〇認知症と音楽~そのアートとサイエンス
〇認知症と音楽~そのアートとサイエンス
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〇認知症と音楽
【Alzheimer & Music】
音楽の力。
先日、ここでトニー・ベネットが認知症(アルツハイマー)になり、日常の直近の記憶がほとんどなくなっているが、音楽の記憶はそのまま以前のようにあり、ステージにさえ立ててしまう、という米CBSの『60ミニッツ』の話を紹介した。
あれはなかなか感動的で昨日のことは覚えていなくても、昔歌った曲の歌詞は一語も間違えることなく、かつてと同じニュアンスで再現し、観客を圧倒する。しかし翌日にはそのステージに立ったことさえ記憶にない。
少なくとも、音楽が脳になんらかの作用を起こし、その記憶がよみがえさせられていることは まちがいない。
これが、その『60ミニッツ』のレポート。(約13分)
Despite his Alzheimer's, Tony Bennett prepares to perform with Lady Gaga
https://www.youtube.com/watch?v=yNrvXw9juNs
普通のアルツハイマーの老人がピアノの音が流れ出すと、その歌を歌いだす。レディオ・シティー・ミュージック・ホールの満員の観客を前にすると、かつてのエンタテイナーが瞬時に蘇る。
マンハッタンのアパートでピアノのリー・ミュージカーが弾き出したら歌い始めたのがこれ。
Tony Bennett - Watch What Happens - 9/6/1991 - Prince Edward Theatre (Official)
https://www.youtube.com/watch?v=LY420sa8I18
Tony Bennett - Smile (Live At Home)
194,413 回視聴2020/08/11
https://www.youtube.com/watch?v=bCkf61t1AIs
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認知症と音楽。
こんな動画があった。ドキュメンタリーの一部のようだ。
音楽が認知症やアルツハイマー病治療に一石を投じる!映画『パーソナル・ソング』特別映像
2014/12/02 (約6分45秒)
https://www.youtube.com/watch?v=0-6O0X847mA
ここで描かれるヘンリーも認知症でふだんはまったく無気力だ。だが、音楽を聴かせると目が瞬時に輝きだす。
音楽が脳のどこかの一部を刺激し、それを再現させていることはまちがいない。この中で、キャブ・キャロウェイが好きだと言って、好きな曲は何かと問われて、「アイル・ビー・ホーム・フォー・クリスマス」と答える。
キャブ・キャロウェイだと、「ミニー・ザ・ムーチャー」が定番で、それを言うと思ったら、「アイル・ビー~~」と歌いだしたのでちょっと驚いた。ひょっとしたら、キャブとビング・クロスビーあたりを間違えているのかもしれない。
I’ll Be Home For Christmas – Bing Crosby
https://www.youtube.com/watch?v=MgaynmY4BNM
Cab Calloway – Minnie The Moocher
https://www.youtube.com/watch?v=8mq4UT4VnbE
映画『ブルース・ブラザース』でも同曲が歌われる。
Cab Calloway - Minnie The Moocher (feat. The Blues Brothers)
https://www.youtube.com/watch?v=250MMq0fTrU
だが、いずれにせよ、音楽が脳を活性化させることはまちがいない。
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「アート」と「サイエンス」。
そして、このソウル・サーチン・ブログをいつも読んでくださる読者の方から、『60ミニッツ』のトニー・ベネットの回を観てメールをいただいた。許可をもらい一部掲載する。
「トニー・ベネットの動画、私も観ました!彼の身体と心に沁み込んだ音楽とエンタテイナー魂は、ひとたびステージに立って観客と向き合うと、あんなふうに瞬時にして、完璧に溢れ出してくるんですね! 人間の脳って、つくづく不思議だなあと思います。
私の母も晩年は認知症になって、たった今のことも忘れてしまうという状態でした。私がまだ学生だった頃、高石ともやとザ・ナターシャセブンのファンだったので、私と妹が二人で厳しく母を指導して(笑)自分のパートを覚えてもらい、3人でハモって歌ってたことがありました。3人で食事の後片付けをしながら、いつもハモって歌ってました。
40年後、認知症になってしまった母の前で何気なくその歌を歌ってみたら、母がスッと自分のパートに入って来たんです! 感動でした! 次々歌ってみると、どの曲も当たり前のような顔で自分のパートを歌ってくれたんです。昔と同じように3人でハモって歌うひとときは本当に楽しくて、この時だけは母の認知症のことも忘れていられました。
若い頃には、まさか将来こんな状況の中で歌うことになるとは思ってもいませんでしたが、でもあの時、よく練習しておいたなあと思います。一緒に歌うひとときが、私たちを支えてくれました。
トニー・ベネットさんとはレベルの違う話ですが、あの幸せそうな笑顔を見ていると、母の笑顔を思い出してしまいました」
これを読んで、まさにトニー・ベネットと同じことだと感動した。
たぶん、脳の昔の記憶の部分、そして音楽の部分が保存されて残っているのだろう。そして、何かのきっかけでそのスイッチ、あるいは、「記憶箱」の蓋が開き、そこに収められている記憶がどーとあふれるようにでてくる。
一体、脳の中はどのように情報を整理整頓しているのだろうか。RAM(ラム)メモリーの不足ぶりを嘆く今日、この頃。記憶力活性化の特効薬などないものかと思いを馳せる。
ここにも「アート」と「サイエンス」の謎が隠れている。
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