・ヴァージョンみたいなものは出る予定はないですか?」

近田 「それは考えてなかったけど、誰かが思いついてくれたら、しゃべるかもしれない」

この日、来てる方に、「本書をお持ちの人は?」と尋ねると半分くらいの方は、すでにお持ちだった。


3.書影、表紙の写真について:オリジナルの贋作屋さん~


吉岡 「ところで、この本の表紙の写真は何なんですか?」

近田 「この顔の部分は僕が40代くらいにビブラストーンというヒップホップのバンドをやっていた頃のヘアスタイル、顔だと思うんですが、その顔写真を元に、中国に偽物の絵だけを描くという街があって、そこに発注したものなんです。昔、NHKかなにかでやってたらしいんですけど、例えば『レンブラント風にそっくりに描く』とか、『ゴッホそっくりに描く』とかをやる『プロの贋作屋』さんに頼んだんです。ただまったくの贋作というのではなく、その人が描きそうなタッチで、その人を描くという『オリジナルの贋作屋』さんなんですよ。偉い人が死んだりすると写真じゃなくて、肖像画で飾りたいっていう人がいるじゃない。そういう人が中国には多いと思うんですけど、肖像画専門の贋作屋さんが中国にはいっぱいいるんですよ。今回の出版社の社長さんがそんな画家を知っていて、そこにお願いしてできたものです。

近田春夫 書影

(書影)

割とすぐ来るんですよ。しかも、ツーパターン来て、どちらか好きな方を選んでください、で、料金は一枚分。写真を送って、『レンブラント調で』ってオーダーいれると、一週間くらいで、ちゃんとオイル・ペインティングでできてくるんですよ。もし気に入らないところあれば直しますから、って。それで問題ないとなると、3-4日でオリジナルの原画が届くんです。値段は言わないけど、ものすごい安いんですよ。(笑) だからみなさんもぜひ、調べるとわかると思うんで、どうぞ。(笑) 表紙以外もうワンパターンあるんです。最後のほうにいれてありますが、ナポレオン風に描いてもらったやつが。(笑) お葬式のときの遺影とかに使えるかな。自分の遺影は、改めて作ってもらおうかな。安いから。(笑) いま、葬儀社に頼むと額装してけっこう高い。額の方が下手したら高いからね。イケアあたりで売ってる、周りが単に白いのとかは安いけどね。あれ、いいよね。あれで十分よ。(笑)」

近田 ナポレオン

(ナポレオン風写真)

吉岡 「イケアのうちでも使ってます。(笑) これ、インタヴュー、40時間超ということは、たとえば2時間くらいのインタヴューを20回くらいやったんでしょうか」

すると、ちょうどこの編集者でありライターである下井草さんが登場。

下井草 「40時間くらいやったあとに追加でやってるから50時間くらいになってるんじゃないかな」

吉岡 「となると、ざっくり言うと4-50万字くらいになるかと思いますが、本は25万字から30万字だから、はいってない部分もまだあるのでは?」

下井草 「確かに表に出せない部分もありましたから」

近田 「そんなのあったかなあ(笑)」

吉岡 「まあ、編集作業で文字に凝縮すると、短くなりますもんね。そして完成した本、みなさん一家に一冊。ぜひ」

調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝 単行本 – 2021/1/28
近田 春夫 (著), 下井草 秀(編)


https://amzn.to/3pFBDYm


ちなみに、この本、当日物販しなかったのは、ご連絡もしていたのですが、「めんどくさかったから」の一言でおしまいだった。(笑)


4.あこがれのハコバン~「ハコバンで一生やっていきたかった」


吉岡 「さて、近田さんは1970年代初期からハコバン(ハコ・バンド=ディスコなどの店でレギュラーで毎日はいっているバンド)をやられてきました。最初のバコバンには名前はあったのですか?」

近田 「もうすでに近田春夫とハルヲフォンでやってたんだけど、あの頃ロックバンドやってても、なかなか食えないんだよね。(今でいう)ライヴ・ハウスなんてできる前だからね。ただメンバーみんなが東京で実家だったんで、そこまで切羽詰まってはいなかったんだけど、とにかく親がかりっていうのが嫌だったから、バンド始めたときから、自分たちで食ってかないとなあって思って…。それと自分が遊んでた頃から、ハコバンっていうのが、ロックバンドよりカッコいいものだと思ってたんだよ。そっちだよね、たぶん一番大きいの。俺の中にはハコバンやりたいって気持ちがものすごく強かったんだと思う」

吉岡 「ああああ、なるほど。今の時代の若いミュージシャン志望の人たちには、そういう気持ちって絶対ないでしょうね」

近田 「彼らはハコバンって見たことないもんね」

吉岡 「この自伝本の中で近田さんが赤坂ムゲンでバーケイズのライヴを見て、『俺はこういうのやりたいと思った』って書いてたでしょう。そういう気持ちが自分がハコバンをやることに綿々とつながってたんでしょうか」

近田 「なにより、本当に感銘を受けたのはバーケイズなんですけど、その前の高校生くらいから、ディスコなんだけど生バンドも入ってる店によく行ってたんだ。渋谷のボーリング場の上にあった『バン』っていう店とかにね。ちょうどGSが下火になるかならないかの頃で、GSなんだけど、彼らはそういう店にダンスバンドとして毎日でてるんですよ。有名どころではズーニーヴー、ザ・ボルテイジとか、今のブルーハーツじゃなくて(同名異グループの)ブルーハーツ、トランプスっていうバンドもよかった。なんかソウルに詳しい人とかいたんだよ。

ズー・ニー・ヴー Zoo Nee Voo/ひとりの悲しみ Hitori No Kanashimi (1970年2月10日発売)


https://www.youtube.com/watch?v=rfY0nJu1rvo

尾崎紀世彦/また逢う日まで (1971年3月5日発売)


https://www.youtube.com/watch?v=52L2JrNjvpo

ザ・ボルテイジ The Voltage/トゥデイ To-Day (1968年


https://www.youtube.com/watch?v=vLM-BZZt7qc

ザ・ボルテイジ THE VOLTAGE /エミー・マイ・エミー Amy My Amy (1968年)


https://www.youtube.com/watch?v=PRzE9O0erDU

ザ・ボルテイジ The Voltage/汐鳴りの幻想 Shionari No Genso (1969年)


https://www.youtube.com/watch?v=SLv54tlzcb0

そういう人たちが、R&Bのカヴァーと、たとえばスペンサー・デイヴィス・グループのようなイギリスの音楽で踊りやすい曲をやってたのよ。そういうのを見てて、かっこいいなと思ってて。

Spencer Davis Group - Gimme Some Lovin'


https://www.youtube.com/watch?v=xcxYX8KPhGk

自分がバンドやる前にバーケイズを見たっていうのが大きかった。それと、あの頃フィリピン・バンドが上手だったんだよ。覚えてるのはね、元町のアストロにでてたフットプリンツとか、ムゲンに出てたハイ・ジャックスっていうのがうまくて、シカゴの曲をよくやってた。

The Bar-Kays - Soul Finger


https://www.youtube.com/watch?v=AfK1IPLpcqs

The Bar Kays Son Of Shaft Feel It 1972 Long Version


https://www.youtube.com/watch?v=rEyTmPAfaio

Chicago- Make Me Smile


https://www.youtube.com/watch?v=NifeiFF2Ufo

Chicago – Free


https://www.youtube.com/watch?v=WXnWRw7Gff4

新宿の ディスコバンドなんだけど、やたら頭のおかしいサイケデリックなバンドとかいてさ、覚えてるのは、ゼロ・ヒストリーっていうバンドがあって、そこのジョイっていうフィリピン人のドラマーなんか、ほんと頭おかしくてさ、よかったよ。そんなのをいっぱい見てて、やっぱさ、ハコバンのいいところは、客のみんなはバンド見てるわけじゃないのよ、みんな踊りにきてるわけだから、(バンド自体が)DJと一緒なわけよ。とにかく、それがかっこいいと思ったわけよ。だって、こういうところきて、DJをあこがれてじっと見てるってことないじゃない」

吉岡 「いやあ、それが最近はDJブースの前にDJプレイを見る人たちがずいぶんと溜まるんですよ。それでスマホでシャザムして(笑)」

近田 「俺もハコバンやってて嬉しかったのは、最初にやったのは、銀座の交詢社ビルの地下にあるシーザース・パレスっていう店だったんだけど、そこで演奏してると、お客さんがリクエストしてくるわけよ。たとえば、テンプテーションズの『ゲット・レディー』やってくれとか、言ってくるんだったら、まだいいんだけど、『ゲット・レディー』『かけて』って言ってくるんだよ。(笑) バンドに向かってさ、俺たち、人間だぞって。(笑) その感じがいいなあ、って思ってさ。

THE TEMPTATIONS - GET READY


https://www.youtube.com/watch?v=fqZ-hDJHbQ0

こっちもしゃくだから、とにかく客にリクエストされる前に新曲をあげようと思うわけ。それで毎日燃えてさ。店がオープンする3時くらいにいくと、スタッフは掃除してるんだけど、俺たちは練習できるわけ。FENから聴いたばかりの新曲を練習するのよ。歌詞カードなんかないから、歌詞なんてウソだよ。(笑) 曲はなんとかできるじゃん。そんなんでいろんな曲、毎日練習して。客にもうるさい奴がいるんだよ、そういう奴に『どうだ』って顔を見せるんだよ。それが快感だった。(笑)」

吉岡 「(笑) その頃はみんな耳コピー(曲を音で聴いて、その音から探って演奏すること)で、レコードもない?」

近田 「レコードもある曲もあったけど、みんな耳コピだね。だって客も歌詞なんかわかんねえじゃん。他のバンドもみんなテキトーだったよ。(笑) GSの人なんか、すごかったよ。インチキさが。GSの人の英語で一番すごかったのがねえ、(寺内タケシと)バニーズのドラムの井上(正)さんていう人の英語は一番めちゃくちゃだったね。だって絶対歌詞知ってる曲なのに、ぜんぜんわかんないんだもん。カタカナ英語なんてもんじゃない。なんか、でも、それはそれでいいわけよ。譜面ももちろんないよ。それで、どんどんレパートリーが増えてって、それが嬉しいわけよ」


寺内タケシとバニーズ The Bunnys/レッツゴー!シェイク Let’s Go Shake (1967年)


https://www.youtube.com/watch?v=tB9VoWwDh-A

寺内タケシとバニーズ Takeshi Terauchi & The Bunnys/太陽野郎 Taiyou Yarou (1967年)


https://www.youtube.com/watch?v=KqZ0EYq4vvE

吉岡 「うわあ、バンドマンの理想形ですね」

近田 「やっぱさ、レパートリー増えるの嬉しいのよ。でも客は相変わらず、どうでもいい曲リクエストしてくるんだよね。『ゲット・レディー』とか『マイ・ガール』って決まってんだよ。やなのよ、飽きちゃってて」

客からのリクエストの大定番。テンプスの「マイ・ガール」
The Temptations – My Girl


https://www.youtube.com/watch?v=eepLY8J4E6c

(パート2へ続く)

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