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がんゲノム-腫瘍遺伝子変異量TMBと免疫チェックポイント阻害薬

JAMA oncologyのページと中外製薬さんのページを参考にさせていただきました。
ちなみに意味不明なトップ絵はStable-Diffusionという機械が勝手に書いてくれた絵です。

腫瘍遺伝子変異量(Tumor mutation burden; TMB)
がん細胞のゲノムに生じた遺伝子の変化のおおよその量を指す。生体には遺伝子の変化を取り除く修復システムが備わっているが、腫瘍遺伝子変異量TMBが多いことは、この修復システムの機能が低下していることが示唆される。TMDは1,000,000塩基(1Mb)あたりの変異の数で表現される。TMBが10 mut/Mb以上である場合に、TMB-highとなる。

重要なのは、このような遺伝子の変化によってがん細胞の表面のマーカーが現れる、という点で、遺伝子変異量が多いと、より多くのマーカーが癌細胞上に現れるため、免疫細胞によって補足されやすいということである。がん細胞はPD-L1を通して、免疫細胞による攻撃を避ける能力を有しているが、このPD-L1やこれと結合するPD-1を阻害することで、免疫細胞によるがん細胞の攻撃力を高めることができる。このような理由で、遺伝子変異量の多いがん細胞には抗PD-1阻害薬や抗PD-L1阻害薬の使用が可能となっている。

遺伝子の変化は紫外線やたばこに含まれる化学物質の曝露に伴って生じる。例として、紫外線による悪性黒色腫の発生やたばこによる肺癌などが挙げられる。これらの患者さんの他、高頻度マイクロサテライト不安定性検査で、MSI-Highが確認される、大腸がんや子宮内膜がんの組織においてもこの遺伝子変異量が多いことが指摘されている。
この遺伝子変異量が多いがんの場合、免疫チェックポイント阻害薬が適応となる可能性がある。

1)     Tumor Mutation Burden and Cancer Treatment JAMA Oncology Patient Page Dec 17 2020

2)     中外製薬ウェブページ(2023年5月閲覧) 

参考文献
*1 Chalmers, Z.R. et al.: Analysis of 100,000 human cancer genomes reveals the landscape of tumor mutational burden. Genome Med. 9(1): 34, 2017.
*2 Campbell, B.B. et al.: Comprehensive Analysis of Hypermutation in Human Cancer. Cell. 171(5): 1042-1056, 2017.
*3 Galuppini, F. et al.: Tumor mutation burden: from comprehensive mutational screening to the clinic. Cancer Cell Int. 19: 209, 2019.

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