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映画と宇宙と銚子電鉄。コロナとの戦いが続く「解体屋ゲン」90巻!

・はじめに


解体屋ゲンが面白すぎるために記事が毎巻の状態となっている(笑)

最新の90巻はコロナの猛攻にあえぐ人々たちの物語。それともうひとつ、とても大事な物語。コメディメーカーの野島の出番が多くて題材も笑えるネタのハズなのに、どっしりとコロナ禍の重い空気が漂う巻となっている。

時事ネタの避けられない社会派マンガとしての解体屋ゲンの立ち位置が滲み出る、ほぼ解体をしない解体屋ゲンの巻なのだ。


・891~895話 ベテラン男優の意地


89巻ラストから続く、映画バカ二人(谷川・椎木)と野島のシリーズ。

「映画バカと野島がゲンの前に連れてきたのは名バイプレーヤーと呼ばれて多くの映画に出演していた役者の佐藤だった。しかし佐藤はリーマンショックの頃に、撮影現場でアイドル上がりの尾関を殴り業界を干されている状況だった。映画バカ2人はその佐藤を表舞台に上げたいために今回の映画を企画していたのだ。

ゲンと映画バカ2人は爆破のロケ地となる縦縞町の町長に挨拶に行く。町長自作のジオラマを眺めつつ町長と話す映画バカ二人、やはり映画バカ二人はスポンサー降板を伝えておらず、全国公開作品と言っていたのだ。

ゲンと映画バカ二人は爆破予定のビルをロケハンに行くが、ここでも映画バカ二人のボンクラは発揮される。ビルは隣接ビルがあり、許可が下りるわけがないロケーションなのだった。映画バカ二人はゲリラ撮影でもというが、そんなワケにはいかない。

そんな中、鉄太のやっていたゲームでゲンは特撮のなんたるかを思い起こす。特撮映画祭の参加も決まり、谷とボテとの会話で昔の特撮の味を再確認したゲンは弁当箱とコンデンサーと電圧調整のスライダックを抱えて映画バカ二人の前で実験をする。

爆破予定のビルの中の、コロナの影響で夜逃げした旅行代理店の事務所でラストシーンを撮影するゲンたち。だが、そこに現れた役者は……。

見事の佐藤の演技の後に、ついにゲンのビル爆破が始まる。ゲンの中でも特殊で精密な仕事となった今回の爆破は……。

映画は完成し、試写会も成功した。だが、コロナの牙は止まらない。参加するハズの特撮映画祭は開催中止となり、落ち込む野島。そんな野島のモノローグで語られる映画と映画バカ二人と佐藤の顛末は……。」

コスプレナースとマシンガン見たい。
映画バカの人助け?
病気だ……。
話を聞け、ゲン!
野島顔芸Ktkr!
ゲームに怒る悪魔(伏線)
野望
やめて
昭和特撮もたいがい
やめなかった……。
隣のビルの運命は!
コロナ禍のために
バカだから諦めない、そしてバカだからやれる。


前の巻から続く野島の野望シリーズ。今度こそ映画バカ2人とともに会心の映画を作り上げるが、コロナの影響は誰もが知る通り映画を始めとした文化・娯楽産業に大きな被害を与え続けている。

あらすじには記していないが、映画バカと野島の野望への努力、ゲンの爆破への探究の他に、タイトルのとおり一人のベテラン俳優の、いや、もう一組の映画バカ二人のドラマも組み込まれたとても密度の高いシリーズである。


・896話 ゲンのおつかい


「慶子と有華が人間ドックに行くと言う。そのためにゲンに事務仕事が託された。市役所で印鑑証明を貰い、コンビニATMで現金を下し、収入印紙を買って信用金庫に行くありふれたお使い。

気が抜けて二度寝したゲンは巨体で駆けずり回るが、最初のコンビニには収入印紙が無かった。さらにドジを繰り返すゲン。午後には見積もり仕事が待っている。

市役所の順番待ちでキレそうになるゲンだが、人類の、地球の歴史に身を任せてこの難関を乗り越える。だが、必死の思いでたどり着いた信用金庫では……。

慶子の目論見はコロナの影響が長くなるとの考えから、新規事業への自分達が動けるように事務仕事をゲンたちに任せたい、そのための第一歩だったのだ。ゲンはその思いに答えられたのか……。」

はじめての……。
あ、ダメそう
バレてる。
哲学と物理学に逃避するゲン。
そうなのか……。

現場バカのゲンが主人公で、なかなか事務の慶子と有華の仕事の話は少ない。そんな中であえて二人ではなく、ゲンに事務仕事をさせる回。

元々は一人でやっていたゲンだけど、最初から帳簿整理が残念なキャラにしてあって良かった(笑) 今回の仕事の内容はさほどの仕事ではないけれど、待たされる仕事、細かいルールの仕事が向かない人は沢山いる。そうでない人だけのこれも特殊な仕事なのだ。


・897~898話 ゲンは宇宙防衛隊員


「谷にスマホだけでパソコンを使わない若者への危機感を訴えられたゲンは鉄太にパソコンを触らせる。コロナで外で遊べない現状にも憂いて。知人から買った中古のノートパソコンにはゲーム「宇宙防衛隊」が入っていた。

アンノーマルと呼ばれる宇宙人が(どこかのイルカのように)地球を攻撃するゲーム。鉄太はアンノーマルの異様さに怯み、いつものスマホゲームを始める。そんな中、モニターには「宇宙防衛隊入隊希望者はエンターキーを押せ!」のメッセージが。

入隊したゲンは仕事を微妙にサボりつつ宇宙防衛の任務に向かう。イアラという仲間を得たゲンは苛烈になったアンノーマルとの戦いを優勢に進め始めた。

ついに女性陣はゲンのサボリに確信を持つ。いつもすっきりした顔で帰ってくるゲンに……。

巨大な敵との戦いにも慣れたゲンとイアラはついに巨大宇宙船との戦いを決めるが、そんな中、ついにゲンは現場に穴を開けてしまう。イアラとの約束のために最後の戦いに向かうゲン。

巨大宇宙船との戦いに勝利したゲンとイアラ。地球に向かう中でイアラの悲しく厳しい秘密を聞くゲン。そしてイアラの機体はゲンに大気圏突破をさせるために……。」

モニターにこんな表示が!
まさか宇宙防衛の基地がマンガ喫茶とは
でも美容室プリンスが基地のアニメ化もされた傑作……。
宇宙でもデスられるゲン
ちょっとヤバすぎじゃね?タコ型
ひどい言われようだ。
最後の出撃へ
レトロでフューチャーな機体で!
シャア少佐!


また宇宙へ!



この回については原作者の星野茂樹先生がnoteに纏められております。

そんな秘話があったのかって記事を読んだ時は驚きました。ひとりの為はみんなの為、このご時世には沁みる宇宙からのメッセージの話なのです。



・899話 心の問題


「いつものようにトラックで配送していた光は工事現場で指導棒を振るトシらしき姿を観る。やはりそれはマスクと伊達メガネで変装したトシだった。

実はトシはコロナの第一波によって自分の解体会社を畳んでいたのだ。持続化給付金の決まる前に。しかし、ゲンに助けてもらってばかりの自分に辟易していたトシは誰にも相談出来なかったのだ。愛妻の小雪にすらも。

光は気づいたコトがあって、慶子に相談する。2人に呼ばれたトシに慶子は言う。小雪にバレていると。

慶子にウチの解体部門をやってと言われたトシは後に街中でゲンに会う。どうやら慶子に話を聞いていたゲンは禁酒を辞めていないかトシに問うが、トシの返事は強烈な左ボディブローだった……。」

発覚
怪しい人。
真面目にやってたのになぁ。
コロナに心を潰されるトシ……。
いっそヒモになって町内を守るヒーローになる手も。
ヒーロー?ついにタイマンでゲンが負ける日が?


解体屋ゲンのレギュラーの中で一番粗暴で、一番心の弱いトシ。可哀想ですが、コロナで潰される役は彼が適任か……。

会社もプライドもコロナに潰されていたトシ。光が見つけるのがもう少し遅ければ、彼はアルコール依存症で暴力沙汰になっていたかもしれない。

でも、彼は作者に小雪という解体屋ゲン一番の女性を嫁を貰っていますから、必ず彼女が助けて(ゲンたちにも自分から頼って)くれるのだ……と思いたい。



・900話 銚子電鉄を救え(1)


「経営不振が続く銚子電鉄。竹本社長は今日も経営に悩んでいた。社員からロクたちが銭湯で行っている「よろず無料相談」を聞き、参加するコトに。

コロナで観光業界が不振なのは当然だが、それ以前から銚子電鉄は食品とグッズでしのいていた。主力商品のぬれ煎餅とまずい棒をプレゼンする竹本社長。

ロクはゲンと野島に現地調査を依頼する。ジンバルに付けたスマホで撮影する野島に照れるゲンの前に女性車掌が乗車券の確認に来る。今どきICカードも使えない銚子電鉄。だがこの車掌がいなければ……。

地元のライター片山に銚子を案内してもらう野島とゲン。犬吠駅でぬれ煎餅を食べた後は国の重要文化財でもある犬吠埼灯台へ。素晴らしい景色を喜ぶ野島は、魅力のわからぬ男ゲンに映えを説明する。

霧笛所で犬吠埼灯台の初代フレネルレンズを観たゲンはこれこそが映えだというが……。」

レールも枕木も既に。
美味しいよ。
美味しいよ。
キャベツ畑の中を。
ホントはチーバ君で映画を撮るつもりだろ。
この人は……!
登れるんだぜ!
間違いなく映え!
凄い風景は是非購入して確認を!


解体屋ゲン、キリ番の900話となる回は銚子電鉄とのコラボ。ぬれ煎餅でネット民などに助けられ、最近はマスコミには出るわ映画は作っちゃうわ動画配信も始めるは……で社長たちの露出度は上がっているが、経営の厳しさは変わらない銚子電鉄。

オマケに最近は車両故障で一時的に残機ゼロになっちゃったり、あれ、作内で慶子が随意契約しようとしてた変電所、補助金は出るハズだけどどうなったのか。

とりあえず久々に通販で、新しいレトルトカレーが出たらしいので……。

ポスター買ったけど、まだ観ていない……コロナめ!


・おわりに


映画バカ、おつかい、宇宙防衛隊、銚子電鉄、変顔スペシャリストの野島の出番が多い……と、普通ならば明るいバカ話で笑顔になる話になりそうな解体屋ゲン90巻。

だけど、コロナ禍ではなかなか明るい道筋はない。全体的に明るく描かれつつも暗い影の中で終わる話の多いのは前述しているとおり時事ネタの避けられない社会派マンガの宿命。

現在、当地北海道は、再度まん延防止等重点措置が延期となる見込みだ。札幌市内の飲食店も休店の数がいままでよりも遥かに多く、行きつけの飲み屋ビルも八割方閉まっている。営業している店はもちろん短縮営業だし、普通の飲食店が営業していないから女の子の同伴も出来ない(コレ、結構客入りにも収入にも影響するのだ)。

コロナ禍だけでも重い中でさらに戦火が。ゲンはまた命がけの仕事に行くのだろうか……。


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