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授業をZoomでライブ配信…だけでいい?知っておきたい「オンライン授業」の3パターン
全国的な休校措置に伴い、全国の学校や学習塾でオンライン授業の検討が進められている。だが、先行する海外の反応を見ると、必ずしもオンライン授業がうまくいっているわけではないようだ。
インドのアメリカンスクールで働いている古くからの友人と電話したら、かれこれ1ヶ月ほどオンライン授業やっているらしい。
— Kazuya Takahashi | 髙橋一也 (@kz8_takahashi) April 8, 2020
が、だいたい2週間ぐらいで飽きて、ほとんど機能していないようだ。
オンラインコース授業って大体40−80%が途中で脱落という研究報告がある。https://t.co/tET9qJQjXi
フランスの学校、ネット上での授業を続けたが、
— ulala france (@ulala_go) April 5, 2020
まったく連絡がなくなる生徒も多い。
うちの地域の大学でも30%の学生からまったく連絡がなくなったようだ。
遠隔学習になると、勉強を続けることができない学生も多く、学力の差が大きく広がる。
そこで今回は、休校措置の長期化も見すえつつ、先生方がオンライン授業で様々な取り組みができるよう、そのパターンを提案してみたい。
その上で参考にしたいのが、学習塾の運営スタイルだ。教科担任制や時間割の制約がある学校とは異なり、学習塾は社会や保護者のニーズに合わせて、運営スタイルを変えてきた。オンライン授業のパターンを学習塾の運営スタイルから考えると、大きく3つのパターンに整理できる。
①ライブ配信型(←集団授業塾)
オンライン授業といわれて多くの方がイメージするのが、この「ライブ配信」の授業ではないだろうか。現在大学のオンライン代替授業で検討されているのも、この形がほとんどのようだ。「遠隔授業」というと、学校の先生はイメージしやすいかもしれない。
この型は普段の授業をそのまま実施できるものの、ただ一斉講義を流すだけでは、ネットコンテンツに目の肥えた現代の学生・子どもたちを惹きつけるのは難しい。少なくとも以下の条件のどちらかを満たす必要があるだろう。結論としては、「② 双方向性、ライブ感」をいかに持たせるかが大切だ。
① 講義の質:一斉講義をするのであれば、ネット上に出回る(少なくとも無料の)授業よりは、わかりやすく、面白く、使いやすいものでなければならない(これはとても難しい)。
② 双方向性、ライブ感:①をクリアしなくても、「その時」「その場」「そのメンバー」だけの双方向の授業になれば、生徒にとっては参加する価値のあるものになる。
準備に必要なツールは、スカイプやZoomに代表されるビデオ会議システム。今はブラウザのみでソフトをインストールしなくても利用できるツールもある。
② 個別指導型(←個別指導塾)
現在、塾業界の形態でも最も数が多いといわれている「個別指導塾」では、講師:生徒が、1:1〜1:3程度でその子に応じた学習指導が行われる。これをそのままオンラインにする形も考えられるだろう。いわゆる「オンライン英会話」や「オンライン家庭教師」は、この形態といえる。
ただ、学校や生徒数の多い集団塾がこの型をとるのは、時間や担当講師の調整を考えると難しい。このタイプは、教科指導の位置づけでなく、面談や質問受付の対応として、取り組むのがよいのではないだろうか。
なお、①や②の授業の際には、ビデオ会議システムと合わせて、スクールタクト やロイロノート などの授業支援ソフトがあると、講師・生徒の画面内容がスムーズに共有できる。取り組みに応じて、併用をおすすめしたい。
③ 自立学習型(←自立学習塾)
現在、特に個人塾を中心に増えているのがこの「自立学習型」だ。生徒はICTも含め様々な教材を活用しながら、基本的に自分で学習を進めていく。講師は、教科の内容の指導(わからない箇所の指導など)を行いつつも、カリキュラムの作成や学習スキル改善、モチベーションのサポートを行う。私たちがeboardを提供させて頂いている学習塾もこの形態が多い。
オンライン化を考えた場合、このタイプが普段の教室との差が、一番少ないのではないだろうか。生徒が自宅で自分で学習を進めながら、それを先生が適切なタイミングでサポートする。教室に来る場合と比べて、生徒の学習状況の把握がやりづらくなる部分もあるものの、生徒とのコミュニケーションの部分をうまくやりとりできれば、オンライン対応は比較的スムーズに行える。
また、自立型では、わからない問題を画像で送る、課題をURLやファイルで送るなど頻繁なやりとりが発生するため、テキストでのコミュニケーションツールも入れておきたいところ。
パターンを組み合わせたハイブリッド
授業のオンライン化を検討する上で、大切なポイントは、教室での授業の様々な機能をどのように担うかだ。もちろん、教室を再現することもできなければ、する必要もないが、それを元に考えることには意義がある。
教室の授業では、先生が意識する・しないにかかわらず、クラス全体で授業を進めていきながら、「学習内容の教授」以外にも以下のような機能が提供されている。
・学習方法、学習手順の提示
・学習意欲の喚起(場合によっては、学習に向けた指示)
・学習リズムの形成
・(期間巡視等による)学習状況の把握
・生徒間の学びあい
そのまま普段の授業を生配信しただけでは、「学習内容の教授」以外の要素は伝わらない。足りない要素を①〜③のパターンを組み合わせることで、補ってり強化していく必要がある。例えば、
①(ライブ配信型)で双方向性やクラスの一体感を維持しつつ、
②(個別指導型)で定期的に個別面談をZoomで行って学習計画をサポート。
③(自立学習型)で、各自が学習を進めつつ、日常的なコミュニケーションはチャットで行うなどが、考えられる。
様々なツールを組み合わせて、教室での授業の一部を維持しつつ、同時にオンラインならではの良さを充実させる。そうすることで、オンライン授業は、もっと魅力的なものになる。こうした取り組みは、子供たちの学びの保障につながると共に、学校が再開した際の学びのカタチを大きく変えていくのではないだろうか。
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