るつぼ

恥ずかしいほど、意味を理解していない漢字が私には多い。
エッセイを書き始めてから痛感している。

そんなときは、ネットでパパッと調べればいいのだが、できれば私は人に教えて欲しい。その人を通して、その漢字のもつ意味はもちろん、温度や質感のような生っぽさが伝わってくるような気がして、好きなのだ。

「坩堝（るつぼ）」
この漢字の意味がわからず、隣に座っていた旦那に「これ、どういう意味？」と聞いたことがある。

旦那は、両手をぐるぐる回しながら、
「うじゃうじゃ入り混じっているようなことかな」と教えてくれた。
試しにネットで調べてみると、
——いろいろなものが混ざり合っていること――と書かれている。

　旦那の言う「うじゃうじゃ」の方が、うじゃうじゃいる感じがしていい！と、よくわからない理由だが、私は非常に納得し本の続きを読み進めいった。

　本を閉じて、私は思った。
聞く側も教える側も、この瞬間、お互いに想像力を働かせてぶつけあっている。私はここに、小さな刺激を感じているのかも知れないと。

「わからないから教えて欲しい」と頼むことに多少の抵抗を感じないわけではないが、こと漢字に関しては、どんどん聞いていこう。

その先にあるなにかを、私は、知りたいのだから。