映画『護られなかった者たちへ』の倍賞美津子さんの文字
映画『護られなかった者たちへ』の倍賞美津子さんの文字
寒さのあまり、冬眠のように読書と映画三昧、眼ばっかり使って、イカーン!のですが、『護られなかった者たちへ』を観ました。私は東日本大震災と生活保護などのシステムについては言及することは避けたいと思います。私ごときが言葉にしてよいことではないからです。
阿部さんは震災で妻子を亡くしたうえ、まだ息子さんの遺体が見つかっていない被害者でもあり、「足で歩いて」真相を突き止める刑事役です。
東日本大震災で多くの命だけではなく、助かっても、その後人生をも奪われた方々がいらしたこと、日本人としては忘れてはならない、ということは言うまでもありません。
気温がー2℃や3℃になっただけで寒いだの、なんだのと文句を言ってる自分が「最っ低」の人間に思える(恥)そういう映画なんですが・・・・
1.極限の避難所で知り合ったおばぁちゃん遠島けい=倍賞美津子
2.孤児院育ちでもともと孤独な青年で放火犯=利根泰久:佐藤健
3.そして、孤児になった小学生だったカンちゃんこと円山幹子=清原果耶
この3人が避難所での巡り合いが、その後の人生をグルングルンとルーレットみたいに回してしまうの。
ルーレットなら同じ方向にグルグルと回るだけなんですが、この3人の場合はピンボールマシンのよう。アッチに飛んでったボールが思わぬ方に戻ってきてガラスを突き破って顔面に当たって、私の顔はスプラッターで流血で、救急車呼んでくれぇ!てぐらい強烈な運命の歯車。
今後は甘ったれたことは言うまいと思う程、ストレートにキツイ映画。
「がんばって」なんていう言葉は東北の人に言ったら
「これ以上がんばれなんて、死ねっていうこととおんなじ」だと聞いたことがあります。
ホントに覚悟して観ないと心がくじけちゃう辛い映画なんですが、それだけに「一言一言」の行間が深くてね・・・・
生活保護を受けようと決めた、遠島けいが自分から申請を取り下げた。そして餓死することを選んでしまった。
そこには、昔離婚した時に別れた娘に「死んだことになっている
生みの親が金に困っているということ」を知られたくない。
死んでも知られたくないという選択があったんです・・・・
そういう事情を知らないから、殺人事件が起きてしまうんですが、
お金が無くなって食べるものもなく、電気も水道も止められて、餓死寸前にふすまに書いた「おかえりなさい」には、号泣してしまいました・・・
遠島けい役の倍賞美津子さんは、常々、若返り整形をしていないとおっしゃっているだけあって、その「老いっぷり」にも堂々とした品格がにじみ出ています。
フーテンの寅さんシリーズの時もステキでしたが、アントニオ猪木の奥様としても格闘家時代と議員時代を支えた肝っ玉母さん。
ハッキリ言って吉永小百合さんより大好き!
その倍賞さんが申請を引っ込める書類の文字は「素」なんですが
カンタンに筆跡鑑定させていただきます!
ここはビデオを何度も止めてしっかり拝見しました。
「保護費辞退願い」「私、遠島けいは・・・」
この「私」という字の
・1画目の起筆ひねり=自己主張強力
・2画目横線の、行動力抜群
・3画目の縦線に交わる4.5画目の
・「刃物線」がプロフェッショナル線
そして、右のつくりの「ム」はひらがなの「ん」みたいにかわいいの。ここに茶目っ気と生きる喜びみたいな「踊るような」エネルギーが出ていて、倍賞さん「さすが!」だと何度も頷きました・・・
遠島という役の上での名前には、たっぷりと「気宇」があって全く力んでいないんです。
字間もスカスカで、自分よりも人を優先する「お先にどうぞ」という姉御肌。
これだけエネルギーの通り道を自然に作って書ける倍賞さん、エネルギー=お金ですから、お金に相当好かれる文字だと言えます!
というよりも、お金を呼ぶ文字。そのぐらいの、波動の高い文字。
字は人とは言いますが・・・
本当に気持ちの良い文字を拝見しました!